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倉本の国際経済の見どころ|国際経済の重要な出来事や抑えておくべきポイントを取り上げてわかりやすく解説

倉本の国際経済の見どころ   

株式会社J-CAM金融コンサルタントの倉本佳光が40年以上金融業に従事してきた経験を元に国際経済の重要な出来事や抑えておくべきポイントを取り上げてわかりやすく解説するコラムです。刻々と変化する相場のモメンタムをキャッチアップしていきます。

植田日銀総裁はいつ動くのか?

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日本の長期国債の金利が上昇

5月20日新発10年国債利回りが0.975%へ上昇し、翌21日には0.980%へ更に上昇しました。国内債券市場では日本銀行による国債買い入れオペの買入額減額や早期の追加利上げへの警戒感から金利先高感が強まっています。

これは先週15日に発表された米国の消費者物価指数(CPI)がインフレデータとして前月より鈍化の傾向を示したものの米国金融当局の高官から次のようなこれまでと同様の慎重なコメント相次ぎ、当面は米国での高い金利水準が継続されそうだとの認識が強まったことによります。

  • 「インフレの完全沈静化には、政策当局がこれまで考えていたよりも長い間金利を据え置く必要がある。政策金利の調整を考えるには、インフレの継続的な進展の証拠をもっと見る必要がある。」(マイケル・バーFRB副議長)
  • 「利下げを開始するには、良好なインフレ数値を『あと数ヶ月』確認する必要がある。正しい方向へ向かうデータが十分に得られたなら、年内ないし来年初めの利下げを考えることができる。私がまだ教授でこのインフレ統計に成績を付けるとすれば、Cプラスを与えるだろう。落第からはほど遠いが優秀とも言えない。」(クリストファー・ウオーラーFRB理事)
止まらぬ円安

止まらぬ円安

こうした米国の状況を映してドル円相場は15日の154円台から156円台へ徐々に進んでおり、現在の為替相場について鈴木財務相は、21日閣議後の記者会見で円安に伴う経済的影響について「プラス面とマイナス面があり、(今の段階では)マイナス面が懸念される」と述べています。

鈴木財務相は今年に入ってから進む円安に対して、3月27日に「断固たる措置をとる」と発言しています。この頃は151円台でした。しかし、その後鈴木財務相のトーンはダウンをしています。これは為替介入を行うにあたり相手国である米国から為替介入に関して同意を得られなかったと見られています。

それは5月13日にイエレン米国財務長官の「それぞれの国にとって為替介入は可能だ。よりファンダメンタルズの変化を伴わない限り機能するものではない。しかし、為替介入を実施するのであれば、極めてまれなケースで貿易相手国に伝達するのが適切だろう。」とした発言から考えられます。これはGW期間中に日本が実施したと見られる2回の為替介入を指しての発言と考えられ、米国は日本の為替介入について同意をしておらず、また介入は日本からの伝達もなく実施されたと思われます。またイエレン財務長官の指摘する「ファンダメンタルズの変化」とは「日本の利上げ」を示唆していると考えられます。

植田日本銀行総裁は、4月26日の金融政策決定会合の後の記者会見で3月の利上げ後も進む円安について「今のところ大きな影響を与えていない」と発言していましたが、5月7日に岸田首相と会談を行ったあとからは、円安に対しての当事者意識を持った発言をしています。

 

次回の日銀会合での「利上げ」はあるのか?

 5月8日の衆議院財務金融委員会では「為替相場は経済・物価に重大な影響を与えうる。従来の局面と比べ為替変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている。」と指摘しました。また「政策運営にあたっては、最近の円安の動きを十分に注視している。動向次第で金融政策運営上の対応が必要になると考えている。」と述べています。さらに5月13日には日本銀行が大量に買い入れてきた国債の買い入れ額を減額すると発表しました。

こうした日本銀行のスタンスの変化と米国の状況から国内の市場では、日本銀行による早期利上げと更なる国債買い入れ額減額について現実味を持って考えられています。

次の日本銀行の金融政策決定会合は、6月13日-14日に開催が予定されています。その前日には米国のFOMCも開催されますので、次回の日銀会合での「利上げ」を想定した動きが強まると考えています。