暗号資産市場と米国選挙

先週の暗号資産市場は、当初の予想通りに米国大統領選挙の動向とFOMCの結果によって大きく動く展開となり、大統領選挙の結果がトランプ前大統領の当選という結果を受けて暗号資産市場は大活況となり、大きく上昇し、FOMCの結果も0.25%の利下げが行われ、波乱要因にはなりませんでした。

ビットコインと主要アルトコインの動向

週初、ビットコインは上値の重い展開で1020万円程度での動きとなりましたが、翌日5日には少し落ち着きを取り戻して1050万円程度への反発を見せました。選挙開票の始まった6日になると激戦を伝えられていたペンシルベニアでのトランプ氏の好調さが伝わり、大きく反発を始めトランプ氏当選のニュースとともに1150万円台から一時1200万円を付けるまで上昇し、1175万円程度でもみ合いに入り、1160万円台で週を終えています。

ADA カルダノコインのイメージ

現物ビットコインETFの取引高とアルトコイン

7日には現物ビットコインETFへの資金流入が13.7億ドルと過去最高額を記録し、取引は活況となっています。こうした動きにつられてETHは44万円台後半、XRPは84円台へ上昇し週を終えています。また、目立つ動きとして、ADAが対円で11月5日から10日にかけて100%以上の急騰を記録しています。

これはイーサリアム(Ethereum)の共同創設者であり、ADAの創設者であるチャールズ・ホスキンソン氏がトランプ政権の暗号政策部門に加わる可能性があるという噂に対する過剰な期待が要因と思われます。

ホスキンソン氏は最新のYouTubeライブストリームでトランプ政権から暗号政策部門への正式な招待については触れませんでしたが、政府関係者との連携を深めるためのオフィスを設立する予定があると明かしています

現時点(11月10日)でトランプ大統領は仮想通貨政策専門グループの結成を公式に発表していませんが、トランプ大統領とホスキンソン氏の動向に注目が集まっています。

トランプ政権が暗号資産市場に与える影響

トランプ前大統領による暗号資産市場に対するこれまでのコメントでは、①SEC(証券取引委員会)のゲイリー・ゲンスラー委員長を「就任初日に解任する」②BTCマイニングの推進③戦略的BTC準備金の創設④中央銀行デジタル通貨(CBDC)の阻止などがあげられています。大統領選挙と同時に行われた国会議員選挙でも共和党の躍進により、暗号資産市場にとって非常に好意的な政権と連邦議会が発足するとの期待が高まり、暗号資産の動きを強く後押ししています。

米国金融市場の動向

一方、米国金融市場は、やはり大統領選挙の結果を受けて、株式市場は大きく上昇しNYダウ平均、S&P500、NASDAQの3指数はそろって史上最高値を更新しています。債券市場ではインフレへの懸念から10年国債利回りが大きく上昇し、一時4.4%台まで進みました。

連邦準備銀行

FOMCの利下げとパウエル議長の声明

FOMCでは当初の予想通りに0.25%の利下げが実施されました。パウエルFRB議長は次の利下げについてのコメントは行わず、今後の経済指標の結果を見ながら、その都度適切な判断を行っていくとの認識を示しました。また大統領選挙の結果については、金融政策への影響はないとコメントし、市場が動揺するのを抑えるコメントを発しています。

主要経済指標と米国の景気見通し

経済指標の発表では、ISM製造業景気指数10月が46.5と前月の47.2から0.7低下し、予想の47.6も下回り製造業の停滞を示しました。ただ景気全体の悪化を示すまではいたっていないとの判断のようです。また非製造業PMI10月も49.0と4ヶ月連続で50を下回りました。ただミシガン大学消費者信頼感指数が73.0と前月の70.5や予想の70.9を大きく上回り、トランプ大統領の就任により景気の先行きへの期待が高まっていることが窺われ、金融市場では、インフレへの警戒感があるものの景気の先高感が上回る熱気となっているようです。

今週の注目イベント

今週のイベントとしては、13日と14日に発表される消費者物価指数と生産者物価指数の2つが注目されるものとなります。ただ物価についてはどちらの指数も落ち着きつつある傾向を示してきており、今回もインフレの落ち着きを確認する発表になるとの予想が支配的ですので、波乱要因にはならないと思われ、返って今後の利下げ期待に繋がる可能性があるのではないでしょうか。

トランプ大統領とイーロンマスクのイラスト

今後の市場の見通し

そうした金融市場の雰囲気から株式市場は引き続き堅調な動きが考えられます。また暗号資産市場についても同様で、特にビットコインはこれまでのチャート上でのもみ合いを離れたと考えられており、さらに上値をトライする可能性が高いと考えられます。

また来年からの暗号資産市場への好意的な政権のスタートをにらみ、暗号資産市場全体への期待感が広がると考えられます。イーロン・マスク氏の政権への参加もあり、関連するドージコインなどBTC、ETHやXRPばかりでなく他の銘柄への波及が考えられる市況の動きとなってくるのではないでしょうか。

投資家のみなさまには、中東情勢などの地政学リスクなどには注意を払いつつも、しばらくの間、積極的な姿勢で暗号資産市場を見ていただいて良い時期と考えています。

暗号資産市場への期待とリスク

今後の市場に対する楽観的な見方が広がる中、投資家の皆さまにとっては、リスク管理が非常に重要です。特に、中東情勢やアジア経済の不安定要素、また米国国内の政権変動に伴う政策変更など、地政学的リスクや不確定要素も考慮に入れた投資判断が求められます。

上昇するビットコイン

一方、暗号資産市場への関心が高まるなか、ビットコインをはじめとする主要銘柄の上昇傾向が続く可能性も見込まれています。共和党政権の発足により、今後の規制緩和が期待されると同時に、新たな資金流入の機会も増え、機関投資家の参入も加速するかもしれません。

まとめ

暗号資産市場は、トランプ大統領の当選やFOMCの利下げを背景に好調な動きを見せています。今後の市場ではビットコインやイーサリアム、XRPなどの主要銘柄に加え、ドージコインや他のアルトコインにも注目が集まることでしょう。投資家の皆さまは、市場の動向とリスクに注視しながら、積極的に市場参加を検討してみてはいかがでしょうか。

今週の経済イベントカレンダー
Calendar of Economic Events This Week

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曜日日本時間経済イベント重要度
11 12 19:00 欧州 ユーロ圏ZEW景況感指数11月 ★★★☆☆
11 13 22:30 米国 消費者物価指数(CPI)10月 ★★★★☆
11 14 22:30 米国 生産者物価指数(PPI)10月 ★★★☆☆
11 15 08:50 日本 2024年第3四半期実質GDP成長率 ★★★☆☆
11 15 10:30 中国 新築住宅販売価格 ★★★☆☆
11 15 11:00 中国 鉱工業生産、小売売上高10月 ★★★☆☆
11 15 22:30 米国 NY連銀製造業景気指数11月 ★★★☆☆
11 15 22:30 米国 小売売上高10月 ★★★★★

これまでの暗号資産積み立ての状況
Accumulation Status

[期間:2023.06.05 〜 2024.11.27]

2023年6月から月毎に10万円分の暗号資産を実際に積み立てていき、そのポートフォリオを公開する企画です。ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、日本の取引所でも取り扱われており、米ドルとペッグ〔連動〕するステーブルコインであるダイ(DAI)を対象としています。

ポートフォリオの現在の資産価値

含み益(現在の資産価値 - 合計積立金額)

利益率
%

積み立て回数
16

合計積立金額
1,600,000

ポートフォリオの構成

    ポートフォリオ

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    銘柄 シンボル 対円レート 保有数量 日本円換算 構成比
    ビットコイン BTC [BTC/JPY] 0.1523 BTC %
    イーサリアム ETH [ETH/JPY] 1.8884 ETH %
    ダイ DAI [DAI/JPY] 80 DAI %