金価格史上最高値!大統領選後のゴールドと暗号資産の未来
2024.12.19
金価格の史上最高値とその後の動き
10月30日に1オンス2,800ドルの史上最高値を付けた金価格は、その翌日から調整に入り、11月13日に2,541ドルまで下落した後、2,600ドル台でのもみ合いを続けていました。ゴールドマンサックスやJPモルガンは今後の金価格の動向について強気のコメントを発表していましたが、米国大統領選挙を挟んだ2週間は2月から続いた上昇相場の調整局面になっていたと思われます。
12月における金価格の急上昇
金価格は先週12月6日(金)から12日まで4日間連騰し、108ドル上昇しました。こうした動きに同調するようにいくつかのコメントが発表されています。
ヘレウスプレシャスメタルズの見通し
貴金属ビジネスにおける世界有数のリーディング企業であるヘレウスプレシャスメタルズが12月10日に発表した報告書において「2025年に金価格が1オンス2,450-2,950ドルと過去最高を記録する」との見通しを発表しました。この上昇は、以下を主な理由として挙げています。
- 主要中央銀行が政策金利の引き下げをさらに進めていく
- ドル安傾向になり、金需要が増加する
金価格が上昇する背景
金価格は政局と財政の先行き見通しに不透明感があるときに比較的安全な資産として保有される場合が多く、金利が低下するとの見方も金価格を押し上げる傾向があります。
Birch Gold Groupのフィリップ・パトリック氏は、世界各国の中央銀行からの需要の高まりとパンデミック以降のドルの全般的な下落が金価格上昇の引き金になったとし、「金価格はFRBが政策金利を引き下げる前から記録的な高値を付けていた」とコメントしています。
金価格上昇を支える背景
さらに「インフレーション、通貨の切り下げ、景気後退などが発生した場合、購買力を維持する目的で安全資産となるコモディティに対する需要が高まる事が多く、金現物はそうした『安全資産』のひとつでインフレーションがドルの購買力を蝕み、物価上昇につれて金の評価が高まり、身を守ろうとする人々にとって魅力的な投資対象となる。」と述べています。
![金価格上昇を表すイメージ](https://bitlending.jp/wp-content/uploads/2024/12/hcieohfoap.jpg)
ゴールドマンサックスとJPモルガンの見解
ゴールドマンサックスの予測
米国がロシアに行っている金融制裁や今後の米国国債に起こるショックへの懸念から各国中央銀行による金への需要が強まり、9%金価格を上昇させるとしています。
さらにFRBによる政策金利の引き下げを受けて、金現物を裏付けとする欧米の上場投資信託(ETF)の金保有が強まり、金価格が7%上昇すると見込んでいます。同社は米国大統領選挙後の投機的ポジションの減少による潜在的な価格下落リスクを認めつつ、貿易摩擦リスクや金融リスクをヘッジするための金のロングポジションの意義を強調しています。
JPモルガンの見解
JPモルガンは、投資家の「通貨価値の切り下げ取引(debasement trade)」が継続する可能性があり、金(ゴールド)やビットコイン(BTC)に資金が集まり上昇圧力がかかる可能性があるとしています。
また、ウクライナや中東での地政学的緊張の高まりとトランプ新大統領の政策が一部の投資家の『通貨価値下落取引』と呼ぶものを強化する可能性が高く、それによって金(ゴールド)とビットコインが買われるとしています。
「通貨価値の切り下げ取引」は、政府の高い債務や金融政策による通貨価値の低下(インフレーション)を見込んで、投資家が通貨以外の資産に投資する戦略です。
金とビットコインを後押しする要因
ゴールドとビットコインは、『主要経済国における持続的に高い政府の赤字、一部の新興市場における法定通貨への信頼低下、そしてドルからのより広範な分散化』によって後押しされる可能性があるとJPモルガンは予想しています。
根底にあるのは、米国の債務問題です。米国の国債はその増加ペースが懸念されています。さらに「債務による通貨価値下落」も問題を複雑化させています。
債務による通貨価値下落は、政府の過度な債務や拡張的な金融政策によってインフレが引き起こされ、結果として法定通貨の価値が下落し、債務の実質的な負担が軽減される現象のことです。
ゴールドマンサックスとJPモルガンの金価格予測
現時点でのゴールドマンサックスとJPモルガンの予想している本年末の金価格水準は、ゴールドマンサックスが3,000ドル、JPモルガンが2,950ドルです。
![金色のアメリカ地図](https://bitlending.jp/wp-content/uploads/2024/12/hcdoiajhfp.jpg)
トランプ新政権と暗号資産市場
米国大統領選挙でトランプ氏の当選が決まってから、暗号資産市場は活況を呈しており、ビットコインは10万ドルの水準に達しています。こうした動きにはビットコインの現物ETFに投資する機関投資家の動きも加わっていると考えられます。
しかし、依然として暗号資産に対して疑義を持つ機関投資家は、暗号資産のビットコイン現物ETFではなく金現物ETFへの投資を指向するのではないでしょうか。
金価格への影響
トランプ新政権の積極的な支援を受けると見られる暗号資産をリード役として、金価格も追随する展開になるのではないかと予想しています。