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ナガトモヒロキ コラム|クリプト最前線 Crypto Frontiers

ナガトモヒロキ|クリプト最前線  
――Crypto Frontiers

30カ国以上の海外渡航で出会った海外富裕層との交流を深め、独自のネットワークを生かして世界を旅しながらリアルな視点でクリプトの今をリポートする。趣味は写真。トライアスリートとしても世界各国のIRONMAN RACEにチャレンジしている。

ヨーロッパの暗号資産課税

ヨーロッパの暗号資産課税

日本からイスタンブールを経由してほぼ24時間。ユーラシア大陸の最西端、ポルトガルのリスボンに降り立った。

街の至る所にヴァスコ・ダ・ガマの銅像が見受けられる。

まだ海には魔物がいると恐れられていた大航海時代にポルトガルとインドの航路を開拓。香辛料貿易で国に莫大な富をもたらしただけでなく、ヨーロッパの周辺諸国にも多大な影響をもたらした彼の功績は凄まじいものであった事が窺い知れる。

ポルトガルというと、フランシスコ・ザビエルが種子島に鉄砲をもたらしたくらいしかイメージがなく、直行便もない事から、行きたくてもハードルが高い国の一つとしてみられているのではないかと思う。

私は今年の8月に一度リスボンを訪れている。その時はパリから飛んだので4時間ほどだったが、今回の目的はポルトガルのみである。トランジット含めてほぼ24時間のフライトは結構堪える。

そんなポルトガルを表現するには「和洋折衷」という言葉が日本人にはしっくりくるだろう。

ヨーロッパらしさもありながらオリエンタルな雰囲気もある街である。

食文化も日本人の口に合う。

イワシやタコ、タラのグリルやアンコウのリゾットにチキンのロースト、エッグタルトにグリーンワインやポートワイン、さくらんぼのリキュールのジンジーニャなど、ご当地モノを挙げればキリがないが、ウーバータクシーなども安く物価の面でも日本人の財布には比較的優しい国である。

ポルトガル・リスボンを語る上で私がオススメする超絶素敵なレストランがあるのでここでひとつだけ紹介させて欲しい。

そのレストランの名前は「Pont Final」だ。

リスボンのフェリー乗り場から対岸へ10分、テージョ川を渡り、降りたらひたすら右へ歩く。倉庫街の廃墟の壁にストリートアートが500mほど続くのでわかりやすい。

廃墟の先に突如レストランが二軒現れる。手前のレストランの敷地内を申し訳なさげに通った奥が「Pont Final」だ。

テラス席から桟橋の先端にまでテーブルがセットされており、柵もないので一歩踏み外せば当たり前に川へ落ちる。日本では保健所が絶対に許さない海外特有のロケーションを生かしたユーニークな仕様だ。(ちなみに落ちた人はいないらしい)

サンフランシスコのゴールデン・ゲート・ブリッジを彷彿させる「4月25日橋」という長さ2277mの赤い吊橋を目の前に夕日が落ちる景色は圧巻だ。

残念ながらNetflixの人気グルメ番組「腹ペコフィルのグルメ旅」のリスボン編にピックアップされた事でさらに有名になってしまい、今や数ヶ月先まで予約が取れない超人気店になってしまった。

このお店で私が一番好きなメニューはエビのボイル。ただボイルしただけのエビが異次元の旨さなのだ。他の店でも同様のメニューを食べたが「Pont Final」のエビは格別だった。エビLoverの皆さんは事前予約の上、是非ご賞味あれ。

◆Pont Final

https://www.tripadvisor.com.br/Restaurant_Review-g1022768-d713330-Reviews-Ponto_Final-Almada_Setubal_District_Alentejo.html


さて、本題に移ろう。


cryptoassettax

暗号資産の課税は国によって異なり、日本のそれが諸外国に比べ優しくないのは周知の事実であるが、ヨーロッパの事情はどうだろうか。

Coincubというアイルランドのクリプトリサーチ企業がある。多方面からランキング付けをしている企業なのだが、税制面での直近のレポートを見るとTOP5の顔ぶれは、1位ドイツ、2位イタリア、3位スイス、4位シンガポール、5位スロベニアと発表されている。因みに日本は下から数えて5位だ。

◆Coincub annual crypto tax ranking 2022

1位がドイツとは意外に思った方も多いだろう。ドイツでは1年以上保有した暗号資産には売却時の課税がない。さらに今年5月、暗号資産の所得税の取り扱いでマイニングやステーキングやエアドロップも追加するガイドラインも発表している。このことから海外からの投資も集まっているらしい。

最下位のベルギーはキャピタルゲインに33%の課税と、事業者については最大50%の累進課税とのこと。上位国についてはキャピタルゲインの課税はなく、下位の国は累進課税という感じだろうか。

多くの日本人には海外の税制の話なんて興味のない話である。だが、クリプトに触れている我々にとっては全く関係のない話ではない。

数年前に億り人という言葉が流行ったが、当時は節税目的でシンガポールやドバイへの移住する人が増えた。現在でもそのチャンスを窺っている方は私の知る限り多数いる。情報として知っている分には何のデメリットもなく、寧ろ将来の選択肢が増えるものだろう。

これは偶然なのか必然なのか、今回私がポルトガルへ滞在した約1週間の間に知人も何人か滞在していた。その中にビットレンディングのお客様も数人いたことは内緒にしていて欲しい。

今回のコラムのテーマをポルトガルにした事には別の理由もある。

ポルトガルはEU圏内でも投資家ビザが比較的取得しやすいことで知られる。ポルトガルにはゴールデンビザというプログラムがある。条件は国内の不動産に50万ユーロ(約7,300万円)、または35万ユーロ(約5,100万円)以上の中古物件(指定地域の築年数30年以上)に投資することだ。もちろん所有している不動産は貸し出すことができる。

さらに長期居住ビザを取得し一定の条件を満たすと、永住権や市民権を得ることができる。その後に不動産の売却も可能だ。ビザを検討する上で必要滞在日数も重要なポイントになるが、年間平均7日で2年間を通じて14日間を満たせばOKであることもハードルを下げている。

ただし、注意する事がある。このゴールデンビザを取得したからといって他のEU圏内へ住んだり働いたりできる訳ではない。

EU圏内ではポルトガルの他にスペインやマルタ、ギリシャなどがゴールデンビザと呼ばれる投資ビザプログラム発行しているが、これはあくまで投資をした国での権利になり他のEU諸国には180日以内の期間中で90日を上限に自由な移動が認められるのみである。

つまり、EU圏内を文字通り自由に移動・移住するには市民権を得る必要があるのだ。ポルトガルの場合はゴールデンビザ取得後5年で永住権、あるいは市民権の取得が可能である。

別の方法としてEU各国に5年住むとEU長期居住者の申請が可能になるプログラムもある。

これではコロナ後の経済回復から労働人口が不足するとの懸念で規制の簡易化の提案を欧州委員会が行なっているのでEUへの移住を検討している方には期間の短縮という意味で朗報が舞い込んでくるかもしれない。