仮想通貨レンディング(貸仮想通貨サービス)にかかる税金と確定申告 基本から要注意ポイントまでを解説
2025.02.21
仮想通貨レンディング(貸仮想通貨サービス)の仕組み
自分が保有している暗号資産(仮想通貨)をBitLendingなどの専門事業者や取引所に貸し出して、その期間に応じて報酬を得る仕組みのことを「レンディング」と言います。
レンディングの報酬は、貸し出した暗号資産(仮想通貨)の数量に対し、取引所・レンディングサービスが設定した利率で付与されていきます。
市場の価格に左右されず、ただ貸し出すだけで安定的に数量を増やすことができる暗号資産(仮想通貨)の運用手段として、長期目線での投資を考える方には相性が良いでしょう。
詳しくはこちらの記事で解説していますので、併せて読んでみてください。
ステーキングと何が違う?レンディングのメリットとデメリット
保有している暗号資産(仮想通貨)を取引以外で運用する方法として、レンディングの他にも「ステーキング」が類似として挙げられることがあります。
しかし、ステーキングできる暗号資産(仮想通貨)は限られており、コンセンサスアルゴリズムに「プルーフ・オブ・ステーク(PoS:Proof of Stake)」または同様の仕組みを有するものでしか利用できません。
対してレンディングは取引所やサービスが対象としたものであれば、どの暗号資産(仮想通貨)でも利用可能です。
このように暗号資産(仮想通貨)自体の仕組みか、取引所やサービスが提供する仕組みで報酬が得られるかどうかがステーキングとレンディングの主な違いであると言えるでしょう。
そして、レンディングのメリット・デメリットとしては次のようなものが挙げられます。
メリット | デメリット |
---|---|
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BitLendingでは最低貸出期間の30日を超過後であれば、返還請求がされたタイミングで「今月末日(請求を行った月末から7営業日で返還)か即時(請求を行った日から7営業日で返還)」を選択し、レンディングしていた仮想通貨をお返しするシステムとなっていますが、サービスによっては最初に1年間などの期間を定め、その間は一切動かすことができないようになっていることもあります。
取引所やレンディングサービスによっては少ないデメリットで利用することもできますので、利用する際には利率だけではなく、使いやすさについてもチェックすることをおすすめします。

レンディングで得た報酬にも税金がかかる?
暗号資産(仮想通貨)の売買で利益が出たら、その分が所得になりますが、レンディングで受け取った報酬も所得の一部となり、課税対象となります。
では、レンディングに関する税金で注意しておきたいポイントとして、いくつか解説していきます。
受け取った段階で所得として計算しなければいけない
レンディングの報酬は受け取ったときが所得として計算しなければならないタイミングになります。
その後レンディング報酬を売却した際は、受取時から売却時までの値上がり分をさらに所得として加えることになります。
例えば、ビットコイン(BTC)の価格が1,000万円のときに0.01BTCのレンディング報酬を受け取ったとすると、1,000万×0.01=10万円が受取時の所得となります。また、この10万円は0.01BTCの取得価額(原価)となります。
そして、ビットコインが1,500万円まで値上がりした後に先ほどのレンディング報酬である0.01BTCをすべて売却したとすると、(1500万×0.01) ー 10万 = 5万円が売却による所得となります。
雑所得として計算すること
基本的に暗号資産(仮想通貨)取引で生じた所得は「雑所得」にみなされますが、レンディングによる報酬も同様に雑所得に該当します。
雑所得の特徴としては、次の3つがあります。
- 総合累進課税
- 他所得との損益通算禁止
- 損失の繰越控除禁止
まず「総合累進課税」について、税率は暗号資産(仮想通貨)取引による雑所得だけではなく、給与所得など他所得との総額で決まります。
所得金額と税率の関係については、下表を参考にしてください。
所得税の早算表課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円から1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円から3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円から6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円から8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円から17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円から39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 | 40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
引用:国税庁「所得税の税率」よりhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
そして、FXや株など雑所得に該当しない所得とは損益通算することができず、たとえ他の所得で損失が出ていたとしても、相殺することはできません。
最後に、暗号資産(仮想通貨)による所得(雑所得)は赤字を翌年に繰り越すことはできないため、前年に赤字であった場合でも、翌年にレンディング報酬を受け取って黒字となった場合、そのレンディング報酬は全額が所得として扱われます。
ただ、レンディングで貸し出しているうちに値下がりして含み損を抱えてしまったとして、報酬を受け取った後に報酬分と同額程度の含み損を確定させると、赤字と黒字が相殺されて所得をゼロに近づけて課税対象額を減らすこともできます。
このような節税に関するテクニックもありますので、レンディング報酬を受け取った際には活用していきましょう。
取引で得た損益と通算して所得計算する
先に述べた通り、暗号資産(仮想通貨)の所得は他の所得とは損益通算できませんが、同じ総合課税の雑所得に該当するものは通算して計算する必要があります。
例えば、暗号資産(仮想通貨)取引で10万円の実現損失があり、レンディングで15万円分の報酬を受け取った場合は、5万円の所得があるということになります。
その他にも雑所得に該当するものがあれば、それも合算して計算するようにしてください。
貸した暗号資産(仮想通貨)が返ってこない場合の注意点
もし国内外のレンディングサービスを使っていたとして、サービスが突然終了し、貸し出した暗号資産(仮想通貨)が返ってこないという状況になった場合、要件を満たすことで損失を経費にできる可能性があります。
条件としては次の2つがあります。
- 法律上の貸倒:会社が倒産した場合等、法的に貸し付けていた債権の切り捨てが決定した場合や、債務者の債務超過の状態が相当期間帰属し、弁済を受けることができないと認められる場合において、債務者に対し債務免除額を書面により通知した場合、またはそれに準ずる場合
- 事実上の貸倒:債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合
万が一このような状況になってしまった場合は、税理士など専門家に相談しつつ、適切に対応してください。

レンディングの所得を確定申告する際のポイント
確定申告の際は以下のポイントを確認しておきましょう。
- 報酬を取得するたびに利益を計算する必要がある
- 各種手数料は経費となる
- 取引所での売買など他の暗号資産(仮想通貨)取引と合算する必要がある
①レンディング報酬の所得を計算する
レンディングでは報酬を受け取った時点で所得金額を計算します。所得は「報酬受け取り時の仮想通貨の価格 × 受け取り数量」で計算することができます。1年間に12回報酬の受け取りがあった場合は12回分の計算が必要となる点に注意してください。
BitLendingでの受取日とレートを確認するには、取引履歴ファイルを用いると便利です。
取引履歴をダウンロードするには、まずマイページへログインします。
そして、サイドバーにある「取引履歴ファイル」のメニューを選択してください。

画面が切り替わったら、「開始年月」と「終了年月」を1月から12月分までに設定し、必要なフォーマットでダウンロードしてください。

取引履歴ファイルには取引日とそのときのレートが記載されています。
※BitLendingでは、2024年11月分まではレンディング報酬付与該当月の月末に付与処理をし、所得の計算に必要な取引履歴のファイルも付与処理日である月末日が記載されていましたが、2024年12月分からはレンディング報酬付与該当月の翌月1日に付与処理を行っているため、2024年12月分の賃借料は2025年度の所得になります。ユーザーの皆様で特別な処理は必要なく、取引履歴ファイルを元に計算すれば問題ありません。

貸借料の付与タイミングについて
②経費となる各種手数料を集計する
暗号資産(仮想通貨)取引に関係する費用であれば、確定申告時に経費として計上することができます。
例えば、送金した際の手数料や、BitLendingでは年5回目以降の返還請求時にネットワーク料が発生しますが、これらは経費としてみなされます。
他にも仮想通貨の知見を深めるために購入した書籍代や仮想通貨による所得を確定申告するために必要な計算ツール代なども経費にできる可能性があります。
ただし、経費に計上できる費用も所得と同じく、1月から12月までの期間で発生したものに限ります。
経費を計上することで所得を減らし、節税にもつながるため、忘れず手数料等もまとめておきましょう。
③1年間の総所得を計算する
個人の場合は1月から12月までの総所得が確定申告の対象になります。
レンディングの報酬に加え、他の仮想通貨取引の損益を合算し、各種手数料などの必要経費を差し引いて、最終的な雑所得を計算します。
確定申告の具体的な手順については以下の記事をご確認ください。
法人の場合は期末までの実現損益に加え、含み益の時価評価にも課税されます。
令和6年に行われた税制改正で、条件によっては課税対象外にすることも可能ではありますが、ただレンディングしている状態では条件を満たすことはできないため、注意してください。
参考:暗号資産の評価方法の見直し等|https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/kaisei_gaiyo2024/pdf/L.pdf

レンディングの税金・確定申告に関するよくある質問・FAQ
最後に、レンディングの税金・確定申告に関してよくある質問をいくつかピックアップして紹介します。
レンディングで返ってきた暗号資産(仮想通貨)は戻ってきた時点で所得計算が必要ですか?
レンディングで返ってきた暗号資産(仮想通貨)は損益が確定していないため、所得として計算する必要はありません。
ただし、法人の場合は保有している暗号資産(仮想通貨)を期末に時価評価しなければいけないため、レンディングで返ってきた仮想通貨に限らず、貸し出し中の暗号資産(仮想通貨)も含め、保有しているすべてが課税対象になります。
報酬受け取り後に値下がりした場合、年内に売却してしまった方が良いですか?
値下がりした報酬を売却するかどうかの判断は、その年の所得額によります。
例えば、1BTC=1,000万円のときにレンディング報酬として0.01BTCを受け取り、その後1BTC=990万円まで値下がりしたという状況で考えてみましょう。
売却しない場合、受取時の金額がそのまま所得となるので「1,000万×0.01=10万円」の所得が発生したことになります。
その翌年に値下がりした状態で売却したとすると、翌年は「990万円-1000万円=10万円の損失」を抱えることとなり、損失は繰り越すことができないため、この10万円分の損失を相殺しなければいけなくなります。
もし年内に売却していれば最終的な所得は「所得10万円-損失10万円=0万円」となり、翌年は何もない状態でスタートできます。 課税対象となる所得も減るため、年内の税金対策にもなります。
もし翌年も利益が出ることが見込まれ、含み損を持ち越した方が次の年の税金対策もできるというのであれば、売却しないでおくのもひとつの手段です。
しかし、今年の利益が大きく、少しでも税金を減らしたいと考えるのであれば、値下がりしたレンディング報酬は年内に売却した方が良いでしょう。
レンディングしている暗号資産(仮想通貨)は預金保険の対象内ですか?
現行の制度ではレンディングは預金保険制度の対象外とされています。先に述べた通り、レンディングサービスが破綻して貸し出した暗号資産(仮想通貨)が返ってこないという状況になった場合は、損失を経費として計上するほかありませんので、注意してください。
まとめ
暗号資産(仮想通貨)のレンディングは通常の取引よりも価格変動リスクを負いづらく、貸し出すだけであるため、ただ保有するよりもメリットが多い運用方法として初心者向けとなっています。
しかし、税金の面においては売却したときではなく、報酬を受け取ったときに課税されるという点には注意が必要です。
また、毎月付与されるために取引件数も多くなり、計算が複雑になりやすくなっています。
BitLendingでは取引履歴ファイルで取引日やそのときのレートを一覧で見ることができるほか、対応している計算ツールで読み込めば、まとめて一気に損益を計算することが可能です。
暗号資産(仮想通貨)の確定申告は準備に時間がかかりがちでもあるので、なるべく早めに進めることをおすすめします。

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本ページで説明したように、レンディングでは報酬を受け取る度にその日のレートを調べて利益の計算を行う必要がありますが、Gtaxでは取引履歴をアップロードするだけで確定申告の際に必要な利益額を自動で計算します。
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