先週の暗号資産市場と米国金融市場の振り返り

先週の暗号資産市場は金融市場での目立った材料もなく、米国10年国債利回りが4.2%台へ上昇し株式市場の頭を抑える影響もあり、全体としては小幅なレンジでの動きとなりました。

テスラ好決算

21日(月)は米国10年債利回りが4.2%台へ上昇した影響からNYダウ株式市場が下落し、BTCも連れ安となり、69,000ドル台から67,000ドル台へ下落しました。67,000ドル近辺で下げ止まり、22日(火)は67,000ドル台の小幅な動きとなりました。23日(水)にはNY株式市場の再度の下落を受けてBTCは66,000ドルを割れ、一時1,000万円を割れる水準まで下落しました。24日(木)には好決算を発表したテスラ主導によるハイテク株の上昇により暗号資産は連れ高し、BTCは大きく上昇しましたが、69,000ドルに近づくと上値が重く失速しています。25日(金)はやや甘い展開となり、BTCは1010万円台半ば、ETHは37万円台前半、XRPは76円台半ばで週を終えています。

テスラ社のダッシュボード

長期金利が上昇すると、企業が借入れにかかるコストが増え、事業拡大や利益が抑えられる可能性が出てくるため、株価に下落圧力がかかります。

また、投資家は安全性の高い国債に資金を移しやすくなり、リスクの高い暗号資産への資金が流れにくくなる為に、株式やビットコインや暗号資産などリスク資産にとって不利な状況になります。

経済指標と市場の反応

米国金融市場では、経済指標の発表を受けて債券市場では米国債利回りが4.2%台半ばまで上昇し、株式市場では週を通じて上値の重い展開となりました。米国株式市場では先週1週間でNYダウ平均が1161ドル下落、S&P500が56ポイント下落、NASDAQは29ポイント高となりました。

22日(火)に発表されたリッチモンド連銀製造業指数は予想のマイナス18や前月のマイナス21を上回るマイナス14でしたが、株式市場では反応が見られませんでした。23日(水)米国中古住宅販売件数9月は年率換算384万戸となり、2010年10月以来の低水準な結果でした。これは住宅価格の高騰と在庫不足そして高い金利水準が重しとなったと考えられます。

一方で24日(木)に発表されたPMI(購買担当者景気指数)10月は0.3%上昇し54.3で予想の53.8を上回りました。内訳として製造業は47.8で前月より0.5%上昇し、サービス業は55.3で0.1%上昇しています。堅調な需要を背景に米企業活動は拡大しており、モノやサービスの値上げペースが約4年半で最も緩やかとなって、米国経済が第4四半期に好調な出だしを切ったことを示唆しているとニュースで報じています。また同日に発表された新築住宅販売件数9月は年率73.8万戸で前月比4.1%増加し、2023年5月以来の高水準となりました。金利低下を反映したと思われます。

さらに25日(金)のミシガン大学消費者信頼感指数10月は70.5で前月の70.1や予想の69.0を上回り6ヶ月ぶりの高水準となりました。これは金利低下を背景として自動車などの高額商品の環境が改善したと言われています。このような堅調な結果が続いて発表され、前日やや低下した金利は再度上昇し、米国10年国債利回りは4.24%となっています。

今週注目の経済イベント

今週発表される経済指標では、週末11月1日(金)に雇用統計がありますが、その前哨戦というべき、JOLTS求人件数やADP雇用者数の結果が注目されます。また31日の米国個人消費支出価格指数(PCE)もあります。またCB消費者信頼感指数などの経済活動の指標の発表も含めて、5日の大統領選挙と7日のFOMCがどのような結果となるのか予断を許さない週となりそうです。

今週の暗号資産市場は、こうしたイベントスケジュールがある中で、やはり金融市場の動向をにらんだ動きが続くと思われます。米国債券市場では、経済指標の結果もありますが、大統領選挙でハリス副大統領とトランプ氏のどちらが勝利するにしても、就任後に景気対策により積極的な財政政策を取る結果、米国債利回りが上昇し、インフレが再燃すると考えられています。

こうした考え方から今週の米国債券市場は金利が高止まりすると思われ、米国株式市場も頭の重い展開となるのではないでしょうか。

決算発表のイメージ

重要企業の決算発表

また、今週発表されるこれら重要企業の決算は、金融市場全体に大きな影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。

  • 10月29日(火)
    • アルファベット (Alphabet):広告市場の影響やクラウド事業が焦点。
  • 10月30日(水)
    • メタ (Meta):広告収入やメタバース関連の進展が注目されます。
    • マイクロソフト (Microsoft):テクノロジー分野の動向を左右するため注目。
  • 10月31日(木)
    • アップル (Apple):iPhoneやサービス部門の売上に注目。
    • アマゾン (Amazon):eコマースとクラウド事業の成長が焦点です。

一方で、地政学リスクにも引き続き注意が必要です。中東ではイスラエルによる報復攻撃が行われ、今後のイランの動向が気になるところです。

暗号資産市場では、こうした金融市場の影響から先週と同様に頭の重い様子見展開が続くと考えています。投資家の皆様におかれましては、今週発表される経済指標の結果とその影響を受けた米国金融市場の動向に十分に注意をしていただくとともに、暗号資産の価格動向をしっかりと注視していただくようお願いいたします。

今週の経済イベントカレンダー
Calendar of Economic Events This Week

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曜日日本時間経済イベント重要度
10 29 22:00 米国 ケースシラー住宅価格指数8月 ★★★☆☆
10 29 23:00 米国 JOLTS求人件数9月 ★★★★☆
10 29 23:00 米国 CB(コンファレンスボード)消費者信頼感指数10月 ★★★★☆
10 30 21:15 米国 ADP雇用者数10月 ★★★★☆
10 30 21:30 米国 2024年第3四半期実質GDP ★★★★★
10 31 10:30 中国 PMI(購買担当者景気指数)製造業・サービス業10月 ★★★☆☆
10 31 未定 日本 日本銀行金融政策決定会合 ★★★★☆
10 31 19:00 欧州 ユーロ圏HICP(消費者物価指数)10月 ★★★☆☆
10 31 21:30 米国 個人消費支出価格指数(PCE)10月 ★★★★☆
10 31 22:45 米国 シカゴ購買部協会景気指数10月 ★★★☆☆
11 01 21:30 米国 雇用統計(非農業部門就業者数、失業率、平均時給)9月 ★★★★★
来週の最重要経済イベント
11 05 未定 米国 大統領選挙 ★★★★★
11 07 28:00 米国 FOMC(連邦公開市場委員会) ★★★★★

これまでの暗号資産積み立ての状況
Accumulation Status

[期間:2023.06.05 〜 2024.11.27]

2023年6月から月毎に10万円分の暗号資産を実際に積み立てていき、そのポートフォリオを公開する企画です。ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、日本の取引所でも取り扱われており、米ドルとペッグ〔連動〕するステーブルコインであるダイ(DAI)を対象としています。

ポートフォリオの現在の資産価値

含み益(現在の資産価値 - 合計積立金額)

利益率
%

積み立て回数
16

合計積立金額
1,600,000

ポートフォリオの構成

    ポートフォリオ

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    銘柄 シンボル 対円レート 保有数量 日本円換算 構成比
    ビットコイン BTC [BTC/JPY] 0.1523 BTC %
    イーサリアム ETH [ETH/JPY] 1.8884 ETH %
    ダイ DAI [DAI/JPY] 80 DAI %