近年ICO(Initial Coin Offering/新規仮想通貨公開)で巨額の資本を集めて話題となった仮想通貨(暗号資産)「ファイルコイン(FIL)」について解説していきます。

ファイルコインのICOでは「スタンフォード大学」をはじめ、シリコンバレーに拠点を置くVC(ベンチャーキャピタル)の「Y Combinator」や、同じくVCの「a16z」「Sequoia Capital」、さらに仮想通貨(暗号資産)への投資で有名な「ウィンクルボス兄弟」など、世界に名だたるファンド、投資家が出資しました。

さらにこのICOでは日本円で約282億円の資金調達に成功し、ICO歴代2位の記録をたたき出すなど多くの人々に衝撃と驚きを与える結果となりました。

そんな人々の興味を引き寄せる「ファイルコイン」とはいったいなんなのか?この記事ではそんな魅力たっぷりのファイルコインについて解説していきたいと思います。

ファイルコイン(FIL)とは?

ファイルコインと書かれた文字と青い背景

ファルコインとは、アメリカ合衆国のシリコンバレーに拠点を持つProtocol Labs社が、2017年にICOをおこなった仮想通貨(暗号資産)です。

2020年にProtocol Lab社のJuan Benet氏が、P2Pの技術を利用したIPFSと呼ばれる分散型ネットワークファイルシステムをローンチしました。このシステムは、ユーザー同士がデバイスの空きストレージを貸し借りできる斬新もので、現代のデジタル課題を解決する画期的なものでした。

ファイルコインはこのシステムを利用する際に必要になるトークンです。

ファイルコイン誕生の背景

パソコンの大型ストレージが置かれた部屋

ファイルコイン誕生の背景には、莫大にふくれあがる世界のデータ量増加や、情報のセキュリティー問題などが深く関係しています。

ここからは、世界が今抱えている3つのデジタル課題を深掘りし、ファイルコイン誕生の背景に迫ります。

膨れあがるコンテンツデータ

アメリカの市場調査会社IDCによると、2010年から2020年の10年間で、世界のデータ量は60倍までふくれあがったと発表しています。これはスマートフォン、タブレットの普及や、デジタルコンテンツのリッチ化が原因と考えられます。今後は、5Gや6Gの発達にともなうIoTの普及によりネットに接続されるデバイスは増加し、世界のデータ量増加はさらに加速していくと思われます。

中央集権型のストレージに対する課題

こうした状況で課題となるのがストレージ問題です。現在GoogleやMicrosoft、Dropboxなど各企業が独自にクラウドを利用したストレージサービスを行っていますが、今後これら中央集権型のストレージサービスは、「管理者」「利用者」ともにデータ量の増加にともなう管理コスト増加を避けることができません。

また、こういった集積型のストレージは、不特定多数のデバイスからアクセスが集中した場合システムが重くなり通信速度の低下を招いたりするほか、最悪の場合サーバーダウンをおこすリスクと常に隣り合わせになります。

中央集権型のセキュリティーに対する課題

企業や個人の重要なデータ情報が、特定のストレージセンターに依存して管理されているのはセキュリティ上安全とは言えません。

事実、中央集権型のストレージセンターはハッキングの標的になりやすく、善悪問わず人間による情報漏洩も幾度となくくり返されてきました。

こういった背景から、これら3つの課題を解決するためProtocol Labs社が主導しIPFSが開発され、このシステムを利用するためのツールとしてファイルコインが誕生しました。

ファイルコインの特徴

散らばった仮想通貨のコイン

ファイルコインは仮想通貨(暗号資産)のため、投機的取引の対象と見られがちですが、それ以外にも多くのユーザーを引き寄せる魅力的な特徴があります。1つずつ見ていきましょう。

IPFSの採用

IPFS(分散型ファイルネットワークファイルシステム)はProtocol Labs社が主導して開発した、データ保存のためのストレージシステムです。Protocol Labs社が主導してはいますが、ストレージ自体は中央管理者がいない分散型のストレージシステムです。そのためIPFSは、P2P(Peer to Peer)ネットワーク上に構築され、ユーザーのデータは分散化された状態で保存されます。

P2Pネットワーク上の情報はハッキングや情報の改ざんが難しいため、重要な情報が漏洩してしまうなどのリスクを格段に抑えることにができます。

非中央集権管理型のストレージ

従来の中央集権型のストレージセンターは、巨大なストレージを確保できる企業がストレージを提供し、価格やサービスを独自の判断で決定していました。

IPFSのストレージは、世界中の各ユーザーが自身のスマートフォンやPCの空きストレージをIPFS上に貸し出すことで成り立つ非中央集権型のストレージです。

ストレージの賃借料は貸し出すユーザーが決めることができ、借りる側は価格等を考慮してストレージを選定するため、価格競争のある自由で開かれたストレージ市場が確立されました。

マイニングはストレージの貸し出し

仮想通貨(暗号資産)にはマイニングというものが存在します。ファイルコインではIPFS上にストレージを貸し出すことをマイニングと言い、マイニングをおこなっている人のことをマイナーといいます。

IPFSは世界中に眠っている未活用の空きストレージを統合し、巨大なストレージシステムを構築することを目的としています。この巨大なストレージシステムを支えているのが、マイナーによるマイニングです。

先に記述したとおり、ファイルコインのマイニングは、マイナー自身のスマホやPCの空きストレージをIPFS上に貸し出すことです。そしてその報酬としてマイナーにはファイルコインが与えられる仕組みとなっています。

仮想通貨(暗号資産)のマイニングは報酬が発生するため多くの方が魅力を感じると思いますが、少し複雑でデメリットも存在します。そこで仮想通貨(暗号資産)のマイニングについて詳しく解説している記事を下に記載しておきます。興味のある方はあわえてご覧ください。

「仮想通貨(暗号資産)のマイニングとは? 始め方やメリット・デメリットも解説」

ファイルコインの将来性

promiseの文字とパソコンやスマホのさまざまなアイコン

ICOで史上2番目である282億円を上る資金調達に成功したファイルコインですが、今後大きく飛躍する可能性があります。

ビットコイン(BTC)を上回る可能性

米国の証券取引所であるNASDAQ(ナスダック)は2020年12月19日に、「今後数年間でビットコインを上回る可能性のある3つのアルトコイン」というコラムを掲載し、そのなかの1つにファイルコイン(FIL)を取り上げました。

まだ誕生して間もないファイルコインをNASDAQが取り上げるということはそれだけポテンシャルを秘めているといえます。

WEB3.0時代による需要拡大

現在のインターネットはWEB3.0時代といわれ、デジタルコンテンツを所有する時代になりました。仮想通貨(暗号資産)NFTがまさにWEB3.0の代名詞です。

これらデジタルコンテンツを所有するには当然ストレージが必要になります。今後ストレージ需要が拡大することは疑う余地がなく、IPFSの活用にともなうファイルコインの価格上昇も大いに期待できます。

ファイルコインの価格予測

BYUとSELLと書かれた看板

以上のことから今後、ファルコインの価格は上昇基調をたどると考えられます。

今後の価格予測の参考として、仮想通貨(暗号資産)やブロックチェーンの情報を24時間発信しているサイト「cryptonewsz」で公表されている、「2024年~2030年のファイルコイン価格予測」を記載しておきます。

最低価格 上限価格
2024年 5.70ドル 8.20ドル
2025年 7.19ドル 10.35ドル
2026年 8.69ドル 12.51ドル
2027年 10.69ドル 15.39ドル
2028年 13.40ドル 19.28ドル
2029年 16.84ドル 24.24ドル
2030年 20.42ドル 29.40ドル

(引用:Filecoin Price Prediction 2024 2025 2026 – 2030 (cryptonewsz.com))

こちらの情報を見ると、ファイルコインの価格が今後上がっていく可能性が高いといえるでしょう。仮想通貨(暗号資産)は、常に最新の情報をチェックすることが重要です。ファイルコインを始め、仮想通貨(暗号資産)に関するアンテナを張っておきましょう。

ファイルコインの買い方

仮想通貨(暗号資産)の買い方と書かれた背景とノートパソコンのイラスト

日本国内でファイルコインを取り扱っている取引所はまだまだ少ないのが現状です。唯一取り扱っているのが「GMOコイン」で、送金手数料無料や最小取引単位が小さいことで有名です。

まだ仮想通貨(暗号資産)の取引きをしたことがない方や、取引口座をもっていない方は、仮想通貨(暗号資産)取引きについて不安を感じている方が多いかと思います。

初めての方でも分かりやすいように、「暗号資産学習の基礎編」を網羅した内容の記事を下に載せておきます。仮想通貨(暗号資産)取引きに不安がある方などはぜひご覧下さい。

「【初心者必見】仮想通貨(暗号資産)の始め方を分かりやすく徹底解説」

まとめ

テーブルに置かれたキーボードとコップ

ファイルコインは2014年、「人類にとって最も重要な情報を保存する」をスローガンにプロジェクトが開始されました。現在ではIPFSを基軸として、世界中の眠っている未活用の空きストレージを統合し、活用することでファイルコインの流通は広がり続けています。

ファイルコインに限らず仮想通貨(暗号資産)は世界的な流通の拡大や価格の上昇が今後期待されており、ビットコインも2024年に入ってから過去最高価格の更新が続いています。そのため仮想通貨(暗号資産)を保有する人も徐々に増加しているのが現状です。

そのなかで近年、仮想通貨(暗号資産)を貸し出すことで利益を得られる「レイディング」という画期的なサービスが広がりをみせています。このレイディングが登場したことで、仮想通貨(暗号資産)でも資産運用がおこなえるようになりました。この画期的サービスをわかりやすく説明している記事を最後にご紹介します。あわせてご覧ください。

仮想通貨(暗号資産)レンディングとは? メリット・デメリットを解説