昨年より長らく期待を集めていたビットコイン現物ETFは、日本時間で11日承認されることとなった。SECによって承認されたビットコイン現物ETFは執筆時点で11件。暗号資産のシンボルのような存在であるビットコインの現物ETFが認められたことは、暗号資産市場にとって大きな進歩である。それと同時に、既存金融の仕組みを根本から変えていく可能性に期待されていたビットコインが既存金融に取り込まれていく様になんともいえない寂しさを覚えた。

八木編集長FOCUS

 承認の前後には市場が錯綜する情報が滝のように流れていた。10日、SECの公式Xからビットコイン現物ETFの承認に関する情報が流れ、ビットコインの価格は急騰したものの、Xがハッキングされたことによる誤報だったことが分かり急落。正確な事実は定かではないが、SECの公式Xの2要素認証をしていなかった可能性も浮上している。価格操作に対して、極めて厳格で慎重な態度をとっていたSECが、今度は捜査の対象になりかねない状況になったのはお粗末な状況だった。最終的には翌日の日本時間11日承認に至ったものの、当日もCBOE(Chicago Board Options Exchange )がSECの公式発表に先んじてビットコイン現物ETF承認を発表したとされており、現物ETF承認の最後まで、一筋縄では行かなかった。

順調な滑り出しにも慎重な態度を

取引開始当日の最大の取引ボリュームであったのは、グレースケールの現物ETFで1.6billion(約2,200億円)以上あったとされている。11件のビットコイン現物ETFの総計では、3billion以上の取引ボリューム。この情報からみるに想定通り、暗号資産市場には資金が流れる可能性が高まったといえるものの、価格が上がりに上がった現時点で機関投資家を含めた金融のプロ達が動き出すのは時期尚早な雰囲気を感じている。

しかし、2004年ゴールドの現物ETFが承認された時には、約4年で370%の上昇をみせたことからも依然として半減期が絡むビットコインは底堅い推移をしそうだ。また、過去の動向から鑑みるに、次はアルトコイン現物ETFの承認の可否に注目が集まり、資金も流れ始めると想定されるためビットコインだけではなく、アルトコインの動向も追う忙しい1年になりそうだ。

  SEC、ビットコイン現物ETFを初承認 ブラックロックなど11件が上場へ

[Iolite記事]
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