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倉本の国際経済の見どころ|国際経済の重要な出来事や抑えておくべきポイントを取り上げてわかりやすく解説

倉本の国際経済の見どころ   

株式会社J-CAM金融コンサルタントの倉本佳光が40年以上金融業に従事してきた経験を元に国際経済の重要な出来事や抑えておくべきポイントを取り上げてわかりやすく解説するコラムです。刻々と変化する相場のモメンタムをキャッチアップしていきます。

年内の利下げ可能性あり

年内の利下げ可能性あり

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米国消費者物価指数4月が発表されました

米国では注目されていた小売売上高4月と消費者物価指数(CPI)4月が発表されました。

小売売上高は前月比横ばいで市場予想の+0.4%を下回りました。物価と金利の高止まりが家計を圧迫し、消費者が慎重な姿勢となっていると見られています。

消費者物価指数は総合CPIで前月比+0.3%と市場予想の+0.4%を下回り、前月の+0.4%から鈍化しました。前年同月比は+3.4%で市場予想と一致し、前月の+3.5%からこちらも鈍化しています。また食品とエネルギーを除いたコアCPIでは、前月比+0.3%となり予想通りで前月の+0.4%から鈍化し、前年同月比は+3.6%でこちらも予想と一致し前月の+3.8%から鈍化しました。

このように全体として鈍化傾向となった発表ですが、全米の中で主要な都市圏4つでは物価上昇率(CPI)が1年ぶりの高水準になっています。前年同月比で見てペンシルベニア州フィラデルフィアが+4.1%、ミズーリ州セントルイスが+4.0%と4%台を記録し、ニューヨーク州ニューヨークとカリフォルニア州サンフランシスコはともに+3.8%となり、これらの都市は全米平均を上回っていると労働統計局が発表しています。

 またミシガン州デトロイトでも4月に物価上昇率が高まっており、大統領選挙のスイングステート(激戦州)と言われるミシガン州、ペンシルベニア州の両州の大都市で物価上昇が加速しており、経済と物価上昇(生活費)が選挙戦で大きな意味を持つことになりそうです。

 さてこのような主要都市での物価上昇があるものの、全体として物価上昇が鈍化したイメージが広がり、にわかに「9月までに0.25%で1回の利下げをする」との確率が市場予想で80%程まで高まり、米国債券市場では全ての年限で利回りが大きく低下し、10年債で0.1%の低下となりました。

債券市場での動きを受けて米国株式市場も積極的な姿勢が強まり、NYダウ平均は349ドル高の39,908ドルと40,000ドル目前まで上昇し、S&P500は61ポイント高の5,308、NASDAQは231ポイント高の16,742と3指数とも史上最高値を更新して終えています。

暗号資産市場でも、13日、14日はBTCで60,000ドル~63,000ドルの動きでしたが、小売売上高と消費者物価指数の発表を受けた、米国金融市場の金利低下、株価上昇、ドル安というリスクオンの流れから上昇し66,000ドル台まで上昇しています。

アメリカの金融当局

金融関係者のコメント

 
  • リーガン・キャピタルのスカイラー・ワイナンド氏|利下げのゴーサインが出るには、弱いインフレ統計がもう少し続かなくてはならない
  • チャールズ・シュワブ チーフ債券ストラテジストのキャシー・ジョーンズ氏|年内利下げの可能性が出てきたが、FRBが行動を起こすにはインフレ率低下を示す数値がもう少し必要だろう
  • ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁|私が考える最大の不確定要素は金融政策がどれほどの下方圧力を経済にかけているかということで、それは未知数であり確かなことはわからない、そうであれば結論を急ぐ前に基調的なインフレの動向を見極めるまで、もう少しここに長く留まっている必要があるのではないか
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このように市場関係者では利下げの可能性が出てきたとの考えを持つものの、パウエル議長による「利下げ実施に必要な確信を得るには、従来想定していたより長い時間がかかるかもしれない」というコメントや金融当局者による「今しばらくデータを検証する必要がある」との考えを受けて慎重なスタンスが感じられます。

金融市場は、今回の発表により「年内の利下げ可能性あり」をベースにしばらく落ち着いた展開になるものと考えられます。今後の注目材料は5月22日に予定されるNVIDIAの2-4月期の決算発表と5月31日の米国PCEの発表になると思われます。

米国株式市場のこれまでの株価上昇を大きく牽引したNVIDIAの成長が今後も継続するのか?そして米国のインフレはさらに鈍化傾向を示すことになるのか?

 期待と不安を持って、そのときを待ちたいと思います。