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倉本の国際経済の見どころ|国際経済の重要な出来事や抑えておくべきポイントを取り上げてわかりやすく解説

倉本の国際経済の見どころ   

株式会社J-CAM金融コンサルタントの倉本佳光が40年以上金融業に従事してきた経験を元に国際経済の重要な出来事や抑えておくべきポイントを取り上げてわかりやすく解説するコラムです。刻々と変化する相場のモメンタムをキャッチアップしていきます。

どこまで上がる?日米株式市場

どこまで上がる?日米株式市場

続く日米の株価の上昇

NY株式市場ではNYダウ平均株価とS&P500が史上最高値を更新しています。また国内株式市場も日銀内田副総裁の「緩和的な環境を維持していくことになる」とのコメントを受けて本日の日経平均株価が38,000円台での展開を見せておりバブル後の最高値を更新して史上最高値に接近しています。

絶好調な日米株式市場

株価好調の要因

米国株式市場はエヌヴィディアに代表されるAI関連銘柄が次々と好決算を発表し、これら業績好調な巨大テック企業をリード役として上昇しています。背景として生成AI(人工知能)の需要が爆発的に増加していることが大きな要素の一つです。この需要の増加は、半導体をはじめとする関連する技術や製品への需要を高めています。生成AI技術の進化と普及は、様々な産業での応用が期待されており、そのために必要なチップやその他のコンポーネントへの投資が活発になっています。また、開始時期については遅れが見込まれているものの、政策金利引き下げに対する期待が依然として根強く存在しており、この楽観的な期待感が市場を支える一因となっています。一方、国内株式市場は円安を受けた輸出関連企業の好決算を中心に外国人投資家による資金流入が上昇の牽引役となっています。

米国の消費者物価指数(CPI)の発表を受けて

 

そうした中で13日に米国労働省から2024年1月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比+3.1%と発表されました。この結果は前月の+3.3%からは減速しているもののエネルギーと食品を除いたコア指数が前年同月比+3.9%と前月から横ばいであり、前月比が+0.4%と前月の+0.3%から加速し、昨年5月以来の高さとなりました。

米国の消費者物価指数はFRBによる政策金利の大幅な引き上げにより2022年7月の+9.1%から昨年7月に+3.0%まで低下しましたが、それ以降+3%台での結果が続いており、+2%台への低下が遠くの目標に見え始めています。

今回の消費者物価上昇率の内容を見るとエネルギーが-10.4%と前月の-2.5%から大きく減速し原油価格の落ち着きを反映しているものの、住宅価格やサービス価格が大きく上昇しています。住宅価格は+7.7%で前月の+3.7%から急加速しました。これは長期金利の低下を受けて住宅ローン金利が急低下した影響が出ています。またサービス価格も+8.2%と前月の+4.7%から急加速し雇用統計で明らかになった賃金上昇の結果が顕著に表れています。こうした住宅価格やサービス価格の動きはインフレ再燃を思わせる内容となっています。

インフレ再燃の懸念

米国株式市場は今年の利下げを期待して大きく上昇してきていますが、このようなデータが続くようになると利下げどころか再度の利上げが必要になるかもしれません。金利低下によるインフレ再燃は、その後の金利上昇と景気減速を招き株価の下落へ繋がると考えられます。

 FRBは当面経済指標の状況をじっくり見ていくと思われますので、米国株式市場は楽観的な展開をしばらく続けると考えられますが、一部のハイテク企業を除くと企業業績は良いとは言えず、今後の景気減速も頭に置きながら注意を怠らないようにするべきと考えています。

 一方、国内株式市場は世界的に割安な株価指標と円安水準に着目した外国人投資家の動きがポイントになります。米国経済が減速となればドル安円高の動きが想定され、その時点から外国人投資家の利益確定の時期が始まると思われます。

 

国内株式市場の先行きを考える上でも米国の動向には十分な注意が必要です。