IMFの世界経済見通しとその影響

10月22日にIMF(国際通貨基金)から定例の世界経済見通しが発表されました。

世界経済の成長予測

世界経済の成長は、2024年と2025年の予測で3.2%となっており、今後も安定を続けると見られるものの、その後に勢いが欠けそうと予測しています。欧州の大国を中心として先進国の成長率が下方改定されましたが、一方で米国の成長率予測が上方改定され、相殺する形となっています。

IMF

新興国と発展途上国の見通し

新興国および発展途上国では、中東・中央アジア、サブサハラアフリカの成長率予測が下方へ引き下げられました。しかし、アジア新興国の成長率予測が上方改定され、相殺する形になっています。アジア新興国では、人工知能(AI)への大規模な投資によって半導体や電子機器への需要が急増している点がポイントです。

世界の経済成長率予測

地域 2023年 2024年 2025年
世界全体 3.3% 3.2% 3.2%
先進国 1.7% 1.8% 1.8%
米国 2.9% 2.8% 2.2%
ユーロ圏 0.4% 0.8% 1.2%
日本 1.7% 0.3% 1.1%
新興国・発展途上国 4.4% 4.2% 4.2%
アジア 5.7% 5.3% 5.0%
中国 5.2% 4.8% 4.5%
インド 8.2% 7.0% 6.5%
中東・中央アジア 2.1% 2.4% 3.9%
サブサハラアフリカ 3.6% 3.6% 4.2%

※実質GDP、年間の変化率(%)

今後のリスクと金融市場への影響

今後のリスクバランスについては、下方に傾くと考えられており、地政学的緊張の高まる可能性があるとしています。また金融市場におけるボラティリティの急上昇は、金融環境のタイト化を引き起こしかねないとし、中国の不動産部門における問題が世界貿易への影響という形で波及効果を招く恐れがあり、保護主義の高まりや地経学的分断の進行についても同様の懸念を示しました。

インフレと金融政策の調整

世界的なインフレについては、主要経済国で徐々に不均衡が緩和しつつあり、各国の物価上昇率も落ち着きつつあるとしています。世界の物価上昇率は2023年6.7%、2024年5.8%、2025年4.3%が見込まれています。特にサービス価格が高止まりしている中、セクター別の動向を理解し、金融政策を調整することの重要性を指摘しています。

合衆国大統領選挙2024

財政政策の再構築と米国大統領選挙の影響

ディスインフレの流れに混乱が生じれば、中央銀行の金融政策の緩和が阻害され、財政政策と金融安定性の面で問題が発生する可能性があるため、各国政府は今後の政策転換を実施すべき時期に来ています。IMFは、債務ダイナミクスの持続可能性を確保し、バッファーの再構築に向けて財政政策の軸足を移すことが重要であると提言しています。

米国大統領選挙とその影響

米国では大統領選挙が終盤を迎え、ハリス副大統領とトランプ前大統領が大接戦を繰り広げています。両氏の掲げる経済政策は、減税や住宅頭金補助などが米国財政を悪化させると、多くのエコノミストや投資家が警鐘を鳴らしています。

  • ポール・チューダー・ジョーンズ氏は、米国債の暴落を予測。
  • ドラッケン・ミラー氏は、インフレ再燃と金利上昇を懸念。
  • ラリー・サマーズ氏やレイ・ダリオ氏も同様のコメントを発表。

米国大統領選挙後、世界の金融市場がどのように展開するか注目が集まっています。