金価格急騰・ドル不信の兆し?BTCは年末上昇に向け反発の兆候|週間ビットコイン予想 2025.10/20-26

先週の市場総括
先週の金融市場、暗号資産市場はまちまちの動きとなりました。米国株式市場は前週に大きく下落した反動もあり、週初は大きく反発して始まりましたが、トランプ大統領の対中国貿易交渉に対する姿勢をみながらの展開で、その後は伸び悩みました。週末にはトランプ大統領が中国に対して前向きな姿勢をみせたことを好感して、週末は上昇して終わりました。暗号資産市場は10月9日の大きな下落後の調整が続いており、連日の下落となりました。
米国株式市場の推移
米国の株式市場は、9月29日からの週が月曜日から金曜日まで5日連続高となった一方、翌週の10月6日からの週は逆に5日連続安でした。特に10日は株式3指数が揃って大幅安となっていました。
10月13日(月)
10月13日は前週の反動、またトランプ大統領が「中国を傷つけるのではなく支援したい」とSNSに投稿したことを受け、 通商交渉での対中国の姿勢を軟化させたと市場は考え、大きく反発上昇しました。BTCは株式市場の流れを受けて115,000ドル近辺(約1,750万円台)で始まり、116,000ドル近辺(約1,760万円台後半)まで上昇しましたが、前日12日(日)に5,000ドル程度上昇していたこともあり、ここからの上値は重く115,000ドル台で終えました。
10月14日(火)
10月14日はリスク回避ムードから堅調な動きとなり、さらにパウエルFRB議長が全米企業エコノミスト協会(NABE)の講演で「 FRBが数ヵ月以内にバランスシート縮小を停止する可能性 」を示唆するハト派発言を行い、NYダウ平均は202ドル高となりました。しかし、BTCは依然として調整が続き、115,000ドル台から113,000ドル近辺(約1,710万円台後半)へ下落しました。
10月15日(水)
10月15日は、米国企業の決算発表が想定を上回る内容だった一方で、「米中貿易戦争が続く限り、株式市場は高値圏でのもちあいが続くのではないか」「米国政府機関の閉鎖も続いており、この閉鎖は株式市場にとって逆風になる」との見方が広まり、市況は小反落しました。BTCの調整は続き、110,000ドル程度(約1,670万円程度)まで下落し、110,700ドル近辺(約1,670万円台後半)で推移しました。こうした不安定な状況から金価格が大幅高となり、1トロイオンス=4,350ドル台をつけました。
10月16日(木)
10月16日には、米国の地方銀行2行を巡り信用不安につながる可能性があるとの話題が浮上しました。ウェスタン・アライアンス・バンコーポレーション(Western Alliance Bancorporation)は商業用不動産ローンに関する訴訟を抱え、ザイオンズ・バンコーポレーション(Zions Bancorporation)は子会社が引き受けた融資で貸倒引当金と貸倒償却をそれぞれ発表しています。この話題を受け、株式市場の3指数は揃って下落しました。BTCは引き続き安値圏で推移し、107,500ドル(約1,620万円)程度まで下落。最終的に108,200ドル(約1,630万円)近辺で引けました。
10月17日(金)
10月17日は、トランプ大統領がインタビューで中国に対し前向きな姿勢をみせたことについて好感し、またあらたな地方銀行の信用不安の話題も出なかったことから株式市場は反発上昇しました。しかし、BTCの調整は続き、一時103,500ドル近辺(約1,550万円台)まで下落し、106,400ドル台(約1,610万円近辺)で週を終えました。
アルトコインの動向(ETH・XRP)
ETHとXRPの価格推移は、週を通じてBTCとほぼ同様の軌跡を描きました。ETHは週初に4,300ドル半ば(約65万円台)まで上昇しましたが、その後は連日の下落で3,800ドル半ば(約58万円台)割れ近辺まで下げました。XRPも週初は2.70ドル台(約400円台前半)でしたが、最終的に2.30ドル(約345円近辺)で終えました。
ETH(イーサリアム):反発と資金流入が材料に
ETHは今週、3,600(約54万円台半ば)〜3,700ドル(約55万円台半ば)のサポート帯から反発し、4,000ドル台(約60万円台)を回復する展開となりました。
背景には、
- テクニカル的な反発ポイント到達
- BTCからETHへの資金シフト(資金流入観測)
といった銘柄固有の強材料があり、マーケット全体が調整するなかでも比較的堅調な値動きが目立ちました。
XRP(エックスアールピー):ETF関連の材料はあるが価格反応は鈍い
XRPは今週、ETF申請やホエール(大口)保有者数の増加など、制度面・需給面でのポジティブ材料が出ました。
ただし価格は2.10(約315円)〜2.35ドル(約355円)のレンジ内での推移が続き、一時15%の急落もみられるなど、
材料が価格上昇に直結しない展開となりました。
市場全体のセンチメントに引きずられた側面が強く、ETHに比べると銘柄固有要因の影響は限定的でした。
米国では政府機関閉鎖が続いており、現時点で未発表の重要指標は次の通りです。 ※ 生産者物価指数9月、小売売上高9月、新規失業保険申請件数9/28-10/04、住宅着工件数9月、鉱工業生産指数9月など
今週の経済イベントカレンダー
Calendar of Economic Events This Week
月 | 日 | 曜日 | 日本時間 | 国 | 経済イベント | 重要度 |
---|---|---|---|---|---|---|
10 | 20 | 月 | 10:30 | 中国 | 新規住宅販売価格9月 | ★★★☆☆ | 10 | 20 | 月 | 11:00 | 中国 | 2025年第3四半期実質GDP | ★★★★☆ |
10 | 20 | 月 | 11:00 | 中国 | 鉱工業生産指数9月 | ★★★☆☆ |
10 | 20 | 月 | 11:00 | 中国 | 小売売上高9月 | ★★★☆☆ |
10 | 23 | 木 | 未定 | 米国 | 新規失業保険申請件数10/12-10/18 | ★★★☆☆ |
10 | 23 | 木 | 23:00 | 米国 | 中古住宅販売件数9月 | ★★★★☆ |
10 | 24 | 金 | 08:30 | 日本 | 全国消費者物価指数(CPI)9月 | ★★★☆☆ |
10 | 24 | 金 | 21:30 | 米国 | 消費者物価指数9月 | ★★★★★ |
10 | 24 | 金 | 22:45 | 米国 | 製造業・サービス業PMI(10月) | ★★★★★ |
10 | 24 | 金 | 未定 | 米国 | 新築住宅販売件数9月 | ★★☆☆☆ |
10 | 24 | 金 | 23:00 | 米国 | ミシガン大学消費者信頼感指数10月 | ★★★☆☆ |
【政府機関閉鎖に伴う未発表の重要イベント】
米国では政府機関閉鎖が続いており、現時点で未発表の重要なものは次の通りです。
- 生産者物価指数 9月
- 小売売上高 9月
- 新規失業保険申請件数 9/28-10/04
- 住宅着工件数 9月
- 鉱工業生産指数 9月
【来週の重要イベント】
- 10月28日-29日 米国 FOMC(連邦公開市場委員会)
- 10月29日-30日 日本 日本銀行金融政策決定会合
市場環境と見通し
今週の暗号資産市場は下値を固める展開になると考えています。10月9日の下落による影響が非常に大きく、その後の調整には時間がかかっています。しかし、調整局面でもBTCが10万ドル(約1,510万円)を割り込むことはありませんでした。18日〜19日にかけて底値を固めたとみられ、20日正午過ぎにはBTCが11万ドル台(約1,660万円台)を回復しています。
暗号資産市場は先々週から予想外の展開が続きましたが、足元ではフォローの流れが感じられます。米国政府の閉鎖により米ドルや米国政府への信頼が低下したことを背景に、金価格は先週に驚くような上昇をみせました。週末は調整しましたが、この流れは簡単には終わらないでしょう。暗号資産市場も貴金属市場に追随する展開になると考えています。
今週は米国の注目企業による決算発表が始まり、その内容や見通しが焦点となります。また来週にはFOMCと日銀の金融政策決定会合が予定されており、米国の追加利下げと日本銀行による利上げの行方が注目されます。今週の市場はこうした金融政策の方向性を見極めながらの展開になるとみられます。暗号資産はすでに調整を終えつつあるため、短期的には大きな下落を想定する必要はないと考えますが、価格動向は引き続き注視が必要です。
地政学的にはウクライナ情勢、経済的には米中貿易交渉、そして日米の金融政策と為替動向など、注目材料が多い状況です。暗号資産市場の年末に向けた上昇を見据え、じっくりとした対応が求められます。
- PMIの読み方:米国の製造業・サービス業PMIは景況感の先行指標で、一般に「50」を境に拡大・縮小を示唆します。速報値は月後半、確報は翌月に発表されることが多く、サプライズは株式・為替・暗号資産のセンチメントに影響を及ぼしやすい傾向があります。
- 金価格と暗号資産:金は伝統的な「安全資産」とされ、ドルや実質金利の動向と逆相関になりやすい局面があります。ビットコインは「デジタル・ゴールド」と呼ばれることもありますが、短期的にはリスク資産としての性格を示す場面も多く、株式市場のボラティリティに同調する傾向があります。
- イベントリスクの管理:FOMCや重要インフレ指標(CPI、PCE)、雇用統計、住宅関連の指標は価格変動を大きくしやすいイベントです。短期トレードでは発表前後のスプレッド拡大や流動性低下に留意し、中期・長期では物価や雇用のトレンドを重視するのが合理的です。