日銀は19~20日に開いた金融政策決定会合で、大規模緩和を修正する方針を決め、これまで0.25%程度に抑えてきた長期金利の上限を0.5%程度に引き上げることを発表しました。これを受けて市場では事実上金融引き締めにあたるという受け止めから円高ドル安が加速しました。

 対照的に米国FRBは先日14日に0.5%の利上げを発表し、金融引締め策の緩和基調を示しました。前日に発表された11月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比+7.1%と市場予想(+7.3%)や前月(+7.7%)を下回り、それを受けた利上げ幅縮小になったと思われます。

 インフレのピークアウト観測もあり長期金利は低下し、為替はドル安傾向となっています。11月のCPI発表からドル高のピークアウトが言われ始めていますが、さらにその動きを強めるものと感じられます。

 そうした中で金価格が堅調な動きになりつつあります。金は主要国通貨の代替と考えられ、特に米ドルとは逆相関の関係と見られています。ドル安の傾向とともに金価格が堅調に推移し始めたと思われます。

 金価格が上昇する要因としては、他に戦争やテロからくる社会情勢の不安による「有事の金」、リーマンショックや新型コロナウイルスによる経済の不安定感、低金利、工業材料や宝飾品からの需要などがあります。

 最近注目される需要として中央銀行による購入があります。「脱米国、脱西側、脱ドル」をポイントとしたロシアや中国を中心とした国々の中央銀行です。特に中国の動きが活発化しているようです。

 今後、欧米の景気後退が懸念される中、資金の逃避先として金が注目されると考えられ、

来年は「金」を注視していく必要があると考えています。