【2024最新版】仮想通貨(暗号資産)にかかる税金とは? 確定申告の方法も解説
2024.11.01
仮想通貨(暗号資産)投資で利益を出したら、場合によっては確定申告が必要です。仮想通貨(暗号資産)投資に関わる確定申告は複雑な部分もあるため、しっかり理解できている方は少ないのではないでしょうか。
仮想通貨(暗号資産)投資の確定申告の概要を理解していないと、必要以上に税金を支払ったり、ペナルティが課されたりと、大きく損をしてしまう可能性が高くなるでしょう。
そこで本記事では、仮想通貨(暗号資産)取引に関わる税金の概要に加えて、所得が発生するタイミングや計算方法を解説します。記事後半では確定申告の流れやよくある質問など、より実践的な内容にも触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
仮想通貨(暗号資産)にかかる税金とは
所得税は以下の10種類に分類されます。
分類 | 特徴 |
---|---|
利子所得 | 預貯金や債券の利子、投資信託の収益の分配など |
配当所得 | 株主や出資者が得る配当や投資信託の収益の分配など |
不動産所得 | 土地や建物などの不動産の貸付により得られる収益 |
事業所得 | 不動産や山林以外の事業から得られる収益 |
給与所得 | 勤務先から受ける給与や賞与など |
退職所得 | 退職に伴い勤務先から得る所得 |
山林所得 | 所有している山林の譲渡で得られる所得 |
譲渡所得 | ゴルフ会員権や土地、建物の譲渡で得られる所得 |
一時所得 | 謝礼金や保険金など臨時で得た所得 |
雑所得 | 上記に該当しない所得。公的年金や副業収入など |
仮想通貨(暗号資産)取引で得た所得は、雑所得に分類されます。雑所得の特徴は、以下のとおりです。
- 損益通算ができない
- 繰越控除ができない
- 累進課税制度が適用される
雑所得は他の所得の金額との損益通算ができません。損益通算とは、同一年度の利益と損失を相殺することです。うまく利用できれば、課税所得を減らせるため節税につながりますが、先述のとおり仮想通貨(暗号資産)で得た利益は雑所得に分類されるため対象とされていません。雑所得同士・仮想通貨(暗号資産)取引同士の損益通算なら認められているので、確定申告の際に確認しましょう。
繰越控除ができない点も、雑所得の特徴です。繰越控除とは、損益通算をしても赤字が出る場合に、最大3年に渡って赤字を繰り越せる仕組みです。取引の赤字は繰り越せない分、上場株式取引よりも税金が高くなる可能性がある点には注意しましょう。
また、雑所得には累進課税制度が適用されています。所得額に応じた税率と控除額は、以下の表のとおりです。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
これらに加えて住民税も加算されるので、最大税率は55%と高額になる可能性があります。節税するには、後述する方法を試してみてください。
仮想通貨(暗号資産)に税金がかかるパターン
確定申告が必要になるケースは、以下のパターンに大別できます。
- 給与所得が年間2,000万円を超える人
- 給与以外の所得金額が合計20万円を超える人
- 給与所得を2箇所以上から受けてかつ、各種所得金額の合計が20万円を超える
会社員の方で、副業として仮想通貨(暗号資産)投資に取り組んでいる方は、上記のケースの2に該当します。自身の取引記録を見て、利益が20万円を超えていないかを確認しておきましょう。
確定申告の概要については、後述します。
仮想通貨(暗号資産)取引で課税対象の所得が発生するタイミング
仮想通貨(暗号資産)取引で課税対象の所得が発生するタイミングは、主に以下の4つです。
- 仮想通貨(暗号資産)を売却したとき
- 仮想通貨(暗号資産)で何か商品を購入したとき
- 他の仮想通貨(暗号資産)に交換したとき
- マイニングなどで仮想通貨(暗号資産)を得たとき
仮想通貨(暗号資産)取引において、正確に確定申告をするには、どのタイミングで所得を得たとみなされるのかを把握することが重要です。各取引の所得の計算方法を見ていきましょう。
仮想通貨(暗号資産)を売却したとき
保有する仮想通貨(暗号資産)の売却は、課税対象となる取引です。計算方法はシンプルで、譲渡価額から譲渡原価を差し引いて所得金額が算出されます。
例えば、1ビットコイン(以下BTC)=100万円で購入し、150万円に上がったタイミングで売却したとします。この場合、150万円-100万円=50万円より、所得金額は50万円です。
その他、必要経費があれば譲渡価額から差し引いて所得を計算します。
なお、譲渡原価は総平均法または移動平均法で算出します。詳しくは後述します。
仮想通貨(暗号資産)で何か商品を購入したとき
仮想通貨(暗号資産)で何か商品を購入したときも、所得が発生する可能性があります。
1BTC=150万円分で購入し、50万円の商品を購入するのに0.3BTCを支払うケースを考えてみましょう。この場合、以下の計算式で所得が算出されます。
50万円−(150万円×0.3)=5万円
保有している仮想通貨(暗号資産)で何かしらの商品やサービスを購入した場合、いったん譲渡したとみなされるので、十分注意しましょう。
他の仮想通貨(暗号資産)に交換したとき
仮想通貨(暗号資産)を他の仮想通貨(暗号資産)に交換したときは、仮想通貨(暗号資産)Aで仮想通貨(暗号資産)Bを購入したと捉えられます。「仮想通貨(暗号資産)で何か商品を購入したとき」と同様に、取引に伴い所得が発生します。以下の条件で、所得がいくらになるのか見ていきましょう。
1BTC=100万円のときに、3BTCを購入
その後、5イーサリアム(以下ETH)を購入するのに1BTCを支払った
なお、1ETH=30万円だとする
BTCとETHを交換する上記の取引は、BTCでETHという商品を購入していることになります。ETHの購入額は、30万円×5=150万円です。売却額は100万円なので、所得金額は150万円-100万円=50万円となります。
マイニングなどで仮想通貨(暗号資産)を得たとき
マイニングで得た仮想通貨(暗号資産)は、課税対象となります。
マイニングとは、ブロックチェーン上で行われる仮想通貨(暗号資産)の取引内容を確認・承認する作業です。仮想通貨(暗号資産)取引の正確性や透明性を保つために欠かせない作業なので、報酬が支払われます。2024年1月時点で、BTCのマイニング報酬は6.25BTC(約4,000万円)です。ビットコインは2024年3月頃に半減期を迎える予定ですので、半減期以降は3.125BTC(約2,000万円)となります。(※)
マイニングで利益を得るには、専用のマシンや莫大な電気量が必要になります。あまり一般的な利益の上げ方ではありませんが、知識として知っておいて損はないでしょう。
その他、レンディングやステーキングで利益を得た際も、所得が発生したとみなされます。こちらは各取引所などで提供されているサービスなので、年間20万円以上の利益が出たら確定申告する必要があります。
(※)1BTC=650万円で計算仮想通貨(暗号資産)にかかる税金の計算方法
仮想通貨(暗号資産)にかかる税金は、収入-経費=利益で算出されます。経費となる取得価額の計算方法には、総平均法と移動平均法の2種類があります。
総平均法は、年度内の仮想通貨(暗号資産)購入額を購入数量で割って取得価額を算出する方法です。一方の移動平均法は、仮想通貨(暗号資産)を取得するたびに取得価額を計算します。取引の仕方によっては、総平均法と移動平均法で所得金額が異なります。
購入と売却をそれぞれ1回ずつ行うケースと、売却するまでに複数回購入するケースに分けて見ていきましょう。
まずは、購入と売却をそれぞれ1回ずつ行うケースの具体例を紹介します。
- 300万円で3BTC購入
- 1BTC=150万円になったタイミングで1BTCを売却
1BTCを購入するのにかかった費用は300万円÷3=100万円です。所得金額は150万円-100万円=50万円となります。購入と売却がともに1回のケースでは、総平均法と移動平均法で所得金額は変わりません。
続いて、売却するまでに複数回購入するケースを見ていきましょう。
- 150万円で1BTC購入
- 200万円で1BTC購入
- 300万円で1BTC売却
- 250万円で1BTC購入
総平均法では、合計金額の600万円を購入枚数の3枚で割った、200万円を1枚あたりの単価とみなします。したがって所得金額は、300万円-200万円=100万円です。
移動平均法では、2の取引が終わった時点で一度平均を計算します。単価は350万円÷2=175万円です。その後売却しているので、所得金額は300万円-175万円=125万円となります。
上記のケースでは、総平均法のほうが所得金額が少なく計算されますが、将来的にはどちらを計算に用いても一致します。
仮想通貨(暗号資産)で利益を得たら確定申告が必要
先述のとおり仮想通貨(暗号資産)で年間20万円以上の利益を得たら、確定申告が必要です。確定申告とは、1月1日から12月31日までの所得を算出し、納税額を計算して税務署に申告する一連の手続きです。
仮想通貨(暗号資産)取引の場合は、移動平均法と総平均法のどちらの計算方法を利用するのかも併せて申告する必要があります。
会社員の場合は会社が給与から所得税を天引きし、納税しているので、あまり馴染みがないかもしれません。初めての場合は難しく感じるかもしれませんが、流れを押さえておくと取り組みやすくなります。次章で、仮想通貨(暗号資産)の確定申告のやり方を詳しく解説します。
確定申告のやり方
確定申告は、以下の流れに沿って進めましょう。
- 1.仮想通貨(暗号資産)の年間取引報告書をもらう
- 2.仮想通貨(暗号資産)の計算書をダウンロードする
- 3.仮想通貨(暗号資産)の計算書を作成する
- 4.確定申告書に記入する
- 5.納税する
各ステップの流れを詳しく解説します。
1. 仮想通貨(暗号資産)の年間取引報告書をもらう
まずは、仮想通貨(暗号資産)取引所から年間取引報告書をもらいましょう。年間取引報告書には、以下の内容が記されています。
- 年始・年末に保有していた数量
- 購入した数量
- 売却した数量
- 損益合計額
- 各種手数料
いずれも確定申告に必要な項目なので、失くさないように控えておきましょう。
2. 仮想通貨(暗号資産)の計算書をダウンロードする
続いては、国税庁のホームページから仮想通貨(暗号資産)の計算書をダウンロードします。移動平均法用と総平均法用に分かれているので、自身が選択したものに合わせてください。
なお1で、年間取引報告書をもらっている場合は、総平均法用を利用するように指定されています。
3. 仮想通貨(暗号資産)の計算書を作成する
ダウンロードした計算書に、以下の事項を記入します。
- 仮想通貨(暗号資産)名
- 年始数量
- 年中購入数量・金額
- 年中売却数量・金額
- 支払手数料
4. 確定申告書に記入する
3で作成した計算書を元に、確定書類を記入します。仮想通貨(暗号資産)に関わる利益は、雑所得の欄に記入します。
確定申告書類を作成したら、郵送または電子申告(e-Tax)にて所轄税務署に提出します。マイナンバーカードやICカードリーダーがあれば、電子申告がおすすめです。自宅に居ながら確定申告書類を提出できます。
5. 納税する
ここまで来たら、後は納税するだけです。納税方法は以下のように複数あるので、ご自身に合ったものを選択してください。
- 振替納税
- e-Tax
- クレジットカード
- QRコード決済
- 現金納付
仮想通貨(暗号資産)の確定申告でよくあるFAQ
仮想通貨(暗号資産)取引の確定申告の大まかな内容を理解できたら、細かい知識を身につけるために、よくある質問を見ていきましょう。
- 確定申告をしなかったらどうなる?
- 確定申告はいつまでにすれば良い?
いずれも、正しく確定申告するためには重要なものです。上記を理解していないと、ペナルティが課されるケースもあるため、詳しく解説します。
確定申告をしなかったらどうなる?
必要な確定申告を行わなければ、無申告加算税や延滞税などのペナルティが課されます。
無申告加算税は、納付すべき金額に対して50万円までは15%、50万円を超える部分には20%を乗じた金額となります。納税額が100万円の場合、無申告課税は以下のとおりです。
- 50万円までの分:50万円×15%=7.5万円
- 50万円から100万円の分:50万円×20%=10万円
- 無申告加算税の合計額:17.5万円
なお税務署の調査を受ける前に自主的に納税すると、それぞれ5%ずつ減額されます。
延滞税は、申告で確定した納税額を期限までに完納していないケースで課されるものです。以下の式で算出されます。
納付すべき金額×延滞税の割合×日数
法定納期限や時期によっても異なるので、詳しくは国税庁のホームページで確認してください。
「自分1人だけなら確定申告しなくてもばれないかもしれない」と思われるかもしれません。しかし税務署は、税務調査や支払調書を通して個人の所得を把握しています。確定申告をしないリスクは大変高いので、該当する方は確実に行うようにしましょう。
確定申告はいつまでにすれば良い?
確定申告の申告期限は、特別措置などがある場合を除き、原則2月16日〜3月15日です。
確定申告期限に間に合わない場合は、期限後申告として扱われます。このとき、無申告加算税が課されます。
無申告加算税は、以下のケースを全て満たすと免除されるため、どうしても確定申告の期限に間に合わない場合でも、なるべく早く申告するようにしましょう。
- 期限後申告が、法定申告期限から1カ月以内に自主的に行われていること
- 期限内に申告する意思があること
- 過去5年にペナルティが課されていないこと
- 納税は法定納期限に間に合っていること
節税するにはどうしたら良い?
節税するには経費をうまく活用する必要があります。先述したように、所得税額は収入から経費を引いて算出されるためです。
しかし、仮想通貨(暗号資産)投資に関連する出費を全て経費とするのは認められていません。全額が経費と認められるケース、部分的に認められるケース、経費としてはいけないケースを以下の表にまとめました。
全額認められるケース |
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部分的に認められるケース |
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経費に認められないケース |
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部分的に認められるケースでは家事按分が必要となります。どのくらい経費にしていいのか不安が残る場合は、税理士に相談しましょう。
その他の節税方法には、以下のようなものがあります。
- そもそも利確させない
- 損益通算で利益と損失を相殺する
- 所得控除を利用する
節税対策を駆使して、認められる範囲内で納税額を最適化しましょう。
まとめ
本記事では、仮想通貨(暗号資産)投資にかかる税金の概要を解説しました。
仮想通貨(暗号資産)の取引で得た利益は雑所得に分類されます。損益通算・繰越控除ができない点や、累進課税制度が適用されている点には十分注意しましょう。
所得を得たとされるタイミングは、以下のとおりでした。
- 仮想通貨(暗号資産)を売却したとき
- 仮想通貨(暗号資産)で何かの商品を購入したとき
- 他の仮想通貨(暗号資産)に交換したとき
- マイニングなどで仮想通貨(暗号資産)を得たとき
各取引でどの程度利益が発生するのか、日頃から管理していると、確定申告が比較的楽になるでしょう。
仮想通貨(暗号資産)の確定申告は少々複雑なため、初めての人は難しく感じるかもしれませんが、本記事で紹介した流れに従って進めてください。このとき、申告期限を過ぎたり認められる範囲を超えて経費計上したりすると、ペナルティが課されるケースがあります。正確に申告を行うためにも、正しい知識を身につけておきましょう。