監修:株式会社J-CAM 金融アドバイザー AFP認定者 倉本 佳光 Yoshimitsu Kuramoto
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。その後、メリルリンチ日本証券株式会社マネージメント・コミッティーメンバー、岡三アセットマネジメント株式会社理事などを歴任。
執筆:BitLending編集部 更新日:2026年7月23日
金連動型ステーブルコインとは、現物の金を裏付け資産などに用い、金価格への連動を目指す仮想通貨(暗号資産)・デジタルトークンです。代表例には、ジパングコイン(ZPG)、Kinka Gold(XNK)、Tether Gold(XAUT)、PAX Gold(PAXG)があります。
ただし、米ドル連動型ステーブルコインのように法定通貨建ての価格を一定に保つものではありません。金価格が下がればトークン価格も下がり得るうえ、為替や取引所の需給によって金価格とのずれが生じることもあります。
また、「現物の金で裏付けられていること」と「少額のトークンをいつでも金地金に交換できること」は同じではありません。購入前には、発行元、裏付け資産の報告、現物交換の条件、売買場所、流動性を銘柄ごとに確認する必要があります。
免責事項(投資助言ではありません)
本記事は、暗号資産に関する情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買・投資行動を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が非常に大きく、短期間で大きな損失が発生する可能性があります。投資判断は必ずご自身の責任で行い、必要に応じて専門家へご相談ください。
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金連動型ステーブルコインとは?金価格に連動する仕組み
金連動型ステーブルコインは、発行元などが保管する金地金を裏付けとし、金の市場価格に近い値動きを目指す仮想通貨(暗号資産)・デジタルトークンの総称です。「ゴールド連動型暗号資産」「金連動型トークン」と呼ばれることもあります。
基本的な仕組みは、発行元が金地金を保管または信託し、その一定量に対応するトークンをブロックチェーン上で発行するというものです。たとえば、1トークンを金1gに対応させる銘柄と、金1ファイントロイオンス(約31.1g)に対応させる銘柄があります。
重要なのは、価格への連動、金による裏付け、金現物との交換権を分けて確認することです。裏付け資産があっても、保有者が直接金地金を受け取るには、本人確認、最低数量、配送地域、手数料などの条件が設けられている場合があります。
なお、一般に「ステーブルコイン」と呼ばれていても、日本の資金決済法上の「電子決済手段」と同じとは限りません。電子決済手段は、法定通貨と連動する価値を持ち、額面での償還を約するものなどを対象としています。金価格を参照するトークンは、商品設計や国内での取扱いに応じて暗号資産として扱われる場合があります。
米ドルや日本円に連動するタイプを含むステーブルコイン全体の種類と仕組みは、別記事で詳しく解説しています。
金価格と同じ値動きになるとは限らない
金連動型ステーブルコインの価格は、基準となる金価格への連動を目指します。ただし、取引所では売り手と買い手の需給によって価格が決まるため、金の理論価格と一時的に乖離することがあります。
日本円で見た価格には為替も影響します。ドル建ての金価格が変わらなくても、円安になれば円換算価格は上がり、円高になれば下がる可能性があります。また、取引量が少ない市場では、売買価格の差であるスプレッドが広がりやすくなります。
「金で裏付けられている」ことは、購入価格や売却価格が常に金価格と完全一致する保証ではありません。
金連動型ステーブルコイン4種類を比較
代表的な金連動型ステーブルコインには、ジパングコイン(ZPG)、Kinka Gold(XNK)、Tether Gold(XAUT)、PAX Gold(PAXG)があります。いずれも金価格への連動を目指しますが、基準となる金の単位、発行元、報告体制、国内での買いやすさ、現物交換の条件は異なります。
| 銘柄 | 基準 | 主な特徴 | 国内取扱い |
|---|---|---|---|
| ZPG | 1ZPG=金1g相当 | 国内発行。金現物を信託へ寄託 | あり |
| XNK | 1XNK=金1トロイオンス相当 | 金地金事業者グループが関与 | 執筆時点で主要国内取引所の取扱いを確認できず |
| XAUT | 1XAUT=金1ファイントロイオンス | 四半期の準備資産報告を公開 | 執筆時点で主要国内取引所の取扱いを確認できず |
| PAXG | 1PAXG=金1ファイントロイオンス | 月次の準備資産・第三者保証報告を公開 | 執筆時点で主要国内取引所の取扱いを確認できず |
※取扱状況は2026年7月23日時点。取引所の取扱銘柄や提供地域は変更されるため、利用前に各社公式サイトで確認してください。
比較では「金に連動するか」だけでなく、裏付けの確認方法と、売却・償還までの条件を見ることが大切です。
ほかの暗号資産とあわせて検討する場合は、暗号資産の種類と流動性の確認方法も参考にしてください。
ジパングコイン(ZPG)|国内で買いやすい金1g連動型
ジパングコイン(ZPG)は、三井物産デジタルコモディティーズ株式会社が発行する、金価格への連動を目指す国内発行の暗号資産です。1ZPGが金1gの価格とほぼ等価になるよう設計され、発行量に相当する金現物が信託へ寄託されます。
国内の暗号資産交換業者で取り扱われており、GMOコインは2026年4月20日にZPGの取扱いを開始しました。同社では販売所で100円未満から購入できると案内しています。最低購入額やスプレッドは取引所ごとに異なるため、実際の注文画面で確認が必要です。
ZPGは国内で購入しやすい一方、トークンを金地金へ直接交換する商品ではありません。金現物の受取りを重視する場合は、ほかの金商品や各トークンの償還制度と比較する必要があります。
《出典》
ジパングコイン(ZPG)とは?|GMOコイン
金・銀・プラチナに連動する暗号資産「ジパングコイン」シリーズ取扱開始のお知らせ|GMOコイン
Kinka Gold(XNK)|金地金事業者グループが関与する銘柄
Kinka Gold(XNK)は、金1トロイオンスに対応するよう設計された金連動型トークンです。金地金事業を行う第一商品グループの海外法人がプロジェクトに関与しています。
公式ホワイトペーパーでは、トークンに対応する金を保管し、所定の条件を満たす保有者に金地金との交換手続きを設けています。ただし、現物交換には約321.5XNK以上などの大きな最低数量が示されており、少額保有者が1トークン単位で金を受け取る仕組みではありません。
国内での取扱いが限られる銘柄は、購入経路だけでなく、日本居住者へのサービス提供、本人確認、出金、売却時の流動性まで確認しましょう。
Tether Gold(XAUT)とは?裏付けと現物交換の条件
Tether Gold(XAUT)は、TG Commodities, S.A. de C.V.が発行する金連動型トークンです。1XAUTは、ロンドン貴金属市場協会(LBMA)の基準を満たす金地金に含まれる金1ファイントロイオンスの所有権を表すと説明されています。
発行元は四半期ごとに準備資産報告を公開し、第三者会計事務所による保証報告も掲載しています。2026年3月31日時点の報告では、流通するXAUTに対し、少なくとも同量のファイントロイオンスの金を保管しているとされています。
XAUTは小数単位で取引所から購入できる場合がありますが、発行元から直接購入する最低数量は50XAUTです。また、金現物との交換は原則として金地金1本単位で、発行元は必要量の目安として約430XAUTを案内しています。本人確認、スイスでの受取りまたは売却、配送費用、0.25%相当の手数料などの条件もあります。
「1XAUT=金1オンス相当」でも、1XAUTをそのまま金1オンスの小型地金に交換できるわけではありません。
公式FAQでは、XAUTはEthereum上のERC-20とBNB Chain上のBEP-20に対応すると案内されています。送金時は、取引所とウォレットの両方が同じネットワークへ対応しているか確認してください。
《出典》
Tether Gold FAQ|Tether Gold
Reserves Reports of XAUT|Tether Gold
PAX Gold(PAXG)とは?XAUTとの違い
PAX Gold(PAXG)は、Paxosが発行する金連動型トークンです。1PAXGは、ロンドンのLBMA認定保管施設で分別管理される金1ファイントロイオンスに対応すると説明されています。
Paxosは月次でPAXGの準備資産報告と第三者による保証報告を公開しています。PAXGは18桁まで分割できるため小数単位で保有できますが、Paxosから直接購入する場合の最低数量や手数料、金地金として受け取る場合の条件は別に設けられています。
| 比較項目 | XAUT | PAXG |
|---|---|---|
| 対応する金 | 1XAUT=金1ファイントロイオンス | 1PAXG=金1ファイントロイオンス |
| 報告頻度 | 四半期 | 月次 |
| 発行元からの現物交換 | 金地金1本単位などの条件あり | 金地金や米ドルへの償還条件あり |
| 主な確認点 | 最低購入・償還数量、対応地域 | 利用資格、最低数量、手数料 |
PAXGとXAUTは基準単位が同じでも、監督体制、報告頻度、利用資格、償還手続きが異なります。将来性を判断するときは金価格の予想だけでなく、流動性、発行元の継続性、準備資産の透明性、利用できる市場を確認しましょう。
《出典》
PAXG Overview|Paxos Documentation
PAX Gold Transparency Reports|Paxos
金現物・純金積立・金ETFとの違い
金価格への投資手段は、金連動型ステーブルコインだけではありません。金地金や金貨、純金積立、金ETFなどがあり、それぞれ保管方法、売買時間、手数料、権利関係が異なります。
| 比較項目 | 金連動型トークン | 金現物・純金積立 | 金ETF |
|---|---|---|---|
| 小口購入 | 取引所の最小注文単位による | 商品・事業者による | 市場価格と取引単位による |
| 取引時間 | 取引所・発行元による | 販売事業者による | 証券市場の取引時間内 |
| 保管 | 取引所またはウォレット | 自宅または事業者 | 証券口座 |
| 主な費用 | スプレッド、売買・送金・償還費用 | 売買・積立・保管・引出し費用など | 売買手数料、信託報酬など |
| 追加リスク | 発行元、取引所、チェーン、秘密鍵 | 盗難、紛失、保管事業者 | 商品設計、証券口座、市場取引 |
どの方法が適するかは、現物を受け取りたいのか、証券口座で売買したいのか、ブロックチェーン上で移転したいのかによって変わります。
なお、金連動型トークンは発行元が管理する金を裏付けにする点で、発行主体を持たないビットコインとは価値の構造が異なります。詳しくは金とビットコインの価値の違いも確認してください。
金連動型ステーブルコインのメリット
金連動型ステーブルコインには、金への価格連動を目指しながら、暗号資産として小数単位で保有・移転できる利便性があります。ただし、実際の条件は銘柄、取引所、利用地域によって異なります。
- 小数単位で保有しやすい
- 自分で金地金を保管する必要がない
- 対応サービスでは時間帯を問わず売買・移転しやすい
- ブロックチェーン上で送受信できる
- 銘柄によっては準備資産や対応する金地金を確認できる
利便性の中心は「金価格へのアクセスをデジタル化できること」であり、価格下落や発行元リスクがなくなることではありません。
小数単位で保有しやすい
金地金1本を買う場合と異なり、金連動型トークンは小数単位で保有できます。国内取引所で扱われるZPGのように、少額から注文できる銘柄もあります。
ただし、少額で「購入できる」ことと、少額で「金現物へ交換できる」ことは別です。現物交換を希望する場合は、発行元の最低償還数量を確認してください。
金地金を自分で保管しなくてよい
金連動型トークンでは、裏付けとなる金地金を発行元や保管会社などが管理します。そのため、保有者が自宅で金地金を保管する必要はありません。
ただし、保管の問題がなくなるのではなく、発行元・保管会社・取引所・ウォレットの管理リスクへ置き換わります。銘柄によっては保管料を設定していなくても、売買、送金、償還に費用がかかる場合があります。
対応市場では24時間売買・移転しやすい
暗号資産取引所の注文板やブロックチェーンは、証券市場の時間外でも利用できる場合があります。PAXGについても、取引所の注文板は24時間取引できる一方、Paxosでの発行・償還価格はロンドン金市場の時間に基づくと説明されています。
「24時間注文できること」と「いつでも十分な流動性で金価格どおりに売れること」は同じではありません。市場が薄い時間帯にはスプレッドや価格乖離が広がる可能性があります。
購入前に確認したい金連動型ステーブルコインの7つのリスク
金連動型ステーブルコインは現物の金を裏付けにしていても、元本や換金を保証する預金ではありません。主なリスクは次の7つです。
- 金価格が下落するリスク
- 円建て価格が為替の影響を受けるリスク
- 市場価格が金価格から乖離するリスク
- 発行元・保管会社・裏付け資産に関するリスク
- 現物交換に最低数量や地域などの条件があること
- 取引所の流動性・スプレッド・出金停止リスク
- ウォレット・送金・スマートコントラクトのリスク
金価格への連動性だけでは安全性を判断できません。発行から保管、売買、送金、償還までの各段階に異なるリスクがあります。
発行元と裏付け資産を確認する
確認したいのは、「発行量以上の金がある」と発行元が説明しているかだけではありません。準備資産報告の更新頻度、第三者による保証の有無、保管主体、金地金が分別管理されているか、保有者にどのような権利があるかも確認します。
発行元や保管会社に破綻、法的紛争、業務停止などが生じた場合、トークンを保有していても想定どおりに売却・償還できない可能性があります。
価格乖離・流動性・スプレッドを確認する
取引量が少ない銘柄や取引所では、希望価格で売買が成立しにくくなります。表示価格が金価格に近くても、実際の購入価格と売却価格の差が大きければ、売買直後から評価損が生じます。
購入前に、注文板の厚み、直近の出来高、買値と売値の差、出金できるネットワーク、最低出金数量を確認しましょう。
ウォレットと送金ネットワークを確認する
自分のウォレットへ送金する場合、送信元と受信先が同じネットワークへ対応している必要があります。異なるネットワークや誤ったアドレスへ送金すると、原則として取り戻せません。
秘密鍵やシードフレーズを紛失した場合も、自分の資産へアクセスできなくなる可能性があります。自己管理を検討する場合は、ウォレットの種類と送金時の注意点を確認してください。
日本で金連動型ステーブルコインを購入する前の確認手順
購入ボタンを押す前に、買う場所だけでなく、売却・出金・記録保存まで確認しておくことが大切です。
- 金融庁登録の国内暗号資産交換業者で取扱いがあるか確認する
- 販売所と取引所のどちらで売買するのか確認する
- 最小注文数量、スプレッド、売買・出金手数料を確認する
- 裏付け資産と最新の準備資産報告を確認する
- 現物交換を希望する場合は最低数量・地域・費用を確認する
- 送金する場合は対応ネットワークを確認する
- 購入額、数量、手数料、売却・交換履歴を保存する
国内取扱いのないXAUTやPAXGを検索すると、海外取引所が表示されることがあります。しかし、海外で営業する取引所が日本居住者へ継続してサービスを提供できるか、資産管理やトラブル時の保護がどうなっているかは、国内登録業者と同じではありません。
銘柄数の多さだけで海外取引所を選ばず、日本居住者への提供状況と規制上の位置付けを確認してください。国内取引所と海外取引所の制度上の違いも参考になります。
売却・交換に備えて取引記録を残す
日本では、個人が暗号資産を売却または使用して生じた利益は、事業所得などに該当する場合を除き、原則として雑所得に区分されます。暗号資産同士の交換でも所得計算が必要になる場合があります。
購入時の日本円価額、数量、手数料、売却・交換時の価額を確認できるよう、取引履歴を保存しておきましょう。具体的な計算や申告は、暗号資産の売却・交換にかかる税金で解説しています。
金連動型ステーブルコインのよくある質問
金連動型ステーブルコインについて、購入前に生じやすい疑問を整理します。
金連動型ステーブルコインは価格が下がらないのですか?
いいえ。金価格が下落すれば、金連動型ステーブルコインの価格も下がる可能性があります。日本円で見た場合は為替の影響も受けます。また、取引所の需給や流動性によって金価格から乖離することがあります。
普通のステーブルコインとの違いは何ですか?
USDTやUSDCなどは主に米ドルの価値への連動を目指します。一方、金連動型ステーブルコインは金価格への連動を目指すため、ドルや円に対する価格は金相場に応じて変動します。日本の法律上の分類も一律ではありません。
PAXGとXAUTは現物の金に交換できますか?
どちらも発行元による現物償還制度がありますが、本人確認、利用資格、最低数量、金地金の単位、受取地域、手数料などの条件があります。少額保有者が1トークン未満をそのまま少量の金へ交換できる仕組みではありません。
テザーゴールド(XAUT)は日本の取引所で買えますか?
2026年7月23日時点では、主要な国内暗号資産交換業者でXAUTの取扱いを確認できませんでした。取扱状況は変わるため、金融庁登録業者の公式銘柄一覧を確認してください。海外サービスを利用する場合は、日本居住者への提供状況や資産保護が国内業者と異なる点にも注意が必要です。
PAXGやXAUTをレンディングできますか?
海外のサービスなどで貸出対象になる場合がありますが、すべてのレンディングサービスが対応しているわけではありません。なお、BitLendingでは2026年7月23日時点でPAXGとXAUTを取扱対象として案内していません。貸し出す場合は、金価格や発行元のリスクに加え、貸出先の信用リスクや返還条件も確認してください。
売却や他の暗号資産との交換に税金はかかりますか?
暗号資産として扱われる銘柄では、売却や使用で生じた利益は原則として雑所得に区分されます。他の暗号資産との交換でも所得計算が必要になる場合があります。個別の税務判断は税理士などの専門家へ相談してください。
まとめ|「金連動」だけでなく裏付けと償還条件を確認する
金連動型ステーブルコインは、金価格への連動を目指しながら、暗号資産として小数単位で保有・移転できる商品です。代表例にはZPG、XNK、XAUT、PAXGがあります。
ただし、金で裏付けられていても価格下落、為替、価格乖離、発行元、取引所、ウォレットなどのリスクがあります。現物交換制度があっても、最低数量や地域、費用などの条件が設けられています。
購入前は、発行元、準備資産報告、現物交換の条件、売買場所、流動性の5点を確認しましょう。金現物、純金積立、金ETFとも比較し、自分が必要とする保有方法に合っているかを判断することが大切です。