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倉本の国際経済の見どころ|国際経済の重要な出来事や抑えておくべきポイントを取り上げてわかりやすく解説

倉本の国際経済の見どころ   

株式会社J-CAM金融コンサルタントの倉本佳光が40年以上金融業に従事してきた経験を元に国際経済の重要な出来事や抑えておくべきポイントを取り上げてわかりやすく解説するコラムです。刻々と変化する相場のモメンタムをキャッチアップしていきます。

マグニフィセントセブンの勢い

マグニフィセントセブンの勢い

過剰期待の米国株式市場

米国株式市場の堅調な展開が続いています。NYダウ平均に続きS&P500も1月14日に2022年1月4日に付けた4818.62の高値を更新し、1月24日には4903.68の最高値を付け4868.55で終えています。

 米国株式市場は昨年12月に政策金利の引き下げ期待から上昇を強め、今年に入ってもその勢いが続いています。ただ株式市場全体を見れば、今や米国株式市場の代表グループとなっているマグニフィセントセブン(アルファベット、アマゾン、アップル、メタ、マイクロソフト、エヌヴィディア、テスラ)の上昇が大きく影響しています。このグループの企業は業績も堅調の上、さらにAIなどに大きく関わっている事で市場から高い評価を受けています。

マグニフィセントセブン以外の企業と米国経済の実態

 しかし、これら7社のS&P500でのウェイトは30%近くを占めており、マグニフィセントセブン7社の高いパフォーマンスがS&P500の上昇を支えています。そのほかの企業のパフォーマンスは決して良いとは言えない状況です。というのも2023年のS&P500全体の企業業績は+1%程度と考えられ、ほとんど成長が無かったと言えます。やはりFRBによる政策金利の上昇が企業の資金調達や個人消費へ徐々に影響を強めている結果と考えられます。

 米国でインフレが発生し消費者物価上昇率が2022年6月に+9.1%まで上昇しました。その後FRBによる政策金利の引き上げから消費者物価上昇率は低下に向かい、203年6月に+3.0%まで低下しました。しかし、その後は+3%台でのもみあいとなり2023年12月は+3.4%と上昇しています。

過剰期待の米国株式市場

米国金融市場では金融当局による2024年の金利引き下げは6回あると予想しています。実際、長期金利は5%台から3.8%まで低下しましたが、現在は4.18%まで戻っています。 金融当局による消費者物価上昇率の目標としている水準は「+2.0%」ですが、前述のように物価は下げ止まりの様相を見せ始めています。

またウクライナ戦争が長期化する中で昨年秋から始まったイスラエルとハマスの紛争も長期化が予想されており、今後のエネルギー価格の動きによってはインフレが再燃する可能性もあります。

今年の利下げを6回と予想し期待している市場ですが、金融当局がFOMCで示した利下げ回数は3回であり、経済情勢によってはそこまでしない事も考えられます。市場の予想は過剰と言えるのではないでしょうか。

高値更新も危うき状況

 もし、米国金融当局による金利引き下げが市場の予想と異なり、あまり引き下げが期待できないとなった場合、株式市場は調整を余儀なくされると考えられ、S&P500のチャートでは2022年1月高値と今回の高値でのダブルトップを形成する事になります。 今後の展開には十分に注意が必要と考えています。

 また、米国株式市場は過去約40年間にわたる長期の金利低下期間を過ごしてきました。その金利低下の恩恵を受けて株式は上昇を続けたと言えます。現在、「米国株は長期的に常に上昇する。」という信仰とも言える考え方がありますが、その前の1970年代前後にはインフレを抑える為に金利水準は高く、米国株式は横ばいの動きを続けていました。この時代に債券利回りが高いく債券などで高い金利収入を得ることもできましたので、株式市場は人気が無かったといえます。

米国での長期的な金利低下が終了し、インフレとの共存を図る時代が来たとも考えられますので、株式投資の基本である割安な成長株を探すバフェット流の考え方を頭において良いのではないでしょうか。