暗号資産市場の動向(2025年11月4日)

先週の米国金融市場は、週初こそ前週の株式市場のムードを引き継ぎ、米中貿易摩擦緩和に向けた観測報道などを受けて堅調に推移しました。しかしその後は、株式市場がIT・ハイテク株のリードで最高値を更新する一方、暗号資産市場は上値が重く、週末に向けて調整色を強めた週となりました。

日次サマリー

10月27日(月)

週初27日の金融市場では、前述のような展開で株式市場は大幅高となりました。暗号資産市場もBTCが114,500ドル(約1,750万円)近辺から始まり、116,400ドル(約1,780万円)近辺まで上昇しましたが、その後は伸びきれず、114,100ドル近辺(約1,740万円台)で取引を終えました。

10月28日(火)

28日も27日と似たような地合いとなり、株式市場では3つの主要株価指数が揃って最高値を更新しました。暗号資産もBTCが116,000ドル台(約1,760万円台)へ上昇する場面もありましたが、やはり伸びきらず、112,900ドル(約1,715万円)近辺で推移しました。

10月29日(水)FOMC・利下げ

29日はFOMC(米国連邦公開市場委員会)の開催がありましたが、市場では利下げをすでに織り込んでいたこともあり、会合後のパウエル議長の記者会見に注目が集まりました。FOMCは予想通り0.25%の利下げを発表しましたが、パウエル議長が「12月の利下げが確定した結論にはほど遠い」とコメントしたことで市場は反応し、株式市場は下落しました。債券市場では米国10年国債利回りが前日比0.1%上昇し、暗号資産市場も反応してBTCは110,000ドル(約1,690万円)を割る場面もありました。結果的に110,000ドル近辺で取引を終えています。

利下げはリスク資産に追い風になりやすい一方、先行きの追加利下げに慎重なガイダンスが出ると、過度な期待の巻き戻しが起きやすく、短期的に価格変動(ボラティリティ)が高まります。暗号資産は金利やドル指数の変動に敏感で、長期金利の上昇は相対的に逆風となりやすいです。

10月30日(木)

30日も前日のパウエル議長のコメントの影響が残り、株式市場では決算を発表したマグニフィセント7企業のうち3社の動きがまちまちとなりました。特にMetaはAIを中心とする投資により経費が大幅に増加するとして大きく下落しました。BTCも一時106,300ドル台(約1,630万円台)まで下落し、終値は108,300ドル台(約1,660万円台)でした。

10月31日(金)

31日には金融市場の混乱による下落は落ち着きを取り戻しましたが、大きく反発するには至らず、NYダウ平均で+40ドル高にとどまりました。暗号資産市場ではBTCが109,600ドル近辺(約1,690万円近辺)で週を終えました。

主要アルトコインの動向

主要アルトコインであるETHやXRPも、週を通じておおむねBTCと同様の値動きをみせました。ETHは4,140ドル(約63.6万円)近辺から始まり、4,250ドル(65.2万円台)まで上昇しましたが、その後は調整となり、週の終値は3,860ドル(約59.3万円近辺)と、3,900ドル(約60万円)を下回りました。一方、XRPは2.65ドル(約404円)程度から始まり、2.70ドル(約412円)近辺まで上昇しましたが、その後2.60ドル(約400円)を割り2.50ドル(約380円台)後半で週末を迎えました。

アルトコインは対BTCの占有率(ドミナンス)や流動性の影響を受けやすく、政策イベント直後は資金がビットコインへ回帰し、アルトコイン側の戻りが鈍くなる傾向があります。

今週の経済イベントカレンダー
Calendar of Economic Events This Week

曜日日本時間経済イベント重要度
110519:00 ユーロ圏生産者物価指数(PPI)9月★★☆☆☆
110522:15 米国ADP雇用者数10月★★★★☆
110524:00 米国アメリカ・ISM非製造業景気指数 10月★★★★★
110523:45 米国サービス業PMI(購買担当者景気指数)10月★★★☆☆
110622:30 米国新規失業保険申請件数10/26-11/1★★★★☆
1107未定 中国貿易収支10月※★★★☆☆
110724:00 米国ミシガン大学消費者信頼感指数10月★★★★☆
110722:30 米国雇用統計10月(非農業部門就業者数、失業率、平均時給)※ ★★★★★
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※印の項目は、いつ発表されるのか未だ不明で未定の状態です。

マクロ視点とリスクオン/オフの見立て

今週は週末に米国の10月雇用統計の発表が予定されています。FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長はインフレ動向を注視しているものの、それ以上に雇用への注目度が高いと考えられます。そのため、10月のFOMCでの利下げ、そして12月のFOMCでの追加利下げについて、今回の雇用統計の結果が判断材料の1つになるとみられます。

また、11月4日(月)に米国ではISM製造業景気指数が発表され、予想の49.2や前回の49.1を下回る48.7でした。今週5日(水)にはISM非製造業景気指数、7日(金)にはミシガン大学消費者信頼感指数の発表が予定されており、景気動向に下振れの兆候がみえるようであれば、市場は12月の追加利下げへの期待を高めてリスクオンになる可能性があります。

金融当局は、よほどのインフレ状態とならない限り、現在の金融緩和の流れを続けるとみられます。特にパウエル議長が退任する来年以降はその傾向が顕著になると考えられます。金融緩和をベースとしてみると、市場の方向性としては株式市場がバブルともいえるような時期を迎える可能性があり、暗号資産や金などの貴金属もリスク資産として価値を高める展開が予想されます。

特に暗号資産については、10月10日に起きた金融市場と暗号資産市場の急落が、トランプ大統領による「中国は非常に敵対的になりつつある」とのコメントをきっかけに、関税の大幅引き上げを示唆したことで通商交渉の激化が懸念されたためとみられます。米中通商交渉が一応の合意に至っていることを踏まえると、株式市場は回復した一方で、暗号資産市場は依然として出遅れている状況です。

年末から来年にかけてのリスクオン相場を想定するならば、暗号資産は今、下値を固め、動き出しの準備段階にあるかもしれません。

今週のトレードのポイント

  • 金利感応度の把握:米長期金利の1日の変化幅とBTCの同日の方向性を簡易に相関チェックすると、イベント週の価格感応度がみえてきます。
  • イベント前後の板流動性:主要取引所のスプレッドや板厚はイベント直前に薄くなりがちです。逆指値の滑り(スリッページ)対策をしておきましょう。
  • ドミナンス監視:BTCドミナンスが上昇する局面ではアルトコインの戻りが遅れやすい一方、低下局面はアルトコインキャッチアップの初動になりやすいです。

BTC積立企画

2023年6月から月毎に10万円分の暗号資産を実際に積み立てていき、そのポートフォリオを公開する企画です。ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、日本の取引所でも取り扱われており、米ドルとペッグ(連動)するステーブルコインであるダイ(DAI)を対象としています。

これまでの暗号資産積み立ての状況
Accumulation Status

[期間:2023.06.05 〜 2025.11.28]

ポートフォリオの現在の資産価値
 円

含み益(現在の資産価値 - 合計積立金額)
 円

利益率
%

積み立て回数
16 回

合計積立金額
1,600,000 円

ポートフォリオの構成

    ポートフォリオ

    銘柄 シンボル 対円レート 保有数量 日本円換算 構成比
    ビットコイン BTC [BTC/JPY] 0.1523 BTC %
    イーサリアム ETH [ETH/JPY] 1.8884 ETH %
    ダイ DAI [DAI/JPY] 80 DAI %
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