「ビットコイン(BTC)の今後はどうなる?」――これから運用を始める方も、すでに保有している方も、まず知りたいのは短期〜中期の見通しではないでしょうか。暗号資産市場は成長が期待される一方で値動きが大きく、直近の材料(金融政策・ETF・規制・需給)によって相場が動きやすいのが特徴です。

本記事では、ビットコインの今後(短期・中期・10年後)を整理したうえで、現在価格と直近の値動き、ビットコインETFの影響、過去10年チャートと半減期、そして最新AI予想や有識者の見立てまでまとめて解説します。

この記事でわかること

  • 本記事でいう「短期・中期・10年後」の定義
  • 短期:数週間〜数か月
  • 中期:1〜2年(2026年〜2027年目安)
  • 10年後:2034〜2035年目安

【結論】ビットコインの今後はどうなる?短期・中期・10年後の見通し

ビットコイン(BTC)は「制度化(ETF・規制整備)」が進む一方で、短期は金利・ドルETFの資金フロー次第で上下しやすい局面が続きます。

  • 短期:短期は急な値動きが起こりやすいため、リスク管理が重要
  • 中期:金融政策・規制の明確化・ETFの定着・需給の組み合わせでトレンドが決まりやすい
  • 10年後:普及と制度化が進むにつれて追い風となりますが、規制や信用不安などの下振れ要因に注意が必要

短期(数週間〜数か月)の見通し

現在のような利下げ局面では、一般に資金循環が良くなりやすく、リスク資産への資金流入が意識されます。そのため中長期では、インフレヘッジや分散投資先としてビットコイン(BTC)への需要が高まりやすい、という見方がベースになります。

ただし短期(数週間〜数か月)では、金融政策とは別の「イベントリスク」にも注意が必要です。MSCI(世界の代表的な株価指数を提供する会社)が、資産の大半をビットコインなどのデジタル資産で保有する企業(DAT企業)を指数から除外し得るルール変更を検討しており、結論の公表が2026年1月15日に予定されています。もしDAT企業の代表例であるStrategy(旧MicroStrategy)社が主要指数から外れると、指数連動の投資信託やETFがルールに従って同社株を機械的に売る可能性があり、株価下落や流動性低下につながり得ます。

この動きがBTCの「暴落の火種」と言われるのは、株式の売りがBTCに間接的に波及し得るためです。具体的には、①同社株の下落で資金調達がしにくくなるとBTC買い増しの勢いが鈍る可能性、②「指数から外れる=市場の受け止めが厳しくなった」という心理面の悪材料でムードが冷えやすい点、③不安が高まると短期資金がリスク回避に動き、BTCのボラティリティが一時的に上がりやすい点――といった経路が想定されます。指数除外が直ちにBTCの強制売却を意味するわけではありませんが、結論公表の前後は相場が荒れやすい可能性があるため、短期見通しの注意点として整理しておくのが妥当です。

一般的に短期のビットコイン(BTC)は、株式などと同様に「金利・ドル・リスク選好」の影響を受けやすく、米インフレ指標やFOMCの発信で利下げ観測が揺れると、相場も上下しやすくなります。米金融政策サプライズが資産価格に影響することは実証研究でも整理されており、BTCもFOMC周辺で反応し得ることが示されています。特に相場が荒れる局面では、その影響が出やすい傾向があります。

また、米国の現物ビットコインETP(ETF)経由の資金流入・流出は短期需給を動かすため、日次フローの確認が実務的です。なお米SECは、現物ビットコインETPの承認はビットコイン自体を「承認・推奨」するものではなく、関連リスクへの注意を促しています。

参考|最新のBTC現物ETF日次資金流入・流出データとチャート sosovalue.com

  • 上がりやすい条件:
    • 利下げ観測が強まり、実質金利が低下(=非金利資産が相対的に買われやすい)
    • 米国の現物ビットコインETFへの資金流入が増加(需給面の追い風)
    • 過度なレバレッジが解消され、清算(ロスカット)連鎖が落ち着く
  • 下がりやすい条件:
    • インフレ指標などで利下げ期待が後退し、金利・ドルが反発(リスクオフ)
    • ETFの資金フローが鈍化/流出に転じる(短期需給が悪化)
    • 先物・無期限契約で清算が連鎖し、下落が加速(ボラ局面の典型)

《出典》
金融政策サプライズが資産価格に影響しうる(識別の枠組み):NBER Working Paper 「A Reassessment of Monetary Policy Surprises and High-Frequency Identification」 — NBER

金融政策ショックとBTC価格の関係(査読付き):ScienceDirect 「Monetary policy shocks and Bitcoin prices」 — ScienceDirect

米国の現物ビットコインETP(ETF等)承認の整理:米議会調査局(CRS) 「SEC Approves Bitcoin Exchange-Traded Products (ETPs)」 — Congress.gov(CRS)

米国現物ビットコインETFフロー(日次データ):Farside Investors 「Bitcoin ETF Flow (US$m)」 — farside.co.uk

承認=推奨ではない/リスク注意喚起:米SEC声明 「Statement on the Approval of Spot Bitcoin Exchange-Traded Products」 — SEC(証券取引委員会)

中期(2026年〜2027年目安)の見通し

中期(2026年〜2027年目安)の「ビットコイン今後」を考えるうえでは、価格そのものよりも 制度の整備買い手の広がり(ETF/金融機関での採用)が進むかが重要なポイントになります。 普及と制度化が進めば追い風になり得ますが、規制や信用不安などの下振れ要因にも注意が必要です。

米国では現物ビットコインETF(ETPを含む)が「伝統的な口座・運用枠でBTCにアクセスできる入口」として機能しやすく、 資金流入が続く局面では需給面の支えになり得ます。一方で、日次フローはプラスにもマイナスにも振れ得るため、 「流入が続いているのか/流出に転じたのか」を定点観測するのが実務的です。

日本については、暗号資産を「金融商品」としてどう位置づけるか、取引ルールや投資家保護をどう整えるか、税制をどうするか等の議論が進むほど、 国内の参加ハードル(不確実性/手続き負担)が下がり、中期的には市場環境の改善につながる可能性があります(ただし、制度改正の時期や内容は確定しません)。

需給面では、半減期によって新規供給ペースが段階的に落ちる構造があります。ただし「供給ショックがいつ価格に反映されるか」は、 ETFフローやマクロ環境、リスクオフ局面の有無なども絡むため、時期を断定しない前提で見ておくのが安全です。

  • 注目材料:
    • 米国:現物ETFの普及(資金流入・商品ラインナップ拡大・金融機関での採用)
    • 日本:暗号資産を「金融商品」として位置づける議論や、税制(申告分離課税20%案など)の方向性
    • 需給:半減期で新規供給ペースが低下する構造

《出典》
米国の現物ビットコインETP(ETF等)の承認・整理(CRS) Congressional Research Service (CRS)

承認=推奨ではない/投資家向け注意喚起(SECの声明・公表資料) U.S. Securities and Exchange Commission (SEC)

米国現物ビットコインETFフロー(日次データ) Farside Investors

10年後(2034〜)の見通し

10年後(2034年以降)のビットコインは、「供給の増え方がゆっくりになる設計」と「普及・制度化の進み具合」で方向感が決まりやすいと考えられます。 上振れのカギは、ETFなど規制下の商品を通じて、機関投資家やアドバイザー経由の買い手が増えるかどうか。いっぽうで下振れ要因として、規制強化・税制変更・信用不安などが起きた局面では、値動きが荒くなりやすい点に注意が必要です。

供給面では、ビットコインは発行上限があり、新規発行(ブロック報酬)は時間とともに減っていく仕組みです。 この構造が長期テーマとして意識されやすい一方、当局も「投機的で値動きが大きい資産」である点を繰り返し注意喚起しています。 また税務面でも、暗号資産取引の把握を強める国際的な枠組みが進んでおり、国・地域によってルールが変わる可能性は常に織り込む必要があります。

  • 上振れ要因:
    • 供給上限(最大2,100万BTC)と半減期による希少性が中長期テーマとして機能
    • ETFなど規制下の商品を通じた機関投資家・アドバイザー経由の需要拡大
  • 下振れ要因:
    • 規制強化・税制の逆風(国/地域で方針が変わるリスク)
    • 市場が成熟してもボラティリティが残り得る点(当局も「投機的・変動が大きい」と注意喚起)

《出典》
供給上限(約2,100万BTC)と新規発行が減っていく仕組み(半減): Bitcoin.org(FAQ)

現物ビットコインETP(ETF等)の承認整理・伝統的な口座経由でのアクセス: Congressional Research Service(IF12573)

「承認=推奨ではない」/投機性・値動きの大きさへの注意喚起: 米SEC声明

暗号資産市場の構造的リスク・価格変動の論点(G20向けBISレポート): BIS “The crypto ecosystem: key elements and risks”

税務面の国際標準(暗号資産の自動的情報交換の枠組み): OECD(CARF関連)

今後を左右する4つの重要指標

ビットコイン(BTC)の「今後」を判断するときは、細かなニュースを追うよりも、相場を大きく動かしやすい要因を4つに絞って見るのが効率的です。 金利・ドルはリスク資産全体の地合い(買われやすい/売られやすい)を決め、ETF資金フローは短期の需給に直結します。 さらに、規制・制度化は参加者(個人・機関)の増減や投資環境を左右し、需給は半減期や市場ポジションの偏りによって上げ下げの“勢い”を作りやすいからです。

  • 金利・ドル:FOMC、実質金利、ドル指数(DXY)
  • ETF資金フロー:日次/週次の純流入・純流出
  • 規制・制度化:米国(ETF/市場ルール)、日本(制度・税制改正の動き)
  • 需給:半減期サイクル、長期保有動向、先物建玉・清算状況

目的別:知りたい内容から読む

知りたいテーマに合わせて、以下のリンクから該当セクションへジャンプできます。

※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の投資行動を推奨するものではありません。

ビットコイン(BTC)の現在価格と直近の値動き

ビットコイン現在価格


[BTC / USD] ドル

[BTC / JPY]13,715,366 円

 2026/01/01 01:55更新
 Data by CoinGecko

短期的な値動きが起きる3つの主な理由

短期のBTCは「材料で動く」というより、資金の流れ市場のポジションに反応して動きやすいのが特徴です。 とくに次の3つは、数日〜数週間単位の上げ下げを作りやすい代表要因なので、ニュースを追う前にここだけ押さえておくと相場の理解が一気にラクになります。

  • 金利・ドルの影響:金利が上がる(利下げ期待が後退する)局面では、BTCを含むリスク資産が売られやすくなります。
  • ETFなど「制度化マネー」の流入出:現物ETFを通じた資金フローが増えると需給面で追い風になり、逆に鈍化・流出は短期の重しになり得ます。
  • レバレッジの巻き戻し:相場が急に動くと強制決済(清算)が連鎖し、短期間で上げ下げが大きくなることがあります。

円建て(BTC/JPY)の見方:ドル建て+為替で動く

  • BTCは世界的にはドル建てで価格が形成されやすく、円建ては「BTC/USD × USD/JPY」の影響を強く受けます。
  • そのため、BTCが横ばいでも、円安が進むとBTC/JPYは上がり、円高だと下がりやすい点に注意が必要です。

トレード時のチェック項目

短期で売買する場合は、細かな材料を追いすぎるよりも、相場の「勢い」と「需給」と「地合い」を先に確認するのが効率的です。以下の3点を見れば、いまの相場が動きやすい状態か、追い風か逆風かを短時間で判断できます。

  • BTCの当日高値・安値(値幅が大きい=不安定)
  • ETFの資金フロー(流入増=追い風/流出=逆風)
  • 金利・ドルの方向(リスクオン/オフの地合い確認)
ビットコイン(BTC)の今 Bitcoin Now

【10月以降の調整局面】BTCはなぜ下がった?高値更新後に調整が起きる背景と5つの注視ポイント

10月に史上最高値を付けた後、ビットコイン(BTC)は調整局面に入りました。こうした動きは「ビットコインだから特別」というより、 高値更新後に起きやすい典型パターンとして説明できます。 つまり、今回の調整を理解することは、そのまま「次に同じ局面が来たときに何を見ればいいか」を学ぶことにもつながります。

結論として、10月以降の調整は①利益確定 → ②レバレッジの巻き戻し → ③マクロ(金利・ドル)の揺り戻しが重なり、 そこに④ETFフローの変化⑤規制期待とリスクオフ連動が加わることで、下げが大きくなりやすい構造でした。 以下では原因を分けて、調整が起きる背景を「今回のケース」を通じて整理します。

① 高値圏での利益確定売り(「いったん売っておく」圧力)

ATH更新後は、短期勢を中心に含み益が膨らみやすく、上昇が一巡すると利益確定が出やすくなります。 10月の高値更新後の調整でも、まずはこの「高値圏での売り」が起点になり、その後の下落要因(清算連鎖など)を呼び込みやすい形になりました。

  • 起きやすいサイン:高値更新後に上値が伸びにくい/高値圏で出来高が増えるのに上昇が続かない
  • 次に見るもの:直近高値付近の値動き(反発の強さ/戻り売りの出やすさ)

《出典》
高値更新後に利益確定売りが出やすい背景(投資家心理・行動ファイナンス): Investopedia「Disposition Effect(利食いが早く、損切りが遅くなりやすい傾向)」

市場の急変動時にレバレッジ解消(マージン・清算)が連鎖し得る点(一般的な市場リスクの整理): BIS「The crypto ecosystem: key elements and risks」(暗号資産市場のリスクと構造)

② レバレッジの巻き戻し(清算が連鎖して下落が加速)

上昇局面では先物・無期限契約のロングが積み上がりやすく、下落が始まると強制決済(清算)が連鎖しやすくなります。 清算は「売り」を機械的に増やすため、短期間で値幅が拡大しやすいのが特徴です。 10月以降の調整も、利益確定による下落が引き金となり、清算の連鎖が下げを速める局面が起こり得ます。

いわゆる「ストップロスを巻き込んで暴落」とは、価格が一定ラインを割ることで①個人の逆指値(ストップロス)が次々に発動し、 同時に②レバレッジ取引のロスカット(清算)も発生して、売りが売りを呼ぶ状態になることを指します。 最初は小さな下げでも、重要な価格帯(サポート)を割った瞬間に売り注文が集中し、下落スピードが一気に上がるのが典型です。

  • 起きやすいサイン:下げが短時間で進む/長い陰線が続く/反発が弱い
  • 次に見るもの:先物建玉(OI)、清算データ、Funding(過熱感の目安)

《出典》
先物の「建玉(Open Interest)」の定義と見方: CME Group(Open Interest)

無期限先物のFunding(資金調達率)の仕組み(現物と無期限の価格差を調整する支払い): Binance(Funding Rates FAQ)

無期限契約で「Fundingが発生するタイミング」と、支払い/受け取りが生じる条件: BitMEX(Perpetual Contracts Guide)

追証(マージンコール)未対応で「強制売却(forced liquidation)」が起こり得る点(レバレッジ取引の一般原則): Investopedia(Margin Call)

暗号資産市場の構造的リスク(レバレッジ・急変動・清算を含む論点の整理): BIS「The crypto ecosystem: key elements and risks」

③ 金利・ドルの揺り戻し(利下げ期待の修正が逆風に)

BTCは短期〜中期では、金利・ドルといったマクロ要因の影響を受けやすい局面があります。 利下げ観測が相場の追い風になっていた場合、インフレや雇用などの指標次第で見通しが修正され、金利・ドルが反発すると、 リスク資産全体が調整し、BTCにも売りが波及しやすくなります。 10月以降の調整局面では、こうしたマクロの揺り戻しが「下げの継続要因」になりやすい点が重要です。

  • 起きやすいサイン:米指標やFOMC前後で値動きが荒れる/株式と同方向に振れやすい
  • 次に見るもの:FOMC、実質金利、ドル指数(DXY)の方向感

《出典》
FOMC(政策金利・声明文・議事日程など): Federal Reserve(FOMC)

「利下げ観測(市場の織り込み)」の材料になりやすいSEP(ドットプロット)の読み方: Federal Reserve(Guide to the Summary of Economic Projections)

実質金利(10年TIPS利回り)の代表データ(実質金利の上げ下げを把握): FRED(10-Year Treasury Inflation-Indexed Security, Constant Maturity)

ドル指数(DXY)の基礎(ドル高/ドル安の代表的なベンチマーク): ICE(U.S. Dollar Index / Currency Indices)

金融政策サプライズが資産価格に影響しうる: NBER Working Paper(Bauer & Swanson, 2022)

金融政策ショックとBTC価格の関係(査読付き): ScienceDirect(Monetary policy shocks and Bitcoin prices)

④ ETFフローの鈍化・流出(短期需給の支えが弱まる)

現物ETFは「制度化による買い手の拡大」という中長期テーマである一方、短期では資金流入が需給の追い風になります。 高値更新局面で流入が強かった場合、その後に流入が鈍化したり一時的に流出が出ると、相場は「支えが減った」形になり、 戻りが鈍い・調整が長引くといった展開になりやすい点がポイントです。

  • 起きやすいサイン:反発しても伸びが続かない/戻り売りが優勢
  • 次に見るもの:ETFの純流入・純流出(基調の変化)

《出典》
米国の現物ビットコインETFの資金フロー(日次データ): Farside Investors|Bitcoin ETF Flow (US$m)

代表的な現物ビットコインETFの公式ファンド情報: BlackRock iShares|iShares Bitcoin Trust ETF(IBIT)

⑤ 規制期待の織り込みとリスクオフ連動(他市場の荒れが波及)

制度化・規制整備への期待は追い風になり得ますが、短期では「期待が先に織り込まれる」ことがあります。 その後、法案化や運用ルール整備に時間がかかると失望売りの材料になり得ます。 また株式やクレジット市場が不安定になる局面では、投資家が全体のリスクを落とすためにBTCも売却対象となり、 「デジタル資産」よりも「リスク資産の一部」として動く場面が出やすい点も、調整局面では押さえておきたいポイントです。

  • 起きやすいサイン:株や為替の急変と同時にBTCも下げる/ニュースに敏感
  • 次に見るもの:規制・税制のヘッドライン、株式市場のセンチメント

《出典》
暗号資産市場の構造的リスク(投機性・伝播・不安定さの論点整理): BIS「The crypto ecosystem: key elements and risks」

国際的な規制枠組み(暗号資産活動・市場に関する共通原則): FSB「Global Regulatory Framework for Crypto-Asset Activities」

規制・監督の勧告(暗号資産・デジタル資産市場/CASP等の主要リスク領域): IOSCO「Policy Recommendations for Crypto and Digital Asset Markets」

リスクオフ局面の温度感を測る代表指標(VIXの定義・概要): Cboe(VIX Index)

今後の注視ポイント(まとめ)

ここまでの要因を踏まえると、今後のBTCは「ニュースの量」よりも、相場に効きやすいポイントを絞って追う方がブレません。 特に次の3つ(マクロ・需給・制度)を定点観測しておけば、調整が深まる局面と、反発しやすい局面の見極めがしやすくなります。

  • マクロ:FOMC・実質金利・DXYの方向感
  • 需給:ETFフロー(純流入/流出)、先物の過熱・清算動向
  • 制度:規制枠組みの具体化(米国)/制度・税制の議論(日本)
ETFのイメージ

ビットコインETFの導入で「今後」が変わった理由(需給・制度化・注意点)

ビットコインの今後を考えるうえで、近年いちばん市場構造を変えた要素が米国の現物ビットコインETF(ETP)です。 結論から言うと、ETFは「買い手を増やす入口」になり得る一方で、短期では日々の資金フロー(流入・流出)が相場の追い風/逆風になりやすいため、 価格の上げ下げを理解するうえで欠かせない観測ポイントになりました。

現物ビットコインETFとは?(簡単にいうと)

現物ビットコインETFは、株式と同じように証券取引所で売買できる商品で、投資家は「直接BTCを保管・管理する」代わりに、 ETFを通じてビットコイン価格へのエクスポージャーを得られます。 米国では2024年1月に、複数の現物ビットコインETPが承認されました。

《出典》
米国での現物ビットコインETP承認の整理(承認日・対象商品・手数料等の概要): 米議会調査局(CRS)|SEC Approves Bitcoin Exchange-Traded Products (ETPs)

なぜETFが「今後の価格」に効くのか(3つ)

  • 買い手が広がる:証券口座・アドバイザー経由でアクセスしやすくなり、市場参加の裾野が広がりやすい。
  • 短期の需給に直結する:ETFへの純流入は買い需要として意識されやすく、純流出は短期の重しになりやすい。
  • 市場が「伝統金融」とつながる:株・金利・ドルなどの地合いの影響を受けやすい場面が増え、リスクオン/オフで動きやすくなることがある。

《出典》
米国現物ビットコインETFフロー(日次データ): Farside Investors|Bitcoin ETF Flow (US$m)

「ETFがある=上がる」ではない(注意点)

ETFは制度化の追い風になり得ますが、ETF自体は「常に買い続ける装置」ではありません。 相場が過熱した後は利益確定で流出に転じることもあり、短期ではフローの変化がそのまま値動きに表れやすくなります。 また、当局も承認は投資判断の推奨ではない点を明確にしています。

《出典》
承認=推奨ではない/投資家向け注意喚起(一次情報): 米SEC|Statement on the Approval of Spot Bitcoin Exchange-Traded Products

暗号資産ETPに求められる開示(リスク要因など)に関するSECスタッフの考え方: 米SEC|Crypto Asset Exchange-Traded Products(開示の観点)

今後、ETFで「まず見るべき」チェック項目

  • ETFの純流入/純流出(基調):日次のブレより「週次で増えているか/減っているか」を重視。
  • 市場の地合い:金利・ドルが逆風の局面では、ETFフローが鈍化しやすい(逆も同様)。
  • 制度面のアップデート:ETF・上場基準・開示ルールなどの整備は中長期の参加者拡大に影響しうる。

《出典》
代表的な現物BTC ETFの公式情報(リスク/目論見書の参照先): BlackRock iShares|iShares Bitcoin Trust ETF(IBIT)

これまでのビットコインの価格推移と半減期

ビットコイン(BTC)のこれまでの価格推移と半減期

ビットコイン(BTC)は、ただの「値動きの連続」ではなく、半減期(供給ペースが落ちるイベント)を軸にしたサイクルと、そこに重なるマクロ環境・需給・投資家心理で大きなトレンドが生まれやすい資産です。過去の価格推移と半減期の関係を押さえることで、目先の上下に振り回されずに「いまはサイクルのどこにいるのか」を把握でき、エントリーの優位性(押し目の取り方)や利確の設計(過熱局面の見極め)、さらにリスク管理(ボラティリティ拡大局面でのポジション調整)まで、判断の精度が一段上がります。このセクションでは、歴史的な値動きと半減期をセットで整理し、トレード戦略に落とし込むための“地図”を作ります。ビットコイン(BTC)のこれまでのマーケットの動向と価格推移を半減期毎に確認していきましょう。


※ 半減期の日時はJSTで表示しています。※ 黎明期にはCoin MarketCapのBTC/USDを当時のドル円レートで円換算したものです。その後BTC価格はTradingviewのBTC/JPY[bitFlyer]を参考視しています

月/日 区分 価格(円) 主な出来事
2010 12/31 24円 BTCを法定通貨で継続的に売買できる場が整い始める
BitcoinMarket(取引開始:2010/3/17)・Mt. Gox(オンライン化:2010/7/18)
2011 6/11 高値 2,882円 有名ブログ(Gawker)やWiredで「闇市場Silk Roadでビットコインが決済通貨として使える」との内容の記事が掲載され、ビットコインに注目が集まり、新規需要が流入
2011 7/18 安値 852円 同年6月の投機的上昇の反動で急速に調整局面となり、Mt. Goxの2011年6月のセキュリティ問題が信用不安を増幅させた
2012 11/29 半減期 [1回目]新規発行ペースが25枚(BTC)に(ブロック報酬 50 → 25 BTC)

BTCの誕生〜初回半減期までのビットコイン

サトシ論文(ホワイトペーパー)が示した「ビットコインの設計思想」

サトシ・ナカモトの論文「Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System」は、銀行などの第三者(Trusted Third Party)を介さずにオンライン決済を成立させるための仕組みとして、取引のデジタル署名と、Proof of Work(PoW)による時系列台帳(ブロックチェーン)を提案しました。ネットワークは最も長い(累積PoWが最大の)チェーンを正当とみなし、攻撃コストを高めることで二重支払いを防ぐ、という骨格です。

ジェネシスブロック(最初のブロック)と「起動」

論文は設計原理の説明が中心で、ジェネシスブロック自体の“記録”はブロックチェーン上で確認します。ブロック0(Genesis Block)には 「The Times 03/Jan/2009 Chancellor on brink of second bailout for banks」 という有名な文言が含まれており、当時の金融情勢を想起させるメッセージとして広く引用されています。

2010年:価格が付きはじめ、「市場」が生まれる

2010年ごろから、個人間取引だけでなく取引所・相対取引などの場が整い、BTCが「プロトコル上の単位」から「価格を持つ資産」へと認識され始めます。 ただし当時は流動性が薄く、取引インフラも未成熟だったため、少額の注文でも価格が大きく動きやすい(スリッページが出やすい)環境でした。

2011年:急騰と急落、そして信用ショックが“値動きの癖”を作る

市場参加者が増える局面では上昇が加速しやすい一方、取引所トラブルや不正・ハッキングなどのニュースが出ると、一気にリスクオフに傾きやすい—— こうした「高ボラ+信用イベントに弱い」性格が、この時期に強く意識されます(Mt. Goxを巡る一連の問題は象徴例として頻繁に参照されます)。

2012年:初の半減期(ブロック報酬 50 → 25)で“供給スケジュール”が現実のイベントに

半減期はプロトコルに組み込まれた供給スケジュールで、一定ブロック数ごとに新規発行(ブロック報酬)が半減します。 初回はブロック高210,000で発生し、ブロック報酬は50 BTCから25 BTCへ半減しました。ブロックエクスプローラ上の採掘時刻表示は 2012-11-28 15:24:38(表示時刻)で、JST換算では2012-11-29 00:24:38が目安になります。

2010〜初回半減期までの「BTCマーケットの動き」を一言でいうと

  • 価格発見:取引の場が増え、「値段が付く資産」へ
  • 投機化:流動性の薄さから上にも下にも振れやすい
  • 信用が値動きを支配:取引所・インフラの信頼性が価格に直結しやすい
  • 供給イベントの“物語化”:半減期が「需給の節目」として意識され始める

出典:Satoshi Nakamoto(2008)「Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System」(Bitcoin.org)

出典:Bitcoin Core 公式リポジトリ(ジェネシスブロックのコインベース文言を含む箇所の検索結果)

出典:Bitcoin Wiki「Genesis block」(ブロック0の概要・引用文の整理)

出典(半減期・供給スケジュール):
Bitcoin Wiki(Controlled supply) / Bitcoin Wiki(Halving Day)

出典(ブロック高の裏取り・半減期ブロック):
Block 210,000(1回目半減期) / Block 0(Genesis Block)

出典:Bitcoin Wiki「Trade」(黎明期の取引・売買の場の整理)

出典:Bitcoin Wiki「MtGox」(取引所の概要・経緯の整理)

参考:Wikipedia「Mt. Gox」(出来事の時系列・周辺リンク集)

出典:Gawker(2011)Silk Road 記事(当時の注目拡大の文脈) / 出典:WIRED(2011)Silk Road 記事(同上)

参考:FinCEN(2013)「仮想通貨を取り扱う事業者に対する規制適用(MSB/AMLの考え方)」

月/日 区分 価格(円) 主な出来事
2013 4/10 高値 26,530円 キプロス金融危機を契機に“代替資産”として注目が急増
2013 11/29 高値 127,131円 Mt. Goxの破綻(2014年2月)後の信用収縮に伴う下落局面における底値
2015 1/19 安値 22,902円 下落相場の底値圏(取引所破綻などの影響が残る時期)
2016 7/9 半減期 [2回目]新規発行ペースが12.5枚(BTC)に(ブロック報酬 25 → 12.5 BTC)

【2012〜2016】1回目半減期後〜2回目半減期までのBTCの歴史

1回目の半減期(2012年)を経て、ビットコインは「新規供給が伸びにくい設計(希少性)」がより意識されるようになりました。 その一方で、取引所インフラや規制対応が追いつかない時期でもあり、価格は上昇と急落を繰り返しながら市場が“成熟していく過程”に入ります。

2012年末〜2013年:供給減+話題化で急騰→値動きが極端に

半減期後は需給面の追い風が意識されやすく、相場が大きく動きやすい局面が続きます。 2013年は特に、注目度の上昇と売買参加者の増加で上昇局面が強まる一方、過熱すると一気に調整が入る“ボラティリティの高い相場”が定着していきました。

また米国では、暗号資産関連事業者にAML(マネロン対策)を求める枠組みが明確化され、「制度の土台づくり」も同時進行で進みます(=市場が大きくなるほど規制の目も強まる)。

2014年:Mt. Gox破綻で信用収縮→長い調整へ

2014年は、当時最大級の取引所だったMt. Goxが破綻した影響が大きく、市場全体が強い信用不安に包まれました。 価格面だけでなく、「取引所リスク(カストディ・運営・セキュリティ)」が強く意識され、資金が引きやすい地合いが続きます。

2015年:底固めとインフラ整備(“投機だけ”からの脱却が進む)

調整局面が長引く一方で、取引所のセキュリティ・運営体制の見直し、法令順守の強化、決済/保管など周辺サービスの整備が進み、 市場は「次の成長に向けた基盤づくり」の段階に入ります。

2016年前半:半減期を意識した需給期待で注目が再燃

2回目半減期が近づくにつれ、「供給ペースがまた落ちる」ことを材料に注目が集まりやすくなります。 ただし、上昇が続くほどレバレッジも積み上がりやすく、下げるときは急落になりやすい(清算・ストップを巻き込みやすい)点はこの頃から目立ち始めます。

2016年7月:2回目半減期(ブロック報酬 25 → 12.5 BTC)

2回目半減期は、ブロック高420,000で発生し、ブロック報酬は25BTC → 12.5BTCに半減しました。 これにより、新規発行ペース(概算)は1日あたり約3,600BTC → 約1,800BTCへ低下します(※平均144ブロック/日で単純計算)。

※半減期の日時はJST(日本時間)基準で表記: 2016年7月10日 01:46:13(JST)(UTC 2016年7月9日 16:46:13)


出典:FinCEN(2013)「仮想通貨を取り扱う事業者に対する規制適用(MSB/AMLの考え方)」

出典:Mt. Goxの破綻経緯(Wikipedia)

出典:ブロック高420,000(2回目半減期)のブロック情報(Bitaps)

参考:ブロック高420,000(2回目半減期)のブロック情報(Blockchain.com Explorer)

月/日 区分 価格(円) 主な出来事
2017 12/18 高値 2,312,100円 いわゆる“2017バブル”の天井。CboeやCMEのビットコイン先物が取引を開始し、機関投資家マネー本格流入への期待が追い風
2018 12/15 安値 354,350円 2017年バブル崩壊後“長期的な信用収縮”が継続。BTC価格が採掘コストを割り込んだことでマイナー撤退が強く意識される
2019 6/26 高値 1,495,427円 Facebookの「Libra」発表がメインストリーム化期待を点火。また、ホルムズ海峡で商船タンカー2隻が攻撃被害を受けるなど、中東情勢などの地政学リスクが意識され、ヘッジ需要膨らむ
2020 3/13 安値 441,900円 コロナショック。WHOが3月11日にCOVID-19を「パンデミック」と位置づけた
2020 5/12 半減期 [3回目]新規発行ペースが6.25枚(BTC)に(ブロック報酬 12.5 → 6.25 BTC)

2回目半減期(2016)〜3回目半減期(2020)までのビットコイン

2016〜2017:取引量の拡大と“市場インフラ”の整備が進む

この時期は、参加者の増加に加えて、取引所・カストディ・デリバティブなどのインフラが厚くなり、 「価格がつく資産」から「金融商品として扱われやすい資産」へと一段進みます。 価格が上がりやすい一方で、レバレッジや過熱感が溜まるほど、反転時の値幅も大きくなりやすい(急落も起きやすい)局面が増えました。

2018:反動安と信用収縮で“下げの期間”が長期化しやすい局面

上昇局面で積み上がったポジションが巻き戻ると、現物だけでなく先物・無期限契約の清算も連動しやすく、 下げが下げを呼ぶ展開(ボラ拡大)になりがちです。加えて、規制や不祥事などのヘッドラインが出ると、 市場心理が一気に冷え込みやすい特徴もこの時期に再確認されました。

2019:回復局面と制度面の“整備期待”が並走

価格が持ち直す局面では、「どこまで制度化が進むか(ルール整備・金融機関の関与)」が材料として効きやすくなります。 一方で、強気材料が先に織り込まれると、期待の剥落で調整が長引くこともあるため、 需給(資金流入)と制度(整備の進捗)を分けて観察する重要性が増していきます。

3回目半減期:新規発行が「6.25 BTC/ブロック」へ(12.5 → 6.25)

3回目の半減期は、ブロック高630,000で発生し、ブロック報酬は12.5 BTC → 6.25 BTCへ半減しました。 ブロックエクスプローラ上の採掘時刻は2020-05-11 19:23:43(表示)で、JST換算の目安は 2020-05-12 04:23:43です。 2020年前半はマクロ環境(急激なリスクオフと、その後の金融環境の変化)も重なり、BTCは「需給」だけでなく「地合い」の影響も強く受けやすい局面でした。

この期間(2回目→3回目)を一言でまとめると

  • 供給イベントの定着:半減期が“需給の節目”として市場の共通言語に
  • インフラの金融化:取引・保管・派生商品の整備が進み、資金の出入りが拡大
  • 過熱と清算:上昇ほど下落時の巻き戻しも大きくなりやすい
  • 地合い連動:マクロ環境が荒れると、BTCもリスク資産として振れやすい

出典:Block 420,000(2回目半減期のブロック情報:採掘時刻・ブロック報酬など)

出典:Block 630,000(3回目半減期のブロック情報:採掘時刻・ブロック報酬など)

出典:Cboe(2017)「ビットコイン先物取引の開始に関する資料(PDF)」

出典:WHO(2020/3/11)COVID-19に関する会見冒頭発言(パンデミック言及を含む)

月/日 区分 価格(円) 主な出来事
2021 4/14 高値 7,071,867円 CoinbaseがNasdaqに上場し、暗号資産ビジネスが米国のウォール街に認められ、正面から評価される象徴となる
また、TeslaやMicroStrategyなど、企業によるBTC購入のニュースなどから機関マネーのマーケット流入が意識され、米国の給付金など緩和的な金融環境も追い風に
2021 7/20 安値 3,211,450円 Teslaがマイニングの化石燃料使用を理由にBTC決済を停止、また中国がビットコインのマイニングと取引を禁止したことで、中国マイナーが海外に移転、撤退を迫られる事態となったなどでセンチメントが急速に冷え込み、過熱したレバレッジの巻き戻しが起こる
2021 10/21 高値 7,794,000円 米国初のビットコイン先物ETF(ProShares BITO)が上場し、株式口座で投資できるようになり購入層が拡大。インフレ懸念が膨らみ、インフレヘッジとしての需要も後押しとなる
2022 12/30 安値 2,156,000円 コロナ後の供給制約とウクライナ侵攻でインフレが長期化し、FRBの急速な利上げ・QT(量的引き締め)がリスク資産を圧迫、さらにTerra/Luna崩壊とFTX破綻が信用収縮を深刻化させる
2024 1/11 高値 7,150,000円 米国スポットBTC ETFの承認・取引開始を起点に、トランプ大統領就任後の規制スタンス転換やビットコイン備蓄構想への思惑が追い風となり、さらに半減期を控えた需給逼迫期待が重なる
2024 3/4 高値 10,290,000円 ETF流入と半減期期待から史上初1000万の大台を突破
2024 4/20 半減期 新規発行ペースが3.125枚(BTC)に(ブロック報酬 6.25 → 3.125 BTC)

3回目半減期後〜4回目半減期(2024年)までのビットコイン

2020〜2021年:リスクオン回帰と「投資対象化」の加速

2020年のコロナショック後は、世界的な金融緩和とリスク選好の回復を背景に、BTCも買い戻しが進みました。 2021年に入ると、暗号資産ビジネスの「制度圏への接続」が進み、米Coinbaseの上場や、米国初のビットコイン先物ETF(ProShares BITO)の上場など、 株式口座でアクセスできる“入口”が広がったことが、市場参加の裾野を押し広げる材料になりました。

2022年:急速な金融引き締めと信用ショックで大きく調整

インフレ高止まりを受けた米FRBの利上げ・QT(量的引き締め)でリスク資産全体が下押しされるなか、暗号資産市場では Terra/Lunaの崩壊やFTX破綻などの信用イベントが相次ぎ、BTCも「マクロ逆風+信用収縮」の形で調整が深まりました。

2023年:反発局面でも「規制・制度化(ETF)」が最大テーマに

2023年は、相場が持ち直す局面でも「制度化がどこまで進むか」が焦点になり、米国では現物ETFを巡る審査・議論が市場のセンチメントを左右しました。 「承認=推奨ではない」という当局の注意喚起も繰り返され、材料が出るたびに短期の値動きが大きくなりやすい環境が続きました。

2024年:米国スポットBTC ETFの承認・取引開始 → 4回目半減期へ

2024年1月、米国でスポットBTC ETF(ETP)の承認・取引開始が進み、BTCは「制度化マネーが入れる経路」を獲得します。 その後、4回目半減期(ブロック高840,000)でブロック報酬は6.25 → 3.125 BTCに半減しました。 ブロックエクスプローラ上の採掘時刻は 2024-04-20 00:09:27(表示時刻)で、JST換算では 2024-04-20 09:09:27(JST) が目安です。

  • この期間のポイント:上昇・下落の“材料”が、①マクロ(金利) ②信用イベント(破綻・清算) ③制度化(ETF/規制)に集約されやすい
  • 見方のコツ:強気材料(制度化・商品化)が出ても、短期はマクロ逆風や信用不安で振り戻されやすい

出典:WHO「WHO Timeline – COVID-19」(パンデミック期の時系列整理)

出典:Nasdaq(COIN / Coinbase)

出典:ProShares(BITO 公式:米国初のビットコイン先物ETF)

出典:SEC(Terraform Labs関連:執行措置の発表)

出典:SEC(FTX関連:Bankman-Fried起訴発表)

出典:SEC(Gensler声明:スポットBTC ETP承認は「推奨ではない」旨の注意喚起)

出典:SEC(承認オーダーPDF:スポットBTC ETF/ETPの承認整理)

出典:Blockchain.com Explorer(Block 840,000:4回目半減期/採掘時刻・報酬の確認)

※ 半減期の日時は日本時間(JST)基準で記載しています。

月/日 区分 価格(円) 主な出来事
2025 10/6 最高値 18,670,000円 ETFへの過去最大級の資金流入(退職年金401(k)での取り扱い拡大期待を含む)が機関投資家の買いを加速させ、日本で高市体制への思惑で円安が進んだ
2025 10/6 安値 12,635,000円 ETFへの過去最大級の資金流入(退職年金401(k)での取り扱い拡大期待を含む)が機関投資家の買いを加速させ、日本で高市体制への思惑で円安が進んだ

4回目半減期後〜現在:ETF主導の上昇と、利益確定・マクロ要因による調整

4回目半減期後のBTC相場は、「需給(ETFフロー)」と「マクロ(金利・ドル、リスクオン/オフ)」の綱引きで動く局面が増えました。 ひと言でいえば、上がるときは“制度化マネー”が押し上げ、下がるときは利益確定や金利見通しの揺り戻しで調整が深くなる、という流れです。

2024年:ETFの定着で“相場の主役”が変わる

  • 現物ETFの存在感が拡大:価格材料として「ニュース」よりも、日々の資金流入・流出が短期の方向感を作りやすくなりました。
  • 暗号資産ETFの広がり:BTC以外のETF関連ニュースも、暗号資産市場全体のセンチメントを揺らす要因として意識されやすくなります。

2025年:記録的高値と、その後の調整

  • 高値更新の局面:2025年7月にBTCが過去最高値を更新したと報じられ、強気ムードが加速しました。
  • 高値圏での推移:10月も高値圏での値動きが意識される一方、過熱感や利益確定で波が出やすい地合いに。
  • 調整局面:11月には、現物ETF(例:IBIT)で記録的な単日流出が報じられ、BTCが大きく下げる局面もありました。

この期間の“見方”を一言で

  • 上昇の燃料:ETFフロー(純流入)+リスクオン
  • 下落の引き金:高値圏の利益確定+マクロの揺り戻し(利下げ期待の修正など)
  • 実務の注視ポイント:「ETFフロー」「金利・ドル」「清算/過熱指標」の3点をセットで見る

出典:Reuters(2025/11/19)Investors pull record $523 million from BlackRock’s flagship bitcoin ETF|November 20, 2025

AIイメージ

【最新AI予想】今後10年のビットコイン価格。

10年前と比較すると、ビットコイン(BTC)の価格は数百倍と大きく上昇しています。続いて気になるのが、ビットコイン(BTC)の今後10年間の価格推移です。また、ビットコインは仮想通貨(暗号資産)全体の59.6%(2025年12月 tradingview)の価値を占めています。ビットコイン(BTC)の10年後を予測することは、すべて仮想通貨(暗号資産)の10年後の価格推移を予測する上でも基準となります。

ビットコイン(BTC)の10年後の価格は、どう予想されているのでしょうか?まずは最新のAI予想を見ていきましょう。

参考:
供給上限(最大2,100万BTC)の仕組みは、長期見通しを考えるうえでの大前提です: Bitcoin.org(FAQ)

AIによる今後10年の長期予測

AI予想モデル①|PricePrediction|2025.12.22 更新

最低予想平均予想最高予想
2025¥13,330,399¥14,580,119¥14,996,640
2026¥19,849,196¥20,578,304¥24,221,646
2027¥28,497,227¥29,320,378¥34,598,875
2028¥41,844,268¥43,017,058¥50,069,341
2029¥65,396,623¥67,547,366¥73,338,468
2030¥97,380,820¥100,082,633¥112,739,659
2031¥138,993,984¥143,998,202¥169,111,765
2032¥204,025,896¥211,225,759¥239,581,058
2033¥302,345,733¥312,906,966¥358,293,782
2034¥434,605,045¥450,250,409¥527,830,232

※(2025年12月22日時点の為替レート(1ドル=157円)で計算)
Data by:PricePrediction|https://priceprediction.net/ja/price-prediction/bitcoin

AI予想モデル②|DigitalCoinPrice|2025.12.22 更新

最低予想平均予想最高予想
2025¥14,496,994¥14,671,305¥14,901,393
2026¥15,167,739¥15,579,110¥16,011,397
2027¥16,053,233¥16,703,059¥17,417,032
2028¥16,951,276¥17,587,157¥18,553,532
2029¥18,108,692¥19,243,798¥20,617,359
2030¥19,736,049¥20,523,929¥22,226,587
2031¥21,403,845¥22,879,202¥24,569,310
2032¥23,456,516¥25,325,117¥26,999,885
2033¥25,599,830¥26,549,469¥28,836,413
2034¥27,981,598¥29,583,854¥31,531,940

※(2025年12月22日時点の為替レート(1ドル=157円)で計算)
Data by:DigitalCoinPrice|https://digitalcoinprice.com/forecast/bitcoin

月日が経つにつれ、ビットコイン(BTC)の価格は上昇すると予想しています。10年後の2034年の最高価格の予想はPricePredictionが円換算で1BTCが約5.2億円、DigitalCoinPriceが約3.1億円です。

PricePrediction
PricePrediction.netは多くの専門家を抱え、長期・短期共にディープラーニングAIによるビットコイン価格のテクニカル分析を発表している

DigitalCoinPrice
DigitalCoinPriceは2017年以来、仮想通貨(暗号資産)情報サイトとして信頼できるブランドなっています。価格予測は様々なインジケータやオシレータをAIを使って分析しています。

その他のAIモデルの予想も見ていきましょう。Coin Price Forecastは少し予想のフォーマットが異なり、各年の6月末と年末の予想価格を公開しています。

AI予想モデル③|Coin Price Forecast|2025.12.22 更新

6月末価格年末価格
2025¥17,019,114¥14,399,098
2026¥14,332,216¥14,389,207
2027¥16,545,602¥18,531,181
2028¥16,897,596¥19,070,162
2029¥21,215,567¥20,594,475
2030¥19,647,451¥20,389,433
2031¥21,918,613¥23,436,018
2032¥24,942,590¥23,446,066
2033¥24,436,265¥25,729,945
2034¥27,016,403¥28,296,110

※(2025年12月22日時点の為替レート(1ドル=157円)で計算)
Data by:Coin Price Forecast|https://coinpriceforecast.com/bitcoin-forecast-2020-2025-2030

Coin Price Forecast
2025年から2034年までの長期にわたる暗号資産、株式、商品の価格予測を提供するウェブサービスです。自己学習技術やディープラーニング技術を用いて、時系列データ、ニュース、規制活動、市場の流動性といった多様な要素を分析し、予測精度の向上を図っています。さらに、独自のトレンド分析により、市場の大きな波動やサイクルを捉えたダイナミックな価格変動の予測が可能となっている点も大きな特徴です。。

AIによるビットコイン予測の特徴と注意点

各社のAIごとに考慮している要素パラメータの数や重みが異なる為に、価格予想に大きな幅はあるものの、現在の価格より大きく上昇しているのがAIによるビットコイン(BTC)予測の特徴です。

《参考》ビットコインをただ寝かせておくのは損?保有枚数を複利で増やす方法

AIによるビットコイン予測を活用する上での特徴と注意点

AI予測の最大の特徴は、大量のデータを高速で処理し、複雑なパターンや関係性を把握することができる点です。機械学習モデルは市場のトレンド、取引量、外部イベントなど多岐にわたる要因を考慮し、予測を行います。

しかし、AI予測には注意点も存在します。ビットコイン市場は非常に変動が激しく、予期せぬイベントが価格に大きな影響を与えることがあります。そのため、AIモデルも過去のデータに基づいて予測を行うため、未知のイベントに対しては対応が難しいことがあります。

また、AI予測はあくまで予測であり、100%の確実性を持っているわけではありません。投資家はAIの予測を一つの参考情報として利用し、他の分析手法と併用しながら総合的な判断を下すことが重要です。

投資の世界では、「過去の成績が将来の成績を保証するものではない」とよく言われます。AIによるビットコイン予測も同様に捉えるべきであり、投資判断の一助として利用することが望ましいです。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の投資行動を推奨するものではありません。

専門家のイメージ

有識者・金融機関はどう見る?10年後のビットコイン将来価格

ビットコインの「10年後(2034年以降)の将来価格」を考えるときは、強気な予想だけでなく、下振れリスクまで含めて整理しておくことが欠かせません。 特に、有識者(投資家・アナリストなど)や銀行・金融機関は、前提にしているデータや重視するリスクが違うため、同じBTCでも見立てが大きく分かれます。

有識者によるビットコイン予測:強気派

アーサー・ヘイズ(BitMEX元CEO/投資家)

価格ターゲット: 2025年末:最大25万ドル2028年:100万ドル

ヘイズ氏は、短期は流動性(金融環境)がBTCのリスク資産としての値動きを左右しやすい、という前提で語ることが多いです。具体的には、米国の資金供給(市場の流動性)が厚くなる局面ではリスク資産全体が追い風になり、BTCにも買いが入りやすい、という整理です。

「供給上限」よりもまず“マネーが増えるか/引くか”が短〜中期のドライバー、という立て付けで、そこから強気の数値目標(25万ドル→100万ドル)を提示しています。

  • ロジック①:資金が逃げる先の条件…「国境を越えて運べる/保管に第三者を要しにくい」資産ほど、有事や規制強化の局面で選好されやすい(=BTCの“移動性”を評価)。
  • ロジック②:実質金利・実質価値の目減り…債券の名目リターンがインフレに負ける状態が続くと、“価値保存”の代替先に資金が向かいやすい。
  • ロジック③:流入額と市場の薄さ(需給の非線形)…大きな資金が一斉に流入すると、需給が「10%流入=10%上昇」保証ではなく、価格が加速しやすい(上がると売りも出るが、短期的に歪みやすい)。

「(米国債市場の動きなどで流動性が戻れば)ビットコインは2025年末までに25万ドルになり得る」|CoinDesk

ビットコインは2028年に100万ドルに達する」|COINPOST


ティム・ドレイパー(著名投資家)

価格ターゲット(発言): 25万ドル

ドレイパー氏は、BTCの強気材料として語られやすい“供給の伸びが抑えられる構造(半減期など)”や、利用・採用の拡大といったネットワーク効果を前提に、価格上昇余地を主張する文脈が多いです(=「買い手が増える一方で、供給の増え方は抑えられる」構図)。

  • ロジック①:供給サイドは機械的に絞られる…半減期は“イベント”というより、ブロック報酬という仕組み上の供給調整。
  • ロジック②:需要は段階的に増え得る…決済・送金・投資商品の選択肢拡大などで、買い手の母数が増えると需給が締まりやすい。
  • ロジック③:ネットワーク効果…利用者・受け入れ先が増えるほど「使える場」が増え、需要の粘着性が高まる(=下落局面でも保有継続が増えやすい、という期待)。

ビットコインは25万ドルに到達する」|CoinDesk

企業のビットコイン非保有は「無責任」、億万長者投資家ティム・ドレイパー|COINPOST


ジャック・ドーシー(Block CEO/元Twitter CEO)

価格ターゲット(発言): 2030年までに100万ドル超の可能性

根拠ロジック(要点):ドーシー氏は、価格そのものよりも、BTCを支えるオープンな“協働エコシステム”に価値があるという立場を取りつつ、その普及・積み上がりが進めば結果として大きな価格到達もあり得る、という語り方をしています。

  • ロジック①:世界規模の“標準”になる賭け…国境を越える決済・送金の摩擦を下げるほど、採用が加速しやすいという前提。
  • ロジック②:プロトコルとしての継続性…企業や国家ではなく「プロトコル」に価値が蓄積される(=長期で生き残ると価値が集まりやすい)という見方。
  • ロジック③:価値保存+決済の両面…“金(ゴールド)的な保有”だけでなく、決済インフラの発展が需要の裾野を広げる、という期待。

2030年までにビットコインは100万ドルを超える可能性がある


有識者によるビットコイン予測:慎重派

ユージン・ファーマ(ノーベル経済学賞・金融経済学者)

ファーマは、ビットコインは「実質価値(購買力)が大きく変動しすぎるため、交換媒体(通貨)として信頼できず、長期的に生き残りにくい」と考えています。 そのうえで、今後10年以内に価値がゼロに近づく確率は「ほぼ1(ほぼ100%)」だと述べ、もしビットコインが崩れずに存続するなら既存の貨幣理論を“最初からやり直す”必要が出る、といった趣旨の発言もしています。

  • “いくら”の見立て:長期的には「価値がゼロ(=0)」に収れんする可能性が高い、という主張
  • 根拠(主張の骨子):価格の裏付けとなるキャッシュフローがなく、価値の安定メカニズムが弱い/「通貨」として成立する条件が厳しい、という問題提起

Capitalisn’t: Why This Nobel Economist Thinks Bitcoin Is Going to Zero|Chicago Booth Review

出典:「暗号資産が10年以内に価値ゼロになる確率は、ほぼ1だ。」Capitalisn’t(Eugene Fama on Bitcoin and Crypto)


ヌリエル・ルービニ(NYU教授・マクロ経済学者)

ルービニは、ビットコインを含む暗号資産市場を「詐欺とバブルの温床」とみなし、価格は実体価値に裏付けられた通貨というより投機(場合によっては市場操作)に左右されやすいと主張しています。

そのうえで、ビットコインは取引処理の面でスケールしにくく、プルーフ・オブ・ワーク型の仕組みはエネルギー消費が大きい点も問題だと批判し、結果として「通貨」や「インフレヘッジ/価値保存手段」としては不適合だ、という立場を繰り返し示しています。

また、ブロックチェーン自体についても「過大評価されており、実務的には高機能データベース以上ではない」と述べています。

  • “いくら”の見立て:(当時の議論として)需給が健全でない/操作があれば「見かけの価格は歪む」と主張し、割高を示唆
  • 根拠(主張の骨子):市場の未成熟さ・不正/操作の懸念、実需より投機が先行しやすい点を強く問題視

出典:Flintstones Had Better Monetary System Than Bitcoin: Roubini|Bloomberg

参考:「暗号資産は“詐欺とバブルの母”だ。」|「(市場操作がなければ)ビットコインの価格は約1,200ドル程度だったはずだ(当時)。」|米上院銀行委員会 公聴会提出書面(Roubini Testimony)


ウォーレン・バフェット(投資家・バークシャー・ハサウェイ)

ウォーレン・バフェットはビットコインを一貫して否定的に見ており、「それ自体が何も生み出さず(利息や配当、キャッシュフローを生まない)、本質的な価値の裏付けがないため、投資というより“次の買い手がより高く買ってくれる”ことに依存した投機に近い」という趣旨で語っています。

その象徴として、ビットコインを「rat poison squared(ネズミ毒の二乗)」と表現したり、「世界中のビットコイン全部でも25ドル払っては買わない」と述べるなど、価値評価そのものに強い懐疑を示しています。

  • “いくら”の見立て:「全部まとめて25ドルでも不要」=価値評価は限りなくゼロ寄りという姿勢
  • 根拠(主張の骨子):株式や不動産のように“生み出す力(キャッシュフロー)”がない/保有しても価値を生まない、という価値観

出典:「もし世界中のビットコイン全部を25ドルで手に入れられるとしても、私は受け取らない。」The Motley Fool(Berkshire年次ミーティングでの発言として紹介)


ジェイミー・ダイモン(JPMorgan Chase CEO)

ジェイミー・ダイモンの「最新のスタンス」を端的に言うと、ビットコインそのものには今も否定的だが、顧客ニーズと業界の制度整備を前提に“取扱いは進める”という整理です。2025年5月19日のJPMorganの投資家向けイベントでは、ビットコインは犯罪利用や不正、過度なレバレッジなどの問題があるとして「自分はファンではない」と述べつつも、顧客には購入を認め、ただし同行としてはカストディ(保管)はしない方針を明確にしました。

その後の2025年夏〜秋にかけては、より「技術と金融インフラ」の文脈で発言する色合いが強くなり、ステーブルコインやブロックチェーン(スマートコントラクト含む)は現実的な技術で、決済・取引の効率化に使われていくと述べています。一方で、同時期の発言でも「ビットコイン自体を信奉しているわけではない」という線引きは維持しています。

  • “いくら”の見立て:明確な価格目標は示さず、価値そのものに強い懐疑
  • 根拠(主張の骨子):実需より投機が優位になりやすい/規制・不正リスクを重視し、資産価値の裏付けに懐疑的

出典:「ビットコインは詐欺だ(a fraud)。」「私はビットコインを“ペットロック(pet rock)”と呼んでいる。」|


※上記は有識者の見解整理であり、将来価格を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

銀行のイメージ

金融機関(銀行・運用会社)によるビットコイン予測

Standard Chartered(英・大手銀行)

Standard Charteredは、ビットコインの長期上昇シナリオ自体は維持しつつも、短中期の見通しを引き下げています。 具体的には「2025年末10万ドル」「2026年末15万ドル」、そして長期では「2030年に50万ドル」という水準が報じられています。

  • “いくら”の見立て:「2025年末:$100,000」「2026年末:$150,000」「2030年:$500,000
  • 根拠(主張の骨子):短期は買いの勢い低下(ETFや企業側需要の鈍化など)を重視しつつ、長期は制度化・機関マネーの拡大がドライバーになり得る、という整理

出典(MarketWatch):「(Standard Chartered)2025年末$100,000、2026年末$150,000、2030年$500,000」とする趣旨

参考(Business Insider):「2025年末$100,000/2026年末$150,000」へ下方修正の背景説明


JPMorgan(米・大手銀行)

JPMorganは、ビットコインの評価について「強気ターゲット」というより、 ハーフィングなどの需給要因を織り込んだ“見立て(フェアバリュー的な水準)”として 2025年までに17万ドルといった水準が報じられています。

  • “いくら”の見立て:「2025年までに$170,000
  • 根拠(主張の骨子):供給サイド(半減期など)を含む需給・バリュエーション観点からの試算として提示されるタイプ(“確定予言”ではなく前提条件付きの見立て)

出典(Business Insider):「(JPMorganのレポートとして)2025年までに$170,000に達し得る」とする趣旨


BlackRock(米・世界最大級の資産運用会社)

BlackRockは「将来価格ターゲット」を明示するより、ポートフォリオ上の扱い(配分)でスタンスが見えやすいタイプです。 報道では、モデルポートフォリオでビットコイン比率を1%〜2%程度にする考え方が紹介されています。

  • “いくら”の見立て:明確な価格目標は示さず(代わりに「配分レンジ」で示す)
  • 根拠(主張の骨子):「上振れ余地はあるが変動も大きい」という前提のもと、組入れは小さく(上限を設ける)というリスク管理発想

出典(Barron’s):「モデルポートフォリオで1%〜2%」の配分が紹介されている旨


ARK Invest(米・資産運用会社)

ARK Investは、ビットコインを長期の成長テーマとして捉える代表格で、 報道では「2030年に150万ドル超」といった強気ケースが取り上げられています。

  • “いくら”の見立て:「2030年に$1.5M(150万ドル)超
  • 根拠(主張の骨子):採用拡大(機関投資家・個人・新しい金融プロダクト経由)を前提に、長期の需要増を重視する整理

出典(Barron’s):「2030年に$1.5M超」に関する紹介記事


ビットコインの将来性

なぜビットコイン(BTC)には伸びしろがあるのか

ビットコインの将来性を考えるうえで重要なのは、「なぜ買い手が増え得るのか」と「何が前提を崩し得るのか」をセットで整理することです。 ここでは、伸びしろの根拠になりやすいポイントを4つに絞って解説します。

  • 供給が増えにくい設計:発行上限+半減期による“希少性”
  • 制度化が進む余地:規制下の商品・ルートの拡大
  • 基軸性(ネットワーク効果):最大級の流動性と認知が集まりやすい
  • 国・規制の動き:追い風にも逆風にもなり、前提が変わり得る

① 供給が増えにくい(上限2,100万枚+半減期)

BTCは発行上限が2,100万枚に固定され、ブロック報酬は一定間隔で半減する仕組みです。 需要が強い局面では供給が追いつきにくく、需給の観点で追い風になり得ます(ただし価格上昇を保証するものではありません)。

② 制度化が進むと、参加のハードルが下がりやすい

近年は、規制下の商品(例:米国で承認されたスポットBTC連動の取引商品など)を通じて、従来より参加しやすいルートが増えています。 一方で当局側は、商品性・リスク理解の重要性も強調しており、制度化=安全・推奨ではない点は押さえておくべきです。

③ 基軸性(最大級の流動性・認知)

BTCは暗号資産の中でも時価総額・流動性が最大級で、資金と注目が集まりやすい“中心銘柄”として扱われることが多い点が特徴です。 その結果、市場の地合い(リスクオン/オフ)を反映しやすく、関連市場全体の温度感の指標になりやすい側面もあります。

④ 国・規制の動きは「追い風」と「見直し」が両方あり得る

国レベルでの採用や制度設計が進めば追い風になり得る一方、方針転換(見直し)や規制強化が出れば逆風にもなります。 中長期の見通しでは、価格そのものと同じくらい制度・税制の方向性が重要な変数になります。

出典:Bitcoin.org(発行上限2,100万枚の整理)

出典:米SEC(スポットBTC取引商品の承認に関する声明/投資家保護の観点)

参考:Reuters配信(BTCを「最大級の暗号資産」として扱う文脈の例)

※本セクションは情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の売買を推奨する投資助言ではありません。

ビットコインの問題点

一方で「ビットコイン(BTC)に将来性は無い」とする声も

ビットコインに強気な見方がある一方で、「普及が進んでも長期的な価値は安定しない」「規制や社会的要請で逆風になり得る」といった慎重論も根強くあります。 ここでは、よく挙がる“懸念点”を要点だけコンパクトに整理します。

  • スケーラビリティ(混雑時の手数料・処理能力の壁)
    ビットコインは基盤(L1)の処理能力に限界があり、利用が集中すると送金の遅延や手数料上昇が起きやすい、という指摘があります。 ライトニングネットワーク等の“レイヤー2”で補う動きはあるものの、利用体験や運用面を含めて「決済インフラとして主流化するには課題が残る」という見方もあります。
  • ネットワーク安全性の論点(51%攻撃“よりも”実務は保管リスク)
    理論上、ハッシュレートの過半を握ると二重支払いなどの攻撃余地が生まれる一方、現実にはコスト面で成立しにくいとされます。 ただし投資家の実務では、プロトコル攻撃よりも取引所・ウォレットの管理不備/詐欺/紛失など「保管(カストディ)側の事故」がリスクになりやすい、という整理です。
  • 規制・コンプライアンス(国ごとにルールが変わる)
    暗号資産は各国の制度設計に左右されやすく、取引所規制、広告・勧誘、税制、マネロン対策(トラベルルール等)の強化で市場環境が変化し得ます。 日本でも、居住者向けにサービス提供する事業者には登録を求める枠組みが整理されています。
  • PoWの電力消費・ESG視点(社会的許容の問題)
    ビットコインのプルーフ・オブ・ワーク(PoW)は電力消費が大きいとして、政策・投資判断(ESG)上のハードルになる可能性があります。 “規制そのもの”だけでなく、金融機関・企業が採用を広げる際の説明責任が重くなる、という懸念です。
  • 「制度化=推奨ではない」点(ETF承認などの誤解に注意)
    たとえば米国ではスポットビットコインETP(ETF等)が承認されましたが、規制当局は「承認=ビットコインを推奨/保証するものではない」旨を明確にしています。 制度化が進んでも、価格変動リスクが消えるわけではない点は押さえておく必要があります。

出典:Bitcoin Wiki「Scalability(処理能力とスケーリングの論点)」

出典:Bitcoin.org「Lightning Network(用語解説)」

出典:Cambridge Centre for Alternative Finance「Cambridge Bitcoin Electricity Consumption Index(CBECI)」

出典:金融庁(Japan FSA)「Regulatory Framework for Crypto-assets and Stablecoins(登録等の枠組み)」

出典:FATF「Virtual Assets / VASPs(国際的なリスクベース規制の更新)」

出典:米SEC「スポットビットコインETP承認に関する声明(承認=推奨ではない旨)」

参考:Investopedia「51%攻撃と二重支払いの説明」

ビットコイン(BTC)は長期視点で向き合うのが基本

ビットコイン(BTC)は短期では値動きが大きく、ニュースや金利動向、需給(ETFフローや清算など)次第で上下に振れやすい資産です。 そのため、短い期間の上げ下げだけで判断すると、売買のタイミングが難しく感じることがあります。

一方で、ビットコインを語るうえで重要なのは「長期のテーマ(供給の上限・半減期・制度化の進展)」と「長期での価格トレンド」を分けて捉えることです。 短期の変動に振り回されるよりも、目的と期間を決めて、無理のない範囲で長期目線で向き合うほうが現実的です。

具体的には、生活資金とは分ける一度に大きく張らない定期的に状況を点検するといった基本ルールを置くことで、 “相場のノイズ”に左右されにくくなります。

参考:米SEC声明(スポットビットコインETP)「価格変動などのリスクは継続する」趣旨

ビットコインの今後についてのよくある質問

ここでは「短期〜中期の見通し」「ETF」「税金」「リスク管理」など、読者の方から質問が多いテーマをまとめました。 ※本FAQは情報提供を目的としたもので、特定の投資行動を推奨するものではありません。

Q1. 短期(数週間〜数か月)のBTCは、何を見ればいい?

短期は「ニュースの量」よりも、相場に効きやすい指標を絞って見るのがブレません。実務では次の3点が鉄板です。

  • 金利・ドル:FOMC、実質金利、ドル指数(DXY)
  • ETFフロー:米スポットBTC ETFの純流入/純流出(週次で傾向を見る)
  • 清算・過熱:先物建玉(OI)、Funding、清算データ(急変動の引き金になりやすい)
Q2. ビットコインETFがあると「今後」は何が変わる?

ETFは「証券口座でBTCにアクセスできる入口」になり、買い手が広がりやすいのが大きな変化です。 一方で短期的には、ETFの資金流入・流出が需給に直結するため、日々のフローが価格の追い風/逆風になりやすくなりました。

※重要:当局も「承認=推奨ではない」「リスクは残る」旨を明確にしています。

Q3. 半減期はなぜ重要?今後の価格にどう影響する?

半減期は、ブロック報酬(新規発行)が約4年ごとに半分になる仕組みで、供給ペースが段階的に落ちます。 需給の「長期テーマ」として意識されやすい一方、いつ・どれだけ価格に反映されるかは断定できません(マクロ環境やETFフロー等も絡むため)。

Q4. 「10年後の価格予想(AI・有識者)」は信じていい?

価格予想は参考にはなりますが、“当たる前提”で使うのは危険です。理由はシンプルで、 BTCは規制・金融環境・信用イベント(破綻/ハッキング等)で前提が変わりやすく、モデルが想定していない出来事が起こり得るからです。

  • 予想は「前提条件」とセットで読む(ドル円、金利、需要の仮定など)
  • 複数の見立てを比較し、極端な数値は“幅”として扱う
  • 最終判断はリスク許容度(資金管理)優先
Q5. 日本の税金は今後どうなる?(申告分離課税20%の話は本当?)

税制は「議論・報道がある」段階と、「法改正で確定する」段階が別物です。 現状は、暗号資産を金融商品として位置づける見直しや、税率(20%案など)に関する議論が報じられていますが、 時期・内容は確定ではありません。最終的には、国会での法改正や当局発表を確認する必要があります。

Q6. 急落の原因でよく聞く「清算(ロスカット)連鎖」って何?

レバレッジ取引では、価格が一定ラインを割ると証拠金不足で強制決済(清算)が発生します。 清算は機械的に「売り」を増やすため、下落が下落を呼ぶ状態になりやすいのが特徴です。

目安としては、先物建玉(OI)やFundingが過熱している局面ほど、逆回転の値幅が出やすくなります。

Q7. 「取引所に置きっぱなし」は危ない?保管(カストディ)の考え方は?

BTCの実務リスクは、プロトコル攻撃(51%など)よりも、保管・運用側の事故(流出、詐欺、紛失)が問題になりやすい、という整理が一般的です。 取引所を使う場合でも、二段階認証や出金制限など基本対策は必須です。

Q8. 規制が強化されたらBTCは終わる?逆に追い風になることもある?

規制は「逆風」と「制度化(参加ハードル低下)」の両面があります。 たとえば、投資家保護や開示が進むと、伝統金融の枠組みでアクセスしやすくなる一方、 制度変更(広告・税制・取引所規制など)は短期のショック要因にもなり得ます。

Q9. 円建て(BTC/JPY)は何に影響される?ドル建てと違うの?

円建てはざっくり言うと、「BTC/USD × USD/JPY」の影響を強く受けます。 BTCが横ばいでも、円安が進めばBTC/JPYは上がり、円高なら下がりやすい点に注意が必要です。

Q10. 「BTCは価値がゼロになる」と言う人もいるけど、どう考える?

将来性の議論は「強気/慎重」の両方を知っておくのが大切です。 慎重派は、キャッシュフローを生まない点、価格変動が大きい点、規制・信用イベントの影響などを理由に、 長期的な価値の安定性に懐疑的です。一方で強気派は、希少性(供給上限)や制度化・採用拡大を重視します。

どちらが正しいかを断定するより、「前提が崩れたときに致命傷にならない資金設計」を優先するのが現実的です。