先週の暗号資産市場の動向

先週の暗号資産市場は、5月7日にFOMCを控える中、関税交渉の行方や米国内各州で進む戦略的ビットコイン備蓄法案(SBR)の審議などを注目する展開となりました。 週初5月5日(月)は前週5月2日にアリゾナ州で州知事がビットコイン備蓄法案に対して拒否権を発動した事を受け、BTCは94,300ドル(約1,375万円)近辺から始まりましたが、上値が重い展開となり、その後トランプ大統領から海外で制作された映画に対して関税をかけるとのコメントや、ISM非製造業景況指数の結果からインフレ懸念が強まり、一時93,500ドル(約1,363万円)近辺まで下落する場面もありました。円ベースでは1,350万円割れまで下落しています。

6日(火)は決算発表で通期見通しを取りやめる企業が相次ぎ、また3月の米国貿易赤字が過去最大になった事を嫌気し株式市場は下落しましたが、暗号資産市場は落ち着いていました。

7日(水)は中国との通商交渉が開始されるとのニュースや注目されたFOMCの結果が発表され、政策金利は据え置きとなりましたが、パウエルFRB議長が「今後の見通しを不透明としながらも米国経済は堅調」とコメントしたことで株式市場は上昇しました。暗号資産市場では、BTCを含む暗号資産準備金法案がニューハンプシャー州でサインされ、BTCは97,700ドル近辺(約1,420万円)近辺まで上昇しました。

8日(木)になると英国との通商交渉の協定合意を好感しリスクオン・ムードが高まりました。さらに、トランプ大統領から中国への関税引き下げの可能性について言及があり、株式市場は一段高となりました。BTCも大きく上昇し10万ドル台を回復し、一時104,000ドル(約1,515万円)程度まで上昇しています。

9日(金)は中国との貿易交渉の状況を見極めたいと様子見の展開となり、金融市場、暗号資産市場ともにやや弱含みの動きとなりました。BTCは102,900ドル(約1,500万円)近辺で週を終えています。

Ethereum Upgrade Pectra

主要アルトコインの動向

今週は、イーサリアム(ETH)およびXRPに対する投資家の買い意欲が顕著に高まり、両通貨ともに堅調な推移を見せました。特にイーサリアムについては、米国での現物ETFにおける現物償還の承認に向けた期待感が再燃し、大手機関投資家からの資金流入が観測されたことが好材料となりました。また、ネットワークのスケーラビリティ向上を目的とした「Pectra」アップグレードの進展もポジティブな評価を受けています。 一方、XRPに関しても、SEC(米証券取引委員会)とリップル社の長期にわたる訴訟が終盤に差しかかっており、両社の間で和解が合意されたことで、楽観的な見方が広がったことが上昇要因となりました。加えて、国際送金分野でのパートナーシップ拡大など、実需面での好ニュースも後押ししています。 その結果、ETHは週末時点で2,330ドル(約34万円)付近、XRPは2.35ドル(約340円)前後という高水準で取引を終え、市場では引き続き強気なムードが支配的です。

今週の経済イベントカレンダー
Calendar of Economic Events This Week

曜日日本時間経済イベント重要度
11321:30米国消費者物価指数(CPI)4月★★★★☆
21408:50日本国内企業物価4月★★☆☆☆
31521:30米国生産者物価指数(PPI)4月★★★☆☆
41521:30米国NY連銀製造業景気指数 5月★★★☆☆
51521:30米国新規失業保険申請件数5/4-5/10★★★☆☆
61521:30米国フィラデルフィア連銀景況指数5月★★★★☆
71521:30米国小売売上高 4月★★★★★
81522:14米国鉱工業生産、設備稼働率 4月★★★★☆
91608:50日本2025年第1四半期GDP★★★☆☆
101621:30米国住宅着工件数4月★★★☆☆
111621:30米国輸入物価指数4月★★☆☆☆
121623:00米国ミシガン大学消費者信頼感指数5月★★★★☆
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今後の見通しと市場注目点

先週は英国との通商交渉協定の合意や中国との通商交渉の開始などリスクオンへの支援材料が相次ぎ、金融市場、暗号資産市場ともに堅調な動きを見せた週となりました。今週は米国で消費者物価指数や生産者物価指数とインフレに直結する経済指標の発表があり、また鉱工業生産指数や小売売上高など景気動向を示す発表もあるなど、経済指標の発表が数多くあります。

先週のFOMCでは政策金利が据え置かれましたが、金融市場ではこの夏以降での政策金利の引き下げを年内に4回程度と強く予想していますので、今週の経済指標発表が今後の金融当局へどのような影響を及ぼす結果となるのか、注目されるところとなります。

リスクオンの動き?

暗号資産市場の独自性とリスクオン傾向

一方、暗号資産市場は、こうした金融市場の状況がリスクオン・ムードとなるのか注視することになります。先述したように、先週SECがリップル社と合意した和解を受けて、8日にNY南部地区連邦裁判所へ共同申立書を提出しました。また暗号資産分析会社のK33社は「ホールド・イン・メイ」戦略を唱え推奨しています。さらにバイナンス創業者のチャンポン・ジャオ氏が「BTCは50万ドルから100万ドルを目指す」とコメントするなど、注目動向が相次いでいます。

このように、暗号資産市場ではBTCの価格上昇とともにリスクオン的な動きやコメントが増えてきています。

まとめ

今後の米国経済の行方については引き続き不透明感の強い状況ではありますが、暗号資産市場が金融市場の動向から離れた市場展開を見せていくのか、注目される週となってきそうです。 投資家の皆さまにおかれましては、引き続き発表される経済指標の結果と金融市場の動向を注視していただきたいと思います。

BTC積立企画

2023年6月から月毎に10万円分の暗号資産を実際に積み立てていき、そのポートフォリオを公開する企画です。ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、日本の取引所でも取り扱われており、米ドルとペッグ(連動)するステーブルコインであるダイ(DAI)を対象としています。

これまでの暗号資産積み立ての状況
Accumulation Status

[期間:2023.06.05 〜 2025.06.30]

ポートフォリオの現在の資産価値
 円

含み益(現在の資産価値 - 合計積立金額)
 円

利益率
%

積み立て回数
16 回

合計積立金額
1,600,000 円

ポートフォリオの構成

    ポートフォリオ

    銘柄 シンボル 対円レート 保有数量 日本円換算 構成比
    ビットコイン BTC [BTC/JPY] 0.1523 BTC %
    イーサリアム ETH [ETH/JPY] 1.8884 ETH %
    ダイ DAI [DAI/JPY] 80 DAI %
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