先週の暗号資産市場:米中協議と中東緊張の二重構図

先週の暗号資産(仮想通貨)市場は米国金融市場と同様に、トランプ政権による関税問題の行方、特にロンドンで行われた中国との協議の進展に注目する展開から始まりました。 その後、週の半ばからは中東情勢の緊迫化に焦点が移り、市場は大きく揺れ動くこととなりました。

米雇用統計の余波と静かな週明け

6月9日(月)の金融市場は、6日(金)に発表された米国雇用統計の結果が落ち着いた印象を与えたことで、比較的静かなスタートとなりました。 BTC(ビットコイン)も105,000ドル台(約1,520万円)から始動。 ロンドンでの米中貿易協議の行方を見守る中、米国株式市場はほぼ横ばいで推移しましたが、BTCはやや地合いを強めて11万ドル台(約1,590万円台)に到達しました。

米中協議の進展と期待感

米中の協議は10日(火)まで続き、両国は先月スイス・ジュネーブで合意した内容の実行に向けて枠組みで一致。 米国のラトニック商務長官は、焦点となっていた中国によるレアアース輸出規制の解決に期待を示しました。 この結果は、トランプ大統領および習近平国家主席に報告され、承認が得られれば実行に移される予定です。

米中協議通過後のBTCは横ばい推移

こうした動きから、10日の米国株式市場はしっかりとした値動きを見せ、NYダウ平均は+105ドルとなりました。 BTCは前日に上昇していたため、この日は横ばいの展開を見せています。

イスラエルとイランの戦争

中東情勢の悪化と暗号資産の反応

11日(水)以降の緊迫化と市場の反応

11日(水)には、米国政府が中東にいる政府職員の一部退避を開始。これにより市場に緊迫感が広がり、仮想通貨市場でも上値が重くなる展開となりました。

米CPI下振れと利下げ観測

12日(木)に発表された米国消費者物価指数(CPI)は、総合・コアともに+0.1%と予想を下回る結果となり、年内に2回の利下げがあるのではという観測が強まりました。 株式市場は上値が重い中でも小幅な上昇を見せましたが、BTCは中東情勢の悪化を嫌気し、105,000ドル台(約1,510万円)へと下落しました。

13日(金)イラン・イスラエルの報復応酬でリスクオフ加速

13日には、ついにイスラエルがイランへの攻撃を開始し、イランからも報復攻撃が実施されました。 金融市場全体にリスクオフムードが急速に広がり、NYダウは-769ドル、S&P500は-68ポイント、NASDAQは-255ポイントと大幅安に。 BTCも一時102,700ドル(約1,470万円)まで急落しましたが、その後買い戻しが入り、106,000ドル(約1,530万円)近辺で週を終えました。

ETH・XRPなど他の銘柄も連動

週初の上昇から週末にかけての反落

ETH(イーサリアム)は週初2,520ドル(約36.3万円)でスタートし、週前半には2,850ドル(約41万円)台半ばまで上昇。 XRP(リップル)は2.25ドル(約327円)近辺から始まり、一時2.30ドル(約333円)程度まで上昇しました。 しかし、週末にかけて両銘柄ともに下落し、最終的にはそれぞれ2,630ドル(約37.9万円)と2.15ドル(約310円)程度で週を終えました。

今週の経済イベントカレンダー
Calendar of Economic Events This Week

曜日日本時間経済イベント重要度
61610:30中国新築住宅販売価格5月★★★☆☆
61611:00中国小売売上高、鉱工業生産指数5月★★★☆☆
61621:30米国NY連銀製造業景気指数6月★★★☆☆
616(月)-17(火)日本日本銀行金融政策決定会合★★★★☆
61721:30米国小売売上高5月★★★★★
61722:15米国鉱工業生産指数,設備稼働率5月★★★★☆
61821:30米国住宅着工件数5月★★★☆☆
61821:30米国新規失業保険申請件数6/1-6/7★★★☆☆
61827:00米国FOMC(連邦公開市場委員会)★★★★★
619終日米国米国市場休場(ジューンティーンスの祝日)☆☆☆☆☆
62008:30日本全国消費者物価指数(CPI)5月★★★☆☆
62021:30米国フィラデルフィア連銀景況指数6月★★★★☆
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米中協議の今後と関税問題

米中協議が首脳レベルで進展するかも注目されており、トランプ大統領が「今後2週間以内に関税率を一方的に決定する」と発言したことから、不透明感も高まっています。 暗号資産市場への影響も無視できません。

FOMCと日銀政策決定の注目点

日銀とFOMC、それぞれの注目点

今週は、世界的に注目を集める2つの金融政策イベントが連日開催されます。まず17日(火)には日本銀行による金融政策決定会合が行われ、続いて18日(水)には米国連邦公開市場委員会(FOMC)が予定されています。

日本では、植田和男総裁の記者会見において、YCC(イールドカーブ・コントロール)の再調整やマイナス金利政策の今後の方針が示されるかに注目が集まっています。特に足元の円安や物価上昇圧力への対応として、追加利上げや金融政策の出口戦略に関する発言が出るかどうかが焦点です。

一方のFOMCでは、パウエルFRB議長の発言を通じて、インフレ鎮静化の進捗と今後の利下げタイミングが改めて探られます。12日に発表されたCPIが市場予想を下回ったことで、金融市場では「9月利下げ観測」が強まりつつありますが、FRBの慎重な姿勢が維持される可能性もあり、市場の思惑とのギャップが生じるリスクがあります。

暗号資産市場が受ける金融政策の波紋

暗号資産市場においても、これらの政策判断は無関係ではありません。米国の金利政策は、ドルの流動性や投資家のリスク選好に直結し、特にビットコインなどの暗号資産の資金流入に大きく影響します。金利据え置きや利下げ示唆が出れば、リスク資産にとって追い風となる可能性がありますが、タカ派的なトーンが残れば、再び売り圧力が強まる展開も考えられます。

また、日本国内でも暗号資産への関心が高まる中、日銀の政策方針が円相場や日本人投資家の投資行動に影響を与える場面も増えてきています。金融政策の微細なニュアンスが相場全体に影響を及ぼす環境下、今週は中央銀行トップ2人の発言とその市場解釈に最大限の注意を払うべき局面といえるでしょう。

まとめ:下値への警戒感を忘れずに

中東情勢の緊迫化や金融政策の転換点が重なる中、暗号資産市場は今後もしばらくは不安定な動きを続ける可能性があります。 今週は特に、下値に対する警戒感を持ちながら、各国の政策動向と地政学リスクの推移を注視していく必要があります。

BTC積立企画

2023年6月から月毎に10万円分の暗号資産を実際に積み立てていき、そのポートフォリオを公開する企画です。ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、日本の取引所でも取り扱われており、米ドルとペッグ(連動)するステーブルコインであるダイ(DAI)を対象としています。

これまでの暗号資産積み立ての状況
Accumulation Status

[期間:2023.06.05 〜 2025.06.30]

ポートフォリオの現在の資産価値
 円

含み益(現在の資産価値 - 合計積立金額)
 円

利益率
%

積み立て回数
16 回

合計積立金額
1,600,000 円

ポートフォリオの構成

    ポートフォリオ

    銘柄 シンボル 対円レート 保有数量 日本円換算 構成比
    ビットコイン BTC [BTC/JPY] 0.1523 BTC %
    イーサリアム ETH [ETH/JPY] 1.8884 ETH %
    ダイ DAI [DAI/JPY] 80 DAI %
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