今週のビットコイン市場のポイント
2024.9/9 〜 15

先週の米国金融市場の振り返り

先週の米国金融市場は、週末6日(金)に注目される米国雇用統計を控える中で、事前に発表された経済指標により上値の重い厳しい展開となりました。

米国製造業PMIとISMの発表

3日(火)の米国製造業PMI8月は48.0と7月の49.6や横ばいであった市場予想を下回り8ヶ月ぶりの低水準となりました。また同日発表の米国ISM8月も47.2で前月の46.8より改善したものの市場予想の47.5を下回り、5ヶ月連続で50を下回る結果となりました。ISMの調査担当者は「企業は設備投資・在庫投資に消極的で需要は引き続き低迷している」と述べています。こうした製造業の動向から株式市場は大きく下落しました。

JOLTS求人件数とADP雇用統計

4日(水)にはJOLTS求人件数7月、5日(木)にはADP雇用統計8月が発表され、6日(金)に発表される雇用統計の前哨戦として注目されていました。JOLTS求人件数は767.3万件と前月より23.7万件減少し、市場予想の810万件を大きく下回りました。これは3年ぶりの低水準な結果でした。さらに5日(木)のADP雇用統計は民間部門雇用者数が9.9万人増加となりましたが、市場予想の14.5万人を大きく下回り、3年半ぶりの低い伸びとなりました。これらを受け米国株式市場は引き続き甘い地合が継続しました。

アメリカ労働市場

米国雇用統計の結果と市場への影響

6日(金)に最も注目される米国雇用統計が発表されました。失業率は7月の4.3%から予想通りの4.2%に改善されましたが、非農業部門就業者数は14.2万人の増加で市場予想の16.5万人を下回り、さらに6月と7月の就業者数が下方修正されました。また平均時給は前年同月比+3.2%、前月比+0.4%と市場予想を上回りました。

雇用統計の発表は硬軟まちまちの結果ではありましたが、就業者数の下方修正や今月が予想を下回ったことなどから、米国債券市場では米国10年国債利回りが3.71%まで低下し、株式市場では3指数とも大きく下落しました。NYダウ平均が410ドル安、S&P500が94ポイント安、NASDAQが436ポイント安で終了しています。

FOMC注目は利下げの幅

FOMCに向けた見通し

来週17日-18日に開催されるFOMCに向けて、今回の雇用統計の結果は、金融当局にとって青信号にも赤信号にもならず、経済が良い状態とはっきりさせるものでもありませんでした。金利引き下げを想定している金融当局は、引き下げの幅について0.25%にするのか0.50%にするのか難しい選択について会合で議論をすることになります。

暗号資産は週を通じて上値の重い展開

一方、こうした経済指標の発表と米国金融市場の動向を受けた暗号資産市場の動きは、やはり週を通じて上値の重い展開となりました。金融市場が休場であったレイバーデイの2日(月)こそイスラエルの停戦期待が高まり、BTCが上値をトライし860~870万円台へ進む場面が見られましたが、その後は日に日に上値を抑えられる展開が続きました。

週末6日(金)は雇用統計の結果を受けて失速しドルベースで53,000ドル台まで(753万円)下落しました。景気後退懸念が重しとなり、週末終値はBTC778万円台、ETH33万円前後、XRP75円半ばとなっています。

今週注目の経済イベント

今週発表される経済指標には米国の消費者物価指数8月が11日(水)に予定されていますが、米国金融当局は次回のFOMCで利下げを行う方向に向かっており、余程の上昇率の上昇が無い限り影響はないものと思われます。他に米国金融市場へ大きな影響を与えるものはないと考えられ、FOMCで決定される利下げの幅がどうなるのかが焦点になってくると思われます。現時点での利下げ幅に対する市場の見方は0.25%が70%程度、0.50%が30%程度と思われます。米国金融市場の今週はこの利下げ幅の思惑での小幅での展開になると思われます。

一方で、日本の景気に関する経済指標の発表がいくつか予定されています。2024年第2四半期GDP改定値や国内企業物価があります。2024年第2四半期GDP改定値は既に発表され、前期比年率+2.9%、前期比+0.7%と市場予想を下回りました。速報値は+3.1%と+0.8%でしたので下方修正されています。また個人消費も+0.9%と速報値の+1.0%から引き下げられました。

日本銀行の植田総裁は8月23日に行われた国会閉鎖中の審査で「経済・物価の動きが日本銀行の見通しに沿って推移するならば利上げを行う」との姿勢を示していましたので、「日本銀行は個人消費の強さが確認できた時点で利上げに動くのではないか」と考えられ、「市場が不安定な9月の利上げはないだろうが、年内の利上げはありうる」と見られています。

利上げに向けては物価動向が大きなポイントの一つですので、国内企業物価の動きは今後の日銀判断に重要な影響があるものと考えられ、注目はしてきたいと思います。特に円高方向に動きはじめたドル円相場の展開は、今後の米国FRBの利下げと日本銀行の利上げにより一段の円高をもたらすと考えられ、1ドル125円程度までを想定しておく必要があると考えています。

ビットコインのイメージ

ビットコイン・暗号資産マーケットの今週の見通し

今週のビットコインおよび暗号資産市場は、引き続き米国の経済指標と金融市場の動向を注視した展開が予想されます。特に、米国雇用統計が市場予想を下回ったことから、投資家は米国経済の成長減速を警戒しており、これが暗号資産市場の上値を抑える要因となる可能性があります。

FOMCに向けた利下げの影響

今週は9月11日(水)の米国消費者物価指数(CPI)や9月13日(金)のミシガン大学消費者信頼感指数に注目が集まりますが、最大の焦点は来週17日-18日に控えるFOMCの利下げ幅です。現時点での予想では、0.25%の利下げが優勢ですが、FOMC前の市場は様子見の姿勢を続け、ビットコインを含む暗号資産市場でも方向感に乏しいもみ合いが続くと見られます。

ドルの動向と暗号資産の関係

米国の利下げ予測に伴いドルの弱含みが進む中、円高が加速する可能性があります。これにより、ビットコインの日本円建て価格にも影響が及ぶことが予想されます。ドル建てでは、依然として53,000ドル台を維持していますが、円高が進行すれば、日本の投資家にとってのビットコイン価格の上昇は抑制される可能性があります。

暗号資産市場の短期的な展望

ビットコインの今週のレンジは、ドル建てで52,000ドル~54,000ドル、日本円建てでは730万円~780万円の範囲で推移する見通しです。今後のFOMCでの利下げ幅が明確になるまで、ビットコインや他の暗号資産は大きな動きを見せることなく、慎重な取引が続くことが予想されます。

まとめ

今週のビットコインおよび暗号資産市場は、米国の経済指標や金融市場の影響を強く受ける状況が続くでしょう。特に、FOMCにおける利下げ決定が市場に与える影響が注目されます。これにより、暗号資産市場は短期的には不安定な展開となる可能性がありますが、長期的には金利低下がビットコイン価格を押し上げる材料となるかもしれません。

今週の経済イベントカレンダー
Calendar of Economic Events This Week

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曜日日本時間経済イベント重要度
09 09 08:50 日本 2024年第2四半期GDP ★★★☆☆
09 09 10:30 中国 生産者物価指数,消費者物価指数(PPI,CPI)8月 ★★★☆☆
09 10 未定 中国 貿易収支8月 ★★★☆☆
09 11 21:30 米国 消費者物価指数(CPI)8月 ★★★★☆
09 12 08:50 日本 国内企業物価8月 ★★☆☆☆
09 12 21:15 欧州 ECB政策金利決定会合 ★★★★★
09 12 21:30 米国 生産者物価指数(PPI)8月 ★★★☆☆
09 13 23:00 米国 ミシガン大学消費者信頼感指数9月 ★★★★☆

これまでの暗号資産積み立ての状況
Accumulation Status

[期間:2023.06.05 〜 2024.09.19]

2023年6月から月毎に10万円分の暗号資産を実際に積み立てていき、そのポートフォリオを公開する企画です。ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、日本の取引所でも取り扱われており、米ドルとペッグ〔連動〕するステーブルコインであるダイ(DAI)を対象としています。

ポートフォリオの現在の資産価値

含み益(現在の資産価値 - 合計積立金額)

利益率
%

積み立て回数
14

合計積立金額
1,400,000

ポートフォリオの構成

    ポートフォリオ

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    銘柄 シンボル 対円レート 保有数量 日本円換算 構成比
    ビットコイン BTC [BTC/JPY] 0.1369 BTC %
    イーサリアム ETH [ETH/JPY] 1.7164 ETH %
    ダイ DAI [DAI/JPY] 80 DAI %