米国金融市場が急反発!パウエル発言の背景に迫る
2024.12.06
パウエル議長の発言が金融市場に与えた影響
12月4日のニューヨーク・タイムズ紙主催のイベントでジェローム・パウエルFRB議長がインタビューに応じ「景気も刺激も抑制もしない中立水準を探る上で『もう少し慎重になれる余裕がある』」とコメントし、米国金融市場は発言を好感した反応を示しました。
債券市場と株式市場の反応
債券市場では、米国10年国債利回りが4.18%へ低下し、株式市場ではNYダウ平均が308ドル高、S&P500が36ポイント高、NASDAQが254ポイント高と3指数とも上昇し、NYダウ平均は初めて45,000ドル台に乗せる動きとなっています。
パウエル議長の発言内容
パウエル議長は「労働市場では、失業率は依然として低く下振れリスクは後退したようだ、インフレの状態についても進展している」とし、「米国経済は非常に良好な状態にあり、経済の成長はこれまで考えていたよりも力強い。米国経済は堅調であり、この状態が続かない理由はない。米国経済と金融政策の現状には満足している。」と述べました。
金融関係者の見解
JPモルガン・プリヤ・ミスラ氏のコメント
金融当局は今から12月の会合までに発表されるインフレと雇用に関する新たなデータを検討する必要が依然としてあるが、パウエル議長は利下げを議論の対象から外しませんでした。パウエル議長は12月の利下げについて多くの選択肢を残そうとし、来年の利下げのペース鈍化に向けた準備を整えている。
Eトレード・クリス・ラーキン氏のコメント
現時点では、今月に追加利下げが行われ、1月は据え置きの公算が大きい。ただ、雇用情勢の大きな変化がパズルのピースを並べ替える可能性はある。
エバコアISI・クリシュナ・グーハ氏のコメント
我々は発言をややタカ派的と受け止めています。しかし、12月利下げが基本シナリオとの確信を強めている市場の見方を揺らすには程遠い内容だった。
金融当局の慎重な姿勢
セントルイス連銀ムサレム総裁の意見
政策の選択性を維持することが重要だと思われ、現在の経済環境や新たに入手できる情報、見通しの変化を慎重に見極めるためには、利下げペースの減速や一時停止を検討する時期が近づいているのかもしれない。
サンフランシスコ連銀デーリー総裁の意見
われわれは急ぐ必要はない。緊急性はないものの、引き続き政策を慎重に調整し、現在および今後見込まれる経済情勢と合致させる必要がある。
リッチモンド連銀バーキン総裁の意見
政策を「幾分景気抑制的なレベル」にするために、より緩やかな利下げペースを支持している。
12月FOMCの行方と世界経済への影響
次のFOMCに向けて金融当局関係者は、慎重な姿勢を見せています。しかし現在の金融市場では、12月のFOMCで0.25ポイント利下げの可能性を約70%織り込んでおり、また来年末までの予想利下げ幅は約80bpを見込んでいます。楽観論が支配的となっている米国金融市場での次なる利下げへの強い期待が感じられる状況です。
12月17日-18日に開催されるFOMCで利下げが行われるかどうかは、米国経済ばかりでなく世界経済へ大きなインパクトを与えるものと考えられます。特に日本では18日-19日に日銀の金融政策決定会合が予定され、日銀の次なる利上げが国内金融市場で注目されています。
来年1月からトランプ新大統領による新政権がスタートするだけに今回のFOMCはより注目度の高いものとなっています。