仮想通貨といえば「ビットコイン(BTC)」がよく知られていますが、実はそのビットコインから分岐して誕生した通貨があることをご存じでしょうか?それが「ビットコインキャッシュ(BCH/BCC)」です。
ビットコインキャッシュ(BCH/BCC)は、ビットコインの抱える“送金遅延”や“手数料高騰”といった課題を解決すべく、2017年8月にハードフォークによって誕生した仮想通貨です。従来の1MBブロックに対し、BCHは初期8MB、現在は最大32MBまで拡張されており、より多くの取引を迅速に処理できるようになっています。
本記事では、ビットコインキャッシュの誕生背景やビットコインとの技術的・思想的な違い、主要なフォークの歴史、そして投資対象としての将来性まで、初心者にもわかりやすく丁寧に解説します。 さらに、現在の市場状況や注目されている最新トピックにも触れながら、リアルタイムチャートの確認方法、テクニカル分析(RSI・MACDなど)の基本活用、実際の使い方や対応店舗情報も盛り込んでいます。
ビットコインキャッシュ(BCH/BCC)がなぜ生まれ、今どのような立ち位置にあるのか──そして今後どこへ向かうのか。その全体像を、この記事で把握してみましょう。
ビットコインキャッシュ(BCH/BCC)の今と最新トピック
イーサリアム超えの計算性能を目指す
2025年5月、ビットコインキャッシュはメジャーアップグレードを完了し、スマートコントラクトの処理能力を大幅に向上させました。このアップグレードにより、スマートコントラクトの実行効率が100倍以上に向上し、ノードの計算使用率は約50%削減される見込みです。さらに高精度な算術演算機能が追加され、より複雑な処理や大規模な数値演算が可能となりました。これにより、ビットコインキャッシュはイーサリアムを上回る計算性能を目指しています。
決済利用の拡大と実用性
ビットコインキャッシュは決済手段としての利用も広がりつつあります。送金手数料が低く、決済速度が速いという特徴により、リアルタイム性やコスト面で法定通貨を上回るメリットが評価され、国内外の実店舗やオンラインで約4,300店舗でBCH決済が導入されており、今後さらなる普及が期待されています。特にインフレが深刻な国や新興国では、法定通貨よりも送金速度が速く手数料も低いため、実用的な通貨としての価値が再評価されています。
参照元:NOWPayments|https://nowpayments.io/blog/companies-that-accept-bitcoin-cash
0-conf技術による利便性向上
ビットコインキャッシュは、ブロックの承認を待たずに取引が即時反映される「0-conf(ゼロコンファメーション)」技術を採用しています。これにより、少額の決済においてリアルタイムでの取引完了が可能となり、店舗など即時性が求められる場面での利便性が大きく向上しています。
CashTokensとスマートコントラクト機能
2023年5月に実施されたCashTokensアップグレードにより、ビットコインキャッシュ上でユーザー独自のトークン(NFTやステーブルコインなど)の発行が可能になりました。これにより、金融アクセスの拡大や多者間トランザクション、トークン化資産の利用といった新たなユースケースが実現しつつあります。
smartBCHの開発動向
smartBCHは、イーサリアムと互換性のあるスマートコントラクトをBCH上で利用可能にするプロジェクトで、DeFiやNFTアプリケーションの展開を後押ししています。NFT市場への参入も進み、デジタルアートやコレクティブルの取引が行われる専用プラットフォームも登場しています。
ここまでで、ビットコインキャッシュの最新動向や技術的進展について見てきました。続いては、ビットコインキャッシュの基本的な仕組みや特徴について、初めての方にもわかりやすく解説していきます。
ビットコインキャッシュ(BCH/BCC)とは?
ビットコインキャッシュ(BCH/BCC)は、2017年8月1日にビットコイン(BTC)からハードフォークによって誕生した仮想通貨です。主な目的は、スケーラビリティ(取引処理能力)の課題を解決し、より実用的な通貨として普及させることにあります。
BCHでは、従来1 MBだったビットコインのブロックサイズを初期8 MB(後に32 MB)に拡大し、大量のトランザクションを高速かつ低コストで処理できる設計になっています。
開発陣は「仮想通貨は実生活での決済手段としてこそ価値がある」という理念を重視。これに基づき低手数料・高速送金を強みとし、BCHを導入するECサイトや実店舗も国内外で少しずつ増えています。
こうした特徴を備えるBCHは、「日常の支払いに適した仮想通貨」として、ビットコインとは異なる独自のポジションを築いています。
誕生の背景と目的
ビットコインキャッシュ(BCH/BCC)は、ビットコイン(BTC)の普及拡大に伴って浮上した技術的課題、特にスケーラビリティ問題の解決を目的として誕生しました。スケーラビリティ問題とは、ブロックサイズが小さいため多くの取引を処理できず、送金遅延や手数料の高騰につながる現象です。
2016年〜2017年にかけてビットコインの利用者が急増し、送金に数時間~数日を要する状況も発生。日常決済には不向きな状態となりました。
これに対し、コミュニティ内では2つの派閥に分かれて対立が深まりました。
- 「SegWit(セグウィット)」を使ってデータ構造を効率化し、ブロックサイズを変えない設計を支持するグループ
- 「ブロックサイズを拡大して処理能力を上げるべき」と主張する大容量ブロック派
つまり、BCHは「ビットコインの理念=日常決済可能な通貨」としての方向性を保持するための思想的なフォークとも位置付けられるのです。

ビットコインとの違い
ビットコインキャッシュ(BCH/BCC)はビットコイン(BTC)と技術的に多くの共通点がありますが、重要な点で大きく異なります。その要となるのが、ブロックサイズの違いです。
Bitcoinは1 MBに制限されており、2017年にはSegWit(Segregated Witness)という仕組みを導入して、取引データの効率的な扱いを模索しましたが、処理速度には限界が残りました。一方でBCHは、分岐時に8 MB、さらに2018年には最大32 MBへとブロックサイズを拡張し、より多くのトランザクションを格納可能にしました。
この設計により、BCHはBTCに比べて高速な送金と低い手数料を実現し、日常決済に適した「電子マネー」の側面が強調されています。BTCが「デジタルゴールド」として価値保存を重視するのに対し、BCHは「使える通貨」に重きを置いています。
また、開発志向にも違いが見られます。BTCは合意形成を重視する保守的なアプローチでライトニングネットワークなどオフチェーン技術に注力。一方BCHは、オンチェーンの拡張やスマートコントラクト(CashScript)導入などを積極推進し、独自路線を進んでいます。
このように、BCHは単なる「スケーラビリティ対応版BTC」ではなく、「取引手段として機能する仮想通貨」という位置づけで、BTCとは明確に異なる方向性を持っています。
観点 | BTC(ビットコイン) | BCH(ビットコインキャッシュ) |
---|---|---|
基本姿勢 | 保守的・合意形成重視 | 積極的な機能拡張 |
開発方針 | 安定性・セキュリティ重視 | 実用性・拡張性重視 |
スケーラビリティ対応 | オフチェーン(例:ライトニングネットワーク) | オンチェーン(ブロックサイズ拡大など) |
スマートコントラクト | 導入予定なし(制限的) | CashScript による導入 |
目的・位置づけ | デジタルゴールド(価値保存) | 決済手段(日常利用) |
特徴的な技術 | ライトニングネットワーク | Larger Block Size, CashScript |
フォークの歴史と系譜
ビットコインキャッシュ(BCH/BCC)は、ビットコイン(BTC)コミュニティ内の技術的・思想的対立によるハードフォークを経て誕生しました。ハードフォークとは、従来の規則と互換性のない形でブロックチェーンが分岐することを指します。
2017年8月1日、スケーラビリティの議論が解決されないまま、BTCから分岐してBCHが誕生しました(当時のブロック高:478,559)。
その後、BCH内部でも技術方針を巡る分断が起こり、2018年11月15日に再フォークが発生。Paul Wright率いるnChain陣営は「ブロックサイズを128 MBに拡大すべき」と主張し、Bitcoin SV(BSV)が誕生しました。これと対立したRoger VerらはBCH(元の路線:32 MB維持)を支持しました。
現在に至るまで、このような系譜が形成されています:
- Bitcoin(BTC, 2009年)
- ↳ Bitcoin Cash(BCH, 2017年8月分岐)
- ↳ Bitcoin SV(BSV, 2018年11月分岐)
これら一連の分裂は、単なる技術論争ではなく、「仮想通貨が目指す理想」に関する異なるビジョンの対立としても捉えられます。

技術的特徴と可能性
ビットコインキャッシュ(BCH/BCC)はビットコイン(BTC)の基本設計を継承しつつ、実用通貨としての性能を強化しています。最も際立つ特徴はブロックサイズの拡張です。BCHは最大32 MBのブロックサイズを採用しており、大量のトランザクションを迅速に処理できます。
この設計により、BCHは1秒あたりの取引処理能力(TPS)を高め、送金のスピードと手数料の低さを実現しています(例:1 TPS → 最大200 TPS の目安)。この違いはBTCのライトニングネットワークのようなオフチェーン処理とは対照的です。
加えて、BCHはオンチェーンでのスケーリングを重視し、機能拡張にも積極的です。たとえば、スマートコントラクト言語「CashScript」や、簡易的な契約を可能にするOPコード拡張も導入されつつあります。
また、プライバシー強化技術である CashFusion により、複数のユーザー間で取引を混ぜ合わせることで匿名性を高められます。これはElectron Cashなどのウォレットでサポートされており、追跡困難な構造を実現しています。
このように、BCHは単なる「大きなブロックを持つビットコイン」ではなく、将来的にDeFiやDAppsへの応用を見据えた、多用途かつ実用的なブロックチェーン基盤としての可能性を秘めています。
メリットとデメリット
ビットコインキャッシュ(BCH/BCC)は送金・決済通貨としての強みを持つ一方、市場や技術面で課題もあります。以下にメリットとデメリットを整理しました。
メリット
- 送金が高速で手数料が安い
BCHはブロックサイズが大きく設計されているため、混雑しにくく、迅速な送金が可能です。手数料も数円~十数円程度と、少額決済にも適しています。 - スケーラビリティが高い
オンチェーンでのスケーリングを採用し、取引量の増加に対応可能です。今後の普及拡大にも耐えうる技術的基盤が整っています。 - 決済向けに特化している
BCHを導入する店舗・オンラインサービスが増加しており、実際に「使える仮想通貨」としての実績を持っています。
デメリット
- BTCほどのブランド力や流動性がない
市場規模・ユーザー数ともにBTCと比べると差があり、大口投資家や金融機関からの注目度は低めです。 - フォークリスクがつきまとう
2018年にはBSVとの分裂を経験しており、今後も開発方針をめぐる対立で新たなフォークが発生する可能性があります。 - 競合コインとの機能競争が激しい
スマートコントラクトやDeFi領域では、イーサリアムやソラナなどが先行しており、BCHが相対的に魅力を保持し続けることは容易ではありません。
どんな人に向いているか?
ビットコインキャッシュ(BCH/BCC)は、その技術仕様と思想的背景から、万人向けではなく、特定のニーズを持つユーザー向けの仮想通貨といえます。以下に、BCHが向いている人・向いていない人を整理して解説します。
BCHが向いている人
- 日常的な送金や決済を重視する人
手数料が安く、送金スピードが速いため、日常の小額決済や友人間の送金を頻繁に行う人に適しています。 - シンプルな仮想通貨体験を求める初心者
オンチェーン処理で完結する仕組みのため、ライトニングネットワークなどの複雑な技術を使わずに済み、初心者でも扱いやすいという利点があります。 - 個人事業主やフリーランスなど、支払いインフラを簡易に導入したい人
グローバルに決済が可能なウォレットさえあれば、BCHは導入が比較的容易な選択肢です。
BCHが向いていない人
- 価格安定性やブランド信頼性を重視する人
BTCに比べて時価総額や認知度が低く、価格変動が大きいため、資産保全や長期投資目的には慎重さが求められます。 - 最新のDeFiやNFTなどを中心としたWeb3体験を求める人
イーサリアムやソラナと比較して、BCHのエコシステムはまだ発展途上であり、最先端のWeb3サービスを求めるには選択肢が限られています。
以上から、BCHは「実用的に使える通貨」を求めるユーザーに適しており、投資対象としては目的に応じた向き・不向きの見極めが重要
ビットコインキャッシュ(BCH/BCC)の現在価格・リアルタイムチャート
こちらは、ビットコインキャッシュ(BCH/BCC)の現在の値動きです。
ビットコインキャッシュ(BCH/BCC)のリアルタイムテクニカル分析
ビットコインキャッシュ(BCH/BCC)のチャートにおける20種以上のテクニカル分析手法が示すシグナル[売り・中立・買い]をリアルタイムで集計してマーケットのトレンドを示しています。
購入方法と使い方
ビットコインキャッシュ(BCH/BCC)は国内外の多くの仮想通貨取引所で取り扱われており、比較的簡単に購入できます。以下の手順を参考にしてください。
1. 国内取引所の口座を開設する
- Coincheck:初心者向けUIとアプリが充実。口座開設~BCH購入まで3ステップで完結でき、購入最小額は約500円から。
- GMOコイン:スプレッドが狭く、送金手数料無料で手軽に取引可能。
- bitFlyer:セキュリティ対策が強固で、安心して取引できる環境が整っています。
2. 日本円を入金し、BCHを購入する
銀行振込やコンビニ/クイック入金を利用し、日本円を取引所に入金。購入時は「販売所方式」と「取引所方式」があり、取引所方式(板取引)のほうが手数料を抑えられるため初心者にもおススメです。
3. ウォレットにBCHを送金して管理する
- Electron Cash:BCH専用の軽量デスクトップウォレット。SPVサーバーを利用し、高速かつ安全に送金を管理できます。秘密鍵は暗号化され、バックアップフレーズからの復元にも対応しています。
- BitPay/SafePal・Trust Wallet:スマホ対応のマルチウォレットで、決済や他通貨との管理に便利です。
4. 実際に使ってみる
BCHを使って、国内外の店舗での決済、友人への送金、またはウォレット間の自己送金などを体験してみましょう。少額から試し、送金のスピードや手数料の低さを実感するのがおすすめです。
実際に使える場所・事例
ビットコインキャッシュ(BCH/BCC)は単なる投資対象ではなく、実際に使える仮想通貨としての側面も強くアピールされています。ここでは、日本国内および海外での利用事例を紹介します。
国内の対応例
- BitPay経由で対応する飲食店・小売店
東京都内や大阪を中心に、カフェやバー、美容院などの店舗でBCH決済ができます。公式の店舗検索マップから確認できます。 - イベント・コミュニティでの利用
国内のブロックチェーン関連イベントや技術系ミートアップなどで、参加費やチップにBCHが使われるケースも報告されています。
海外の対応例
- Travala.com(トラバラ)
世界中のホテル・航空券予約にBCHを含む仮想通貨決済が可能です。 - Newegg・NamecheapなどのECサイト
パソコンパーツやドメイン取得の際にBCHが使えるオンラインストアもあります。
使える場所を調べるには?
- Bitcoin.comの地図サービス
世界中のBCH対応店舗が地図上に表示され、旅行先での決済確認に役立ちます。 - AcceptBitcoinCash.org
業種・地域別に利用可能な店舗が一覧化されており、ビジネス導入の参考にもなります。
こうした実例から、BCHは“投機”ではなく“実用途”に根ざした仮想通貨として、着実に導入実績を積み重ねています。
価格動向と今後の見通し
ビットコインキャッシュ(BCH/BCC)は、2017年の誕生以来、市場の大きな波を乗り越えてきました。以下のような価格推移をたどっています。
- 誕生直後(2017年8月):約240~300 USDで取引開始(BTC対比・価格差あり)。
- 2017年末:仮想通貨バブルに伴い最高で4,355 USD超へ急騰。
- 2018年(BSV分裂):88%下落し、約519 USD付近まで価格が下落。
- 2021年春:BTC高騰に連動し12万円超(約1,000 USD超)まで回復。
- 2022〜2023年:市場全体の下落トレンドにより2〜5万円台(約200~400 USD)を推移。
- 2025年初〜中旬:最低268 USD、最高482 USDで推移し、年平均371 USD前後となっています。
価格に影響を与える要因
- 仮想通貨全体の市場動向(特にBTCとの連動性)
- ブロックサイズやCashFusionなどの技術アップデート
- 取引所での取り扱いや規制環境の変化
- BCH決済導入事例の増加および実利用
今後の見通し
短期的には市場のボラティリティ(現在〜499 USDのレンジ内で振れやすい)に左右されやすいですが、中長期では「実用通貨として使えるかどうか」に注目が集まります。2025年末までには最低約332 USD、高値では約510 USD程度まで上昇する可能性も指摘されており、年後半の350〜500 USDレンジが予想されています。