FOMC迫る!利下げの行方を左右する米国雇用統計に注目
2024.09.06
今月のFOMC会合が注目される理由
今月17日-18日に次のFOMC(連邦公開市場委員会)が行われます。8月23日、パウエルFRB議長はジャクソンホール会合での講演で「政策を調整する時期がやって来た。向かう方向は明確であり、金利引き下げの時期およびペースは、今後入ってくるデータ、経済見通しの展開、リスクのバランスに依存する」と9月の利下げを示唆しました。さらに労働市場のさらなる減速についても「求めもせず歓迎もしない」と発言し、FOMCに対する市場の期待感を強調しました。
FOMC前に発表された経済指標
今週は、6日(金)の米国雇用統計の発表を控える中で、すでにFOMCに影響を与えると思われる経済指標が複数発表されています。
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ISM製造業景気指数(8月): 3日(火)に発表された米国ISM製造業景気指数は47.2で、7月の46.8から若干上昇しましたが、新規受注の減少や在庫の増加から、製造業の経済活動が当面低迷を続ける可能性を示唆しています。
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JOLTS求人件数(7月): 4日(水)に発表されたJOLTS求人件数は767.2万件で、市場予想の810万件を大きく下回り、前月の791万件も下回りました。これは2021年1月以来の低水準です。また、レイオフ・解雇数も176.2万人と増加し、2023年3月以来の高水準となっています。
金融市場の反応と展望
これらの経済指標を受けて、金融市場は反応を示しています。債券市場では、米国10年国債利回りが先週末の3.90%から3日に3.81%、4日には3.76%へと低下しました。株式市場も同様に3日には3指数とも大きな下落を見せ、NYダウ平均が626ドル安、S&P500が119ポイント安、NASDAQが577ポイント安となりました。現在はほぼ横ばいで様子見の状態です。
今後の注目経済指標とFOMCの利下げ予測
米国では5日(木)にADP雇用統計(8月)とISM非製造業景気指数(8月)が発表され、6日の米国雇用統計とともにFOMCの利下げ決定に影響を与える可能性があります。
米国雇用統計8月の予想では、非農業部門就業者数が16.5万人増加すると見られており、これは7月の11.4万人を上回りますが、直近3ヶ月の平均は15万人強と2021年以来最も低い水準です。失業率は7月の4.3%から4.2%へ低下することが予測されています。
専門家の見解
ブルームバーグ・エコノミクスのチーフ米国エコノミスト、アナ・ウォン氏は「非農業部門雇用者数は7月の不本意な数値から改善される可能性が高いが、労働統計局(BLS)の基準改定値で、2024年3月までの年間雇用者数の伸びが下方修正されたことを考慮すると、金融当局者は発表される数字に対して慎重な姿勢を保つだろう」と指摘しています。
利下げ幅の予測
直近までの市場関係者の予想では、FOMCでの利下げ幅は0.25%が中心でしたが、今週の経済指標の発表を受けて、スワップ市場では0.50%の利下げ幅の確率が33%程度に高まりました。
JPモルガンアセットマネジメントのポートフォリオマネジャー、プリヤ・ミスラ氏は「労働市場が鈍化し、連邦準備制度の注意を引き付けている。FF金利誘導目標が5.25-5.5%の水準にあり、景気が減速しているため、50ベーシスポイントの利下げに動く強い根拠がある」との見解を示しています。
まとめと今後の展望
今回のFOMC会合は、世界経済や市場動向に大きな影響を与える重要な決定がなされる可能性があり、「インフレ対策としての高い金利水準がどこまで下がるのか」が焦点となります。また、6日の米国雇用統計は、その結果を占う意味でも非常に重要であり、注目が集まっています。