日米通商合意で日経平均急騰!だが上値余地に黄信号?
2025.07.25
日米関税交渉が合意、関税は一部引き下げへ
日米両国政府は7月22日(火)に関税交渉で合意しました。米国のかける関税は、幅広い品目にかかる相互関税が15%となり、8月1日から発動の予定であった25%から下がることになります。
また自動車にかかる関税は25%から12.5%に下がり、既存の税率2.5%と合わせて15%になります。トランプ大統領が強く打ち出した水準から下がることになりましたが、それでもトランプ政権が始まる前と比較すると、日本企業の関税負担は大きいと考えられます。
また自動車業界の米国企業からは、日本企業の負担が米国企業よりも軽いと強い不満の声も上がっています。
市場の反応はポジティブ、日本株は大幅上昇
このように今後の経済運営には日米両国でまだまだ課題があると思われますが、トランプ政権による関税交渉がなかなか結果を得られない中での大きな合意内容として、日米の株式市場は強く好感して大きく株価が上昇しています。
特に日本では企業による負担が大きいと考えられるものの、日本経済の屋台骨を支える自動車業界への注目度が高く、当初の負担から関税率が半減するとして強く好感されています。
日米の株式市場はともに上昇
7月23日の東京株式市場は、日経平均株価が1,396円高となり、終値が41,171円と4万円台に乗せて終了しました。続く24日も日経平均株価は650円あまり上昇しています。
一方、7月23日の米国株式市場は、こちらも日米の合意を好感してNYダウ平均+507ドル、S&P500+49、NASDAQ+127と3指数とも揃って上昇しました。ただNYダウ平均こそ1.1%の上昇となりましたが、S&P500は+0.78%、NASDAQは+0.60%と、日本市場ほどの大きな上昇にはなりませんでした。

米国市場では決算発表が焦点に
米国株式市場では「最終的な関税率がどうなるのか?という不透明感がようやく晴れつつあることだ。企業はその前提で計画を立てやすくなる」とのコメントも出ています。
その一方で、市場の意識は発表が始まっている米国企業の決算発表に移ってきています。米大手銀行のストラテジストからは、「株高が進む一方で企業の業績予想の下方修正が続いており、楽観が行き過ぎている」とのコメントや、「アナリストが業績見通しを上方修正し始めるか、そうでなければ市場は高ボラティリティと下落局面に見舞われるリスクがある。どちらかが起こることになる」と警鐘を鳴らす声も出ています。
IT大手の決算に注目集まる
投資家は、米国株の上昇をけん引してきたIT・ハイテク企業の回復力を見極めるため、大手IT企業の決算に注目しています。その意味でもこの日の引け後に発表されたアルファベットとテスラの決算は注目されました。この2社はマグニフィセント7の中で最初の発表となります。
決算の内容では、アルファベットは売上高、利益ともに市場予想を上回る内容でしたが、今後の設備投資が巨額で嫌気され株価は0.6ドル安でした。
またテスラはイーロン・マスク氏の政治活動の影響などもあり、売上高は前年同期比-11.7%、営業利益は-42.4%と減益決算を発表しています。
またマグニフィセント7ではありませんが、テキサス・インスツルメンツが先行きへの不透明感から株価が-11%(-28.67ドル安)と大きく下落しました。期待された決算発表でしたが、こうした結果が株式市場全体の上値を抑える展開となっています。
現在の株価水準と今後の展望
今回の決算発表前の時点でS&P500の予想1株当たり利益(EPS)は284.35ドル程度ですが、S&P500の過去5年平均株価収益率(PER)は20.0倍使って計算すると「5,687」になります。昨日の終値が「6,227」でPERは21.9倍になっています。
来年2026年EPSの予想成長率は+14.0%で、PERを20倍で計算すると「6,483」になります。ゴールドマン・サックスやBOA(バンク・オブ・アメリカ)はS&P500の年末予想水準を「6,500」としていますので、ほぼそれに合致する価格です。
しかし、昨日のS&P500終値が「6,358」ですから、20倍水準まであと「125」しかありません。「6,500」でも「142」になります。この後に米国経済を大きく伸長させる材料が出てこないと、上値余地が小さいとの判断から、徐々に上値が重くなることが想定されます。
投資家へのメッセージ:冷静な判断を
今後の米国株式市場の動向については、慎重な判断が必要なタイミングが近づきつつあるのかもしれません。投資家の皆さまには市場の動向に十分に注意を持っていただきたいと思います。