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倉本の国際経済の見どころ|国際経済の重要な出来事や抑えておくべきポイントを取り上げてわかりやすく解説

倉本の国際経済の見どころ   

株式会社J-CAM金融コンサルタントの倉本佳光が40年以上金融業に従事してきた経験を元に国際経済の重要な出来事や抑えておくべきポイントを取り上げてわかりやすく解説するコラムです。刻々と変化する相場のモメンタムをキャッチアップしていきます。

じわじわと進む 円安の行方

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追い込まれた円相場への対応

5月29日(水)に米国ではFRB(連邦準備制度理事会)から地区連銀経済報告が発表されました。報告では「米国経済が4月上旬以降に『わずかな、ないし緩慢なペース』で拡大した」と指摘しています。個人消費は物価上昇の影響により抑制され、小売り支出は横ばいから微増になりましたが、消費者が一段と価格に敏感になっていることを反映しました。

「先行きへの不透明感が高まり、下振れリスクがさらに高まる中、全体的な見通しはやや悲観的になった」としています。

米国では今週28日(火)にS&Pケースシラー住宅価格指数(3月)とコンファレンス・ボード(CB)消費者信頼感指数(5月)、そして29日(水)にリッチモンド連銀製造業指数(5月)が発表されています。

S&Pケースシラー住宅価格指数3月

前年同月比6.5%上昇し9ヶ月連続で過去最高を更新しました。1987年の集計開始以来の過去最高値を更新しています。全主要20都市で前年同月を上回っています。また同日発表された米国連邦住宅庁(FHFA)の全米住宅価格指数3月も前年同月比6.7%上昇しています。

現在、米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の住宅ローン金利(23日発表)の30年固定は6.94%と高水準です。以前の低金利下で住宅を購入した消費者は金利水準の違いにより住宅の買い換えに踏み切りにくくなっており、それが中古住宅の在庫不足を招き、中古住宅価格の上昇に繋がっていると見られています。

コンファレンス・ボード消費者信頼感指数5月

 5月の同指数は102.0と前月の改定値から+4.5と上昇し、4ヶ月ぶりにプラスとなりました。所得や雇用市場に対する現在の状況と短期的な見通しが改善したと見ています。 しかし、CBのチーフ・エコノミストであるダナ・ピーターソン氏は「インフレや景気後退リスクへの懸念が引き続き高まっている」と指摘しています。

リッチモンド連銀製造業指数5月

 前月は-7、市場予想も-7でしたが、5月の同指数は予想外に改善し「0」となり、昨年10月以来、初めてマイナスを回避しました。

 このように地区連銀報告の前に発表されていた米国経済指標はどれも米国経済の堅調さを示し、インフレへの警戒を強める内容となっているものでした。

アメリカの都市

高止まりする米国金利

今週は31日(金)にFRBが重要視しているPCE(個人消費支出)物価指数4月の発表を控えていましたが、先行する発表がインフレ懸念を高める結果であったことから、28日と29日の米国金融市場では米国10年国債利回りが4.62%、2年国債利回りが4.97%へ上昇し、株式市場もNYダウ平均が2日間で628ドル下落しています。

また為替市場ではドルの独歩高の様相を見せ、ドル円相場はじわじわと円安が進み157円台の動きとなっています。

 

 このような米国経済の状況と金融市場の動きから国内金融市場も影響を受けており、10年国債利回りは1.09%へ上昇し、日経平均株価も28日から3日連続安となり、30日前場終値は37932.65円で624.22円安となっています。

 31日発表の米国PCE物価指数の結果次第で為替相場がどのように動くのかまだ分かりませんが、これまでの各指標の状況とパウエルFRB議長や米国金融当局各氏のコメントから考えると、しばらくの間は米国金利が高止まりを続けると思われます。日本の政府ならびに日本銀行が何も策を講じなければ円安はさらに進むと思われます。

 現在の円相場の動きは、金利差から生じていると見られていますが、本来その国の成長性や通貨の信頼度から動くと考えられます。しかし、直近で発表された日本の実質GDPは2024年1-3月期に前期比-0.5%、年率-2.0%で2023年7-9月期から事実上3期連続マイナス成長となっています。特に実質GDPの中核となっている国内消費は4期連続でマイナスを記録しています。

米財務長官、為替介入に牽制

米国財務長官、為替介入に牽制

 国内経済の立て直しには政府による景気対策が必要と思われますが、現在の政府の状況は、政治資金規正法に集中しており、とても景気や物価に向かう状況とは思えません。当面の為替対策としては為替介入と金融政策(金利引き上げ)しか考えられない状況です。

 

 しかし、為替介入に関しては相手国である米国のイエレン財務長官から「市場が決定する為替レートを持つ大国にとって、為替介入は極めて稀であるべきで例外的に認められる。市場の混乱や過度な変動があった場合のみまれに行われる。また市場への介入を行う場合は事前の相手国への伝達が望ましい」と牽制する発言が発せられています。また「為替介入を行うよりももっと根本的な政策の変更が必要である」と述べています。

イエレン財務長官の考え方としては、より効果的な景気対策か金利引き上げを検討すべきと示唆したものと考えられます。

6月開催の金融政策決定会合

 

 6月中旬に日米で金融政策を決定する会合が相次いで開催されます。

まず6月11日-12日に米国FOMCが開催されます。現在の状況から今回も金利水準を据え置くと考えられます。それだけにその直後の6月13日-14日に開催される日本銀行の金融政策決定会合での決定が注目されることになります。

現在の円相場の状況は何も策を講じなければ、更に円安が進むと考えられ、1ドル170円を意識した動きになるのではないでしょうか。そうなれば国内の物価をさらに大きく押し上げる事になると思われ、政府の実施する定額減税の効果も吹き飛んでしまいます。

 日本の政府および日本銀行は円相場に関してかなり追い込まれ、行き詰まった状況となっていますので、利上げは国内景気を冷やすとも考えられますが、円相場に歯止めをかける事を優先すれば、日本銀行は今度の会合で利上げを実施するのではないでしょうか。

 6月中旬の日米の会合が注目されます。