先週の金融市場と暗号資産市場の動向

先週の金融市場ならびに暗号資産市場は、減速感が台頭する米国経済への懸念、トランプ大統領の関税政策の影響、そして3月3日深夜(日本時間)に行われたトランプ大統領の暗号資産準備金についての発表により、大きく揺さぶられた週となりました。

先週の暗号資産市場の動き

暗号資産市場では、週初、決算発表を控えるNVIDIAに対しての警戒感で軟調な動きとなった株式市場から影響を受ける中、モンタナ州でのビットコイン準備金法案が否決されたニュースが広まり、下落基調が高まりました。

BTCは96,000ドル台(円ベース:約1,440万円)近辺からのスタートでしたが、91,500ドル(約1,370万円)近辺まで下落しました。米国各州でのビットコイン準備金法案に対する動きは、その後もサウスダコタ、ノースダコタ、ワイオミング、ペンシルベニアで否決され、BTCは25日(火)、26日(水)も下落が続き、27日(木)未明には83,000ドル(約1,250万円)近辺までさらに下落しました。

その後、いったん落ち着きを見せましたが、28日(金)に入ると再度大きく崩れ、一時78,000ドル(約1,170万円)近辺を付け、84,000ドル(約1,270万円)近辺で週を終えています。BTCのこうした動きによる影響もあり、ETHやXRPなども大きく下落しました。ETHはBybitでのハッキングの影響もあり、週初2,800ドル(約42万円)台から始まりましたが、週末は2,120ドル(約32万円)近辺まで下げました。XRPも同様で、2.5ドル(約385円)近辺から週末は2.2ドル(約330円)近辺まで下げました。

しかし、3日深夜、トランプ大統領が戦略的暗号資産準備金について発表し、準備金にBTC、ETH、XRP、SOL(ソラナ)、ADA(エイダ)が含まれるとしたことから市場は急速に回復しました。BTCは約10%上昇し、一時94,425ドル(円ベース:約1,430万円)に達しました。また、ETHも前日比12%上昇し、XRPは33%、SOLは22%、ADAは60%以上の上昇を記録するなど、暗号資産市場全体が大きく反発する展開となりました。

ジェンスン・フアン

ジェンスン・フアン NVIDIA創業者兼CEO|shutterstock

先週の金融市場

金融市場も前週に続いて経済指標の結果や関税の話題で振り回される動きとなりました。

25日に発表されたコンファレンスボード消費者信頼感指数2月は、98.3で前月の105.3から-7.0と2021年8月以来の大きな落ち込みとなりました。この結果は市場予想の102.5も下回りました。さらに1年先のインフレ期待が+6.0%と前月の5.2%から0.8%上昇し、こちらは2023年5月以来の高水準の結果となりました。先週発表されたミシガン大学消費者信頼感指数でもインフレ期待が高く注目されていたことから、市場はインフレへの警戒感を強めています。

26日の引け後に発表されたNVIDIAの決算は、一般的な見方であれば好決算と言える内容でしたが、その成長性はこれまでのような高いものではなく、インパクトのある内容とはなりませんでした。そのため、NVIDIAの株価は27日に8.5%と大きく下落しています。こうした動きから27日の株式市場では半導体関連株が大きく下げるなど、NYダウ平均が193ドル安、S&P500が94ポイント安、NASDAQが530ポイント安と大幅安となりました。

28日に今週最も注目されていた米国個人消費支出(PCE)価格指数2月が発表され、結果は前月比-0.5%で市場予想の-0.1%を下回り、4年ぶりの大きな減少となりました。またコア指数は前月比+0.3%、前年同月比+2.5%とどちらも市場予想と一致した落ち着いた結果で、特に前月比が小幅伸びとなってことから安堵感が市場に広がり、債券市場で利回りが低下し米国10年国債が4.21%、2年国債が3.99%となりました。

株式市場はこうした低下を受けて、インフレ鈍化との判断から利下げ期待を強め、買い戻しが加速しました。さらにメキシコが米国の対中国関税政策に同調する対中関税強化の方針に前向きで、米国との現状が改善するとの思惑も働き買い戻しが一段と強まりました。週末の株式市場は、NYダウ平均が601ドル高、S&P500が92ポイント高、NASDAQが302ポイント高となりました。

今週の経済イベントカレンダー
Calendar of Economic Events This Week

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曜日日本時間経済イベント重要度
03 03 19:00 欧州 ユーロ圏消費者物価指数(HICP)2月 ★★★☆☆
03 03 23:45 米国 製造業購買担当者景気指数(PMI)2月 ★★★★☆
03 03 24:00 米国 ISM製造業景気指数2月 ★★★★★
03 05 18:00 欧州 ユーロ圏サービス業PMI2月 ★★☆☆☆
03 05 19:00 欧州 ユーロ圏生産者物価指数1月 ★★☆☆☆
03 05 22:15 米国 ADP雇用者数2月 ★★★★☆
03 05 23:45 米国 サービス業PMI2月 ★★★☆☆
03 05 24:00 米国 アメリカ・ISM非製造業景気指数 02月 ★★★★★
03 06 20:15 欧州 ECB政策金利会合 ★★★★★
03 06 22:30 米国 貿易収支1月 ★★★★☆
03 06 22:30 米国 失業保険申請件数2/23-3/01 ★★★☆☆
03 07 未定 中国 貿易収支2月 ★★★☆☆
03 07 19:00 欧州 ユーロ圏GDP2024年第4四半期 ★★★☆☆
03 07 22:30 米国 雇用統計2月(非農業部門就業者数、失業率、平均時給) ★★★★★
03 07 未定 米国 ホワイトハウス暗号資産サミット ★★★★★

今週注目の経済イベント

今週控えている経済指標の発表では、前半に米国の製造業、サービス業の状況が確認され、後半にかけて米国の雇用状況が確認されるなど、金融当局にとって重要な発表のある週となります。

その中でわれわれ投資家サイドから見ると週末の3月7日(金)が最も重要と考えられます。この日には、米国雇用統計の発表があり、先月から雇用状況の悪化が見られるだけに注目が集まります。さらに、初めて行われる「ホワイトハウス暗号資産サミット」も注目されます。

ホワイトハウス

ホワイトハウス暗号資産サミット

日本時間3日深夜、トランプ大統領は米国政府として暗号資産の規制緩和およびBTC、ETH、XRP、SOL、ADAを含む戦略的暗号資産準備金の創設を進める方針を表明しました。ホワイトハウス暗号資産サミットでは、さらなる詳細を明らかにするとのことで、同サミットに対する注目度が一気に高まっています。

ホワイトハウス暗号資産サミットは、トランプ大統領主導のもと初めて開催される予定のイベントで、暗号資産関連企業の著名な創業者やCEO、投資家、そして大統領直属のデジタル資産ワーキンググループのメンバーが参加します。​サミットの議長は、ホワイトハウスの暗号資産・AI政策担当であるデビッド・サックス氏が務め、ワーキンググループのエグゼクティブ・ディレクターであるボー・ハインズ氏が運営を担当します。 ​

このサミットでは、戦略的暗号資産準備金の詳細のほか、暗号資産に関する規制政策、ステーブルコインの監督、米国の金融システムにおけるビットコインの役割などが議論される見込みです。トランプ大統領は、暗号資産業界が求めてきた明確な法的枠組みを構築し、米国での発展を促す意向を示しています。 ​

先月11日にはパウエルFRB議長が暗号資産に対する規制環境に関して「見直すべき時だ」と発言しており、米国政府全体で暗号資産に対するスタンスが大きく変化し始めています。

このサミットは、米国の暗号資産政策の方向性を示す重要な場となる可能性が高く、世界の暗号資産市場にも大きな影響を与えると見られています。特にサミットでのトランプ大統領の発言内容が大変注目され、サミット後の相場展開に期待が持たれるところです。

       

これまでの暗号資産積み立ての状況
Accumulation Status

[期間:2023.06.05 〜 2025.03.09]

2023年6月から月毎に10万円分の暗号資産を実際に積み立てていき、そのポートフォリオを公開する企画です。ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、日本の取引所でも取り扱われており、米ドルとペッグ〔連動〕するステーブルコインであるダイ(DAI)を対象としています。

ポートフォリオの現在の資産価値

含み益(現在の資産価値 - 合計積立金額)

利益率
%

積み立て回数
16

合計積立金額
1,600,000

ポートフォリオの構成

    ポートフォリオ

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    銘柄 シンボル 対円レート 保有数量 日本円換算 構成比
    ビットコイン BTC [BTC/JPY] 0.1523 BTC %
    イーサリアム ETH [ETH/JPY] 1.8884 ETH %
    ダイ DAI [DAI/JPY] 80 DAI %