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倉本の国際経済の見どころ|国際経済の重要な出来事や抑えておくべきポイントを取り上げてわかりやすく解説

倉本の国際経済の見どころ   

株式会社J-CAM金融コンサルタントの倉本佳光が40年以上金融業に従事してきた経験を元に国際経済の重要な出来事や抑えておくべきポイントを取り上げてわかりやすく解説するコラムです。刻々と変化する相場のモメンタムをキャッチアップしていきます。

ウォール街の専門家から見た 米国株式市場の今

ウォール街の専門家から見た 米国株式市場の今

材料出尽くし 上値の重い展開

1週間前の先週2月22日(木)に国内株式市場は日経平均株価が836円高となり、1989年の高値を抜き史上最高値を更新しました。これは21日のNY市場の引け後に発表されたエヌビディアの決算が予想を大きく上回るものとなった事を受けたものでした。今週に入り日経平均株価は27日(火)に39,426円まで上昇しましたが、NY市場でのハイテク株の軟調から上値の重い展開となっています。

NYダウ平均株価はハイテク株の伸び悩みにより26日から小幅ながら3日連続の下落となっています。ハイテク株の中でも牽引役のマグニフィセント・セブンの株価は1-2月に付けた高値から総じて伸び悩み、それぞれの高値から平均で約5.9%下落しています。7社の核であるエヌビディアは23日にザラ場で付けた823.94ドルの高値から昨日28日の終値は776.63ドルとやはり5.7%下落しています。

自動生成AIフィーバー

このようなNY株式市場の動きに対してゴールドマン・サックスは、2月23日に「ヘッジファンドは2月23日までの週のハイテク株売りが過去約8カ月で最速のペースで、過去5年間で見ても最高の水準だった」と指摘しています。

ナスダックなど主要株価指数は人工知能(AI)への楽観的な見方を追い風に過去最高値を更新し、22日には四半期決算の売上高の伸びが予想を上回った米半導体大手エヌビディアの株価が急騰して時価総額の増加額が1日当たりとして史上最大を記録しました。

センチメントに変化の兆し

しかしゴールドマン・サックスによると、ハイテク株を売り持ちにしているヘッジファンドの数は買い持ちのヘッジファンドの2倍に達しており、市場のセンチメントに変化の兆しが表れ、ヘッジファンドはハイテク企業株を幅広く売り持ちにして買い持ちポジションを手仕舞っており、半導体製造装置やハードウェア、ストレージ、IT(情報技術)サービスのほかソフトウエアなどの分野で売り持ちを増やしていると指摘しています。

 こうした動きを裏付けるものとして、「ハイテク株の女王」と言われるキャシー・ウッド氏が率いる上場投資信託の「アーク・イノベーション」は昨年からエヌビディア株の利益確定売りを続けており、ウッド氏は「エヌビディアの調整は近い」とコメントしています。

マグニフィセントセブン  

 また、資産運用会社ヌビーンのサイラ・マリクCIO(最高投資責任者)は「マグニフィセント・セブン(アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン・ドット・コム、エヌビディア、テスラ、メタ・プラットフォームズ)はこれまでの上昇と米連邦準備制度の利下げ開始時期を巡る不確実性を考えると反落しやすい。」と述べ、地方債を中心とした投資への活用を呼びかけています。

 一方、JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOは、「世界情勢を巡るリスクと高水準にある政府債務残高がインフレ高進と金利上昇のリスクを高めており、世界は過去数十年で最も危険な時期を迎えている」と昨年から語っていますが、そのJPモルガンはNY株式市場の今後の見通しについて、S&P500の2024年末水準を4,200と現在より約2割下落すると予想しています。

 大手金融機関の多くが今後の株高を予想し、依然としてNY株式市場で楽観論が支配していると見られますが、プロの投資家の多くが次を見据えた動きを始めているのではないでしょうか。国内株式市場についても十分に注意が必要と考えています。