先週の市場の動向

先週は、週初に中国のAI新興企業であるDeepSeek社によって開発されたAIモデルの登場により、株式市場を中心にDeepSeekショックが起こりましたが、徐々に落ち着きを取り戻しました。しかし、トランプ大統領が当初から表明をしていたカナダ・メキシコからの輸入品に対して25%の追加関税をかけ、中国にも10%の追加関税をかけることが判明し、米国株式市場は3市場とも大きく下落する展開となり週を終えました。暗号資産市場も影響を受けてBTCやXRPが安く週を終えました。

暗号資産市場の動向

FOMCを控えた市場の反応

暗号資産市場は、29日(水)にFOMC(連邦公開市場委員会)の開催を控える中、27日に小安く始まりましたが、中国のDeepSeek社が1月に発表したAIモデルのモバイルアプリ「DeepSeek AI Assistant」の評判(価格の安さと高性能)から、「DeepSeekショック」が発生し、株式市場でテクノロジー銘柄が大きく下落しました。

この影響を受けてBTCも一時1,510万円程度(ドルベース:98,000ドル程度)まで下落する場面がありましたが、買い戻しが入って1,580万円程度まで戻しています。

28日は株式市場も落ち着きを取り戻し、また翌日にFOMCを控えていたことで、暗号資産市場は小幅のもみ合いに終始しました。

29日(水)のFOMCでは、政策金利は予想通りに横ばいとなり、パウエルFRB議長は、政策金利や政策のスタンスの調整を急ぐ必要はないとの認識を示し、ほぼ市場の予想した通りの会合結果となりました。

blockchainのイメージ

暗号資産市場の回復

パウエル議長から暗号資産に関して「リスク管理が適切に行われる限り、銀行による暗号資産関連サービスの提供を容認する」との発言があり、BTCが1,600万円台を回復するなど、暗号資産は値を戻す動きを見せました。

30日(木)は前日のFOMCの結果から安心感のもと株式市場、暗号資産市場ともに堅調な動きを見せ、BTCは一時1,640万円近辺(ドルベース:105,000ドル近辺)まで上昇しました。

31日(金)の市場の下落

しかし、31日(金)に入るとトランプ大統領がかねてより表明していたカナダ・メキシコへの追加関税を25%、そして中国へ10%の追加関税をかけるとの話から株式市場は下落へ転じ、暗号資産もBTCが1,590万円近辺、ETHが51万3,000円程度、XRPが472円程度で週を終えています。

証券取引所の様子

金融市場の動向

前述の通り、週初は株式市場がDeepSeekショックで荒れる場面がありましたが、徐々に落ち着きを取り戻しています。

メタ社・マイクロソフト社の決算発表

29日(水)にはメタ社やマイクロソフト社の2024年10-12月期の決算発表がありました。メタ社は売上高483億8,500万ドル(約7兆5,000億円)で前年同期比+21%、純利益は208億3,800万ドル(約3兆2,300億円)で前年同期比+49%という好決算となり、7四半期連続での増収増益を記録しました。

一方、マイクロソフト社も売上高696億3,200万ドル(約10兆8,200億円)で前年同期比+12%、純利益241億800万ドル(約3兆7,370億円)で前年同期比+10%と、こちらも8四半期連続の増収増益となりました。

しかし、マイクロソフト社のクラウド事業の成長が減速を示したことを市場は嫌気し、30日(木)には株価が27ドル安となりました。

FOMC後の金融市場

29日(水)のFOMCが比較的平穏に終わったことから、30日(木)の金融市場は落ち着いた展開となりましたが、31日(金)は追加関税の話題から市場は下落へ転じました。NYダウ平均は337ドル安、S&P500は30ポイント安、NASDAQは54ポイント安となりました。

経済指標のイメージ

経済指標の発表

28日(火)にコンファレンス・ボード(CB)消費者信頼感指数1月の発表があり、市場予想の105.6や前月の109.5を下回り、104.1となりました。CBのチーフエコノミストであるダナ・ピーターソン氏は「今回のデータは2ヶ月連続で低下し、現在の労働市場に対する見方で、9月以来、初めて悪化を示しています」と、やや変調を気にしたコメントを出しています。

31日(金)には個人消費支出価格(PCE)指数の発表があり、総合で前月比+0.3%、前年同月比+2.6%と、市場予想と一致する結果となりました。コア指数でも前月比+0.2%、前年同月比+2.8%でこちらも市場予想と一致しました。

市場の反応と今後の見通し

市場予想と一致していた事で金融市場は落ち着いた動きとなりましたが、前年同月比では3ヶ月連続で加速しており、9月の+2.1%から徐々に拡大をしている点が気になるところです。今後の結果について金融当局は注視していくことになると考えられます。

船と世界地図|世界貿易のイメージ

今後の市場の注目点

先週は経済指標の発表に対してほとんど反応を示さなかった金融市場でしたが、週末に発表されたPCEの動向は今後金融当局が注視していくと思われます。合わせて、今週末に発表される雇用統計が金融当局の政策金利の動向に影響を与える可能性があり、注目されるところとなります。そのため、今週は週を通じて雇用関連の指標に対して市場が神経質になることが予想されます。

また、2月1日にトランプ大統領が署名したカナダ・メキシコ、そして中国への追加関税に関する動向が市場の注目点となります。この追加関税の影響を受け、米国株式市場や暗号資産市場は下落しており、今後の各国の対応や他の国々に対する関税政策に対する警戒感から、市場は動きづらい展開が続く可能性があります。

暗号資産市場の展望

暗号資産市場では、週末にかけてBTCが10万ドルを割り込んでおり、下値の抵抗があるのか注視が必要な週となります。暗号資産にとって追い風となる材料が期待しづらい時期がしばらく続くと考えられるため、投資家の皆様には辛抱強く中核銘柄の動向を注視していただくようお願いいたします。

今週の経済イベントカレンダー
Calendar of Economic Events This Week

scroll >>

曜日日本時間経済イベント重要度
02 03 19:00 欧州 ユーロ圏消費者物価指数(HICP)1月 ★★★☆☆
02 03 23:45 米国 製造業PMI(購買担当者景気指数)1月 ★★★★☆
02 03 24:00 米国 ISM製造業景気指数1月 ★★★★★
02 04 24:00 米国 JOLTS求人件数12月 ★★★★☆
02 05 19:00 欧州 ユーロ圏生産者物価指数(PPI)1月 ★★☆☆☆
02 05 22:15 米国 ADP雇用者数1月 ★★★★☆
02 05 22:30 米国 貿易収支12月 ★★★★☆
02 05 23:45 米国 非製造業PMI1月 ★★★☆☆
02 06 22:30 米国 新規失業保険申請件数1/19-1/25 ★★★☆☆
02 07 22:30 米国 雇用統計(失業率、非農業部門就業者数、平均時給)1月 ★★★★★
02 07 24:00 米国 ミシガン大学消費者信頼感指数2月 ★★★★☆

これまでの暗号資産積み立ての状況
Accumulation Status

[期間:2023.06.05 〜 2025.02.05]

2023年6月から月毎に10万円分の暗号資産を実際に積み立てていき、そのポートフォリオを公開する企画です。ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、日本の取引所でも取り扱われており、米ドルとペッグ〔連動〕するステーブルコインであるダイ(DAI)を対象としています。

ポートフォリオの現在の資産価値

含み益(現在の資産価値 - 合計積立金額)

利益率
%

積み立て回数
16

合計積立金額
1,600,000

ポートフォリオの構成

    ポートフォリオ

    scroll >>

    銘柄 シンボル 対円レート 保有数量 日本円換算 構成比
    ビットコイン BTC [BTC/JPY] 0.1523 BTC %
    イーサリアム ETH [ETH/JPY] 1.8884 ETH %
    ダイ DAI [DAI/JPY] 80 DAI %