アルトコインが主役に!ETH急騰とETF上場で始まる新局面
2025.08.13
1. 現在のイーサリアム市場概況 — 価格上昇の背景とトレンド
ビットコインの価格が史上最高値付近で高止まりするなか、主要アルトコインが注目を集めている。特にイーサリアム(ETH)は約8ヵ月ぶりに4,000ドル台を回復し、その勢いが鮮明となっている。
過去1ヵ月でイーサリアム価格は約50%上昇し、同期間のビットコインと比較して約90%ものアウトパフォームをみせた。エックスアールピー(XRP)などほかのアルトコインも2桁の上昇率を記録し、市場全体に“アルトシーズン”の兆しがみえている。
実際、ビットコインのマーケットドミナンス(暗号資産市場全体における時価総額の占有率)は直近で60%を下回り、資金がアルトコインへと移行している様子がうかがえる。
1.1 イーサリアム価格予想:2025年末〜中期の行方
一部のアナリストは、イーサリアムが2025年末までに4,700ドル〜5,000ドルのレンジへ到達すると予測している。スマートコントラクトやDeFi(分散型金融)、AI分野への応用が進み、実需に裏打ちされた成長が評価されていることが背景にある。
また、ETFの承認や機関投資家の参入によって、これまでにない長期資金が流入しており、中期的な上昇余地がさらに広がる可能性も高い。
1.2 機関投資家の流入動向 — ETF保有率の急増
イーサリアムの価格上昇を支えているのは、個人投資家よりもむしろ機関投資家による資金流入である。2024年夏、米国のビットマイン・イマージョン社が一気に約833,000ETHを購入し、世界最大級のイーサリアム保有企業となったことは市場に大きな衝撃を与えた。
このほかにも複数の企業が数十万ETHに及ぶイーサリアムを取得し、供給圧力を吸収している。保有目的も「ガチホ(長期保有)」にとどまらず、ステーキングやDeFi運用など、積極的な活用が図られており、イーサリアムの金融資産としての評価を高めている。

2. イーサリアムETFとは何か
2.1 ETFの仕組みと投資のメリット
ETF(上場投資信託)は、イーサリアムのような暗号資産を株式市場で証券として取引できる金融商品だ。イーサリアム現物ETFでは、実際にイーサリアムを保有することでその価値に連動し、株式と同様に売買が可能となる。
投資家にとっては、ウォレットの管理やセキュリティリスクを気にすることなくイーサリアムへアクセスできるため、より広範な層からの資金流入が期待される。
2.2 米国での承認状況と市場へのインパクト
SEC(米国証券取引委員会)は2024年5月に複数のイーサリアム現物ETFを承認し、2025年にはそれらが正式に上場された。これにより、年金ファンドや保険会社など保守的な機関投資家による資金参入が加速している。
実際、2025年7月までにイーサリアム現物ETFには50億ドル超の純資金が流入しており、同期間のビットコインETFを上回る勢いを見せた。
2.3 日本における承認見通しと課題
日本国内では、イーサリアム現物ETFは未承認の状況が続いている。日本証券取引所や金融庁の規制緩和が進めば、数年内に承認される可能性もあるが、現時点では慎重なスタンスを崩していない。
ただし、グローバルにおいて暗号資産ETFの承認が進むなかで、日本もその波に乗り政策転換が行われる可能性は十分にある。
3. 価格予想を支える主要因
3.1 イーサリアムの技術進化とDeFi/AIなどの実需領域拡大
イーサリアムは単なる投機資産ではなく、DeFiやNFT、AI連携プロジェクトなど、さまざまな実需領域の基盤インフラとして機能している。
このようなユースケースの広がりが、価格の下支えとなっており、今後の成長ポテンシャルを示している。
3.2 マクロ経済環境と規制の追い風
米国ではインフレ鈍化により利下げ観測が強まり、リスク資産への資金流入が進みやすい状況となっている。暗号資産もその恩恵を受け、特に成長性の高いアルトコインへの注目度が高まっている。
3.3 ボラティリティとリスク要因
一方で、イーサリアムを含むアルトコインは高いボラティリティを有しており、規制リスクや世界経済の動向次第で急落する可能性もある。特にSECの今後の動向や暗号資産ETFに課される可能性が考えられる追加規制には注意が必要だ。

4. 投資戦略の視点 — 機関投資家と個人投資家の動き
4.1 ETFを通じた機関参入の意味
現物ETFの登場により、これまで参入が難しかった保守的な機関投資家がイーサリアム市場へアクセスできるようになった。この変化は価格安定化にも寄与するとみられており、暗号資産の資産クラスとしての地位向上につながっている。
4.2 日本の個人投資家に向けた投資方法の検討
日本国内の投資家にとって、イーサリアムに投資をする際には取引所での現物購入が中心だが、今後国内で暗号資産ETFが承認されれば選択肢がさらに広がる可能性がある。それまでは、海外の暗号資産ETFを活用した投資や、ステーキングを含めた中長期の戦略が重要になる。
5. まとめと今後の展望
5.1 “アルトシーズン”ともいえる現状の意義
ビットコインからアルトコインへの資金シフトが進む現在、イーサリアムを中心とする成長資産が市場を牽引している。これは投機一辺倒だった過去の暗号資産市場とは異なり、あらたなフェーズへの移行を意味している。
5.2 今後注視すべきポイント
今後は暗号資産ETFの普及動向、マクロ経済の変化、規制環境、そして技術開発の進展がカギを握る。中長期の視点で市場を捉え、適切な情報収集とリスク管理を行うことが重要だ。

[Iolite記事]
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