先週の暗号資産市場の振り返り

先週の暗号資産市場は、ヴァンス副大統領が「ビットコイン2025」で講演を行う予定があり、その内容に注目するとともに暗号資産全体の動きへの波及を期待するところでしたが、トランプ関税政策に関する話題により金融市場とともに上値を抑えられる週となり、週末に向けて甘い展開で終わりました。

BTC は週初、109,000 ドル(1,560 万円)近辺から始まりました。前日(25 日)にトランプ大統領は、EU のフォンデアライエン委員長との電話会談により対EU 関税50%の発動を6 月1 日から7 月9 日に延期すると発表しており、この結果から価格上昇の期待を持っていましたが、26 日(月)がメモリアルデー(戦没者祈念日)で金融市場が休場であったこともあり、目立った動きとはなりませんでした。

金融市場と暗号資産市場の乖離

翌 27 日は金融市場が再開され株式市場では、 NY ダウ平均+740 ドル、S&P500+118、NASDAQ+461 と3 指数とも大幅高となりましたが、暗号資産市場への波及はなくBTC は前日同様に109,000 ドル近辺のもみ合いに終始しました。

28 日にはFOMC 議事録要旨が公表され、当局者の考え方が確認されました。内容としては「米国経済を巡る不確実性が高まっているとして、政策金利の調整を行ううえでは慎重なアプローチが正当化される」とし、具体的には「経済成長と労働市場は堅調で、現在の金融政策がやや引締め的であることを踏まえると、委員会としてはインフレと経済活動の見通しがより明確になるのを待つ状況が整っているとの認識で参加者は一致した」との内容でした。

また2025 年と2026 年の経済成長見通しが下方修正し、リセッションの可能性は基本のシナリオ通りにあるとしています。

こうしたFOMC 議事録の慎重な内容は、予想はされていましたが、株式市場の上値を抑え、夕方に発表されるエヌヴィディアの決算を控えて、金融市場、暗号資産市場ともにやや軟調に推移しました。

NVIDIAの基盤のイメージ

市場材料と期待のギャップ

29 日はエヌヴィディアの好決算を受けて株式市場は上昇しましたが、米国貿易裁判所がトランプ関税に対して「違法で無効」と判断を示し差し止め命令を出したことから、上値を抑えられました。

また28 日の「ビットコイン2025」でヴァンス副大統領は、「BTC は次の10 年間で米国にとって戦略的に重要な資産となる方向に向かっている」と講演しましたが、暗号資産市場への大きなインパクトにはなりませんでした。

30 日は市場への材料となるものは特になく各市場とも小動きに終始し、BTC はやや軟調となり、104,000 ドル(1,500 万円)近辺で終了しました。

ETH やXRP も目立った動きとはならず、ETH は36.5 万円程度から始まり、週央に40.7 万円近辺まで上昇しましたが、結局行ってこいの様相となり36.5 万円程度で週を終え、XRPは週を通じて軟調な動きとなり、308 円程度となりました。

今週の経済イベントカレンダー
Calendar of Economic Events This Week

曜日日本時間経済イベント重要度
06 02 22:45 米国 製造業PMI(購買担当者景気指数)5 月 ★★★★☆
06 02 23:00 米国 ISM 製造業景気指数5 月 ★★★★★
06 03 18:00 欧州 ユーロ圏HICP(消費者物価指数)5 月 ★★★☆☆
06 03 23:00 米国 JOLTS 求人件数4 月 ★★★★☆
06 03 23:00 米国 耐久財受注4 月 ★★★★☆
06 04 22:45 米国 サービス業PMI5 月 ★★★☆☆
06 04 23:00 米国 ISM 非製造業景気指数5 月 ★★★★★
06 05 18:00 欧州 ユーロ圏PPI(生産者物価指数)4 月 ★★☆☆☆
06 05 21:15 欧州 ECB 政策金利決定会合 ★★★★★
06 05 21:30 米国 貿易収支4 月 ★★★★☆
06 05 21:30 米国 失業保険申請件数5/18-5/24 ★★★☆☆
06 06 21:30 米国 雇用統計5 月 ★★★★★
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今週は週末の米国雇用統計に向けてJOLTS 求人件数・ADP 雇用者数またISM の製造業・非製造業景気指数の発表など、FOMC がコメントしている経済成長と労働市場に関する経済指標の発表が相次ぎます。関税問題による影響が出ているのかがポイントですが、今後の金融政策を占っていく重要な鍵となるだけに注目されます。

米中・米欧の関税問題にも注視

また先週EUとの関税は延期となりましたが、中国との間に緊張感が出てきており、交渉の状況が気になるところです。また鉄鋼とアルミへの税率50%への引き上げがどのような影響を見せるのかもきになります。何にしましても関税政策の動向は今後の米国経済を左右する問題だけに目が離せません。

bitcoin2025

暗号資産市場の展望

一方で期待された「ビットコイン2025」でのヴァンス副大統領の講演でしたが、暗号資産市場への波及はなく、今後のトランプ政権による暗号資産政策の進展が重要なポイントになってきます。

今週も金融市場の動向を気にしながらの展開になるとおもわれますが、ビットコインの値動きは下値を固める展開が続いていると思われ、新たな材料待ちと考えています。

しばらくは、トランプによる暗号資産政策の進展を注視していただき、動きを見守りたいと思います。

BTC積立企画

2023年6月から月毎に10万円分の暗号資産を実際に積み立てていき、そのポートフォリオを公開する企画です。ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、日本の取引所でも取り扱われており、米ドルとペッグ(連動)するステーブルコインであるダイ(DAI)を対象としています。

これまでの暗号資産積み立ての状況
Accumulation Status

[期間:2023.06.05 〜 2025.06.30]

ポートフォリオの現在の資産価値
 円

含み益(現在の資産価値 - 合計積立金額)
 円

利益率
%

積み立て回数
16 回

合計積立金額
1,600,000 円

ポートフォリオの構成

    ポートフォリオ

    銘柄 シンボル 対円レート 保有数量 日本円換算 構成比
    ビットコイン BTC [BTC/JPY] 0.1523 BTC %
    イーサリアム ETH [ETH/JPY] 1.8884 ETH %
    ダイ DAI [DAI/JPY] 80 DAI %
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