BitLending|最高利率10% 預けて増やす暗号資産レンディング
倉本の国際経済の見どころ|国際経済の重要な出来事や抑えておくべきポイントを取り上げてわかりやすく解説

倉本の国際経済の見どころ   

株式会社J-CAM金融コンサルタントの倉本佳光が40年以上金融業に従事してきた経験を元に国際経済の重要な出来事や抑えておくべきポイントを取り上げてわかりやすく解説するコラムです。刻々と変化する相場のモメンタムをキャッチアップしていきます。

バイデン、トランプ両氏が 世界の為替市場に与える影響

バイデン、トランプ両氏が 世界の為替市場に与える影響

株式会社J-CAMはWebX2024のプラチナスポンサーです。

キンカゴールドの取扱いを始めました。

BitLending XNK取扱い開始

米ドルの行方

今週6月7日(金)に米国労働省から雇用統計が発表されるのに先立ち、5日に民間のADPによる雇用統計が発表されました。これはADP(オートマティック・データ・プロセッシング)社のデータを利用して米国の非農業部門雇用者数を予測する統計です。この発表では前月4月の+18.8万人から+15.2万人に鈍化し、予想の+17.5万人を下回りました。これは1月以来の低水準で米国金融市場では、早期の利下げ期待が高まり、株式市場では株価が上昇し、債券市場では国債利回りが低下しました。

NYダウ平均は38807.33ドルで96ドル高と堅調な動きとなり、S&P500はNVIDIAが60ドル高と牽引して+62の5354、NASDAQも+330の17187と両指数とも最高値を更新しました。米国10年国債利回りは4.29%で5月29日に付けた4.62%から0.33%も低下してきています。

 一方、隣国のカナダではカナダ銀行(BOC)が政策金利を0.25%引き下げ4.75%としました。利下げは4年ぶりでG7の中央銀行として、今回のインフレ局面での初めての利下げとなります。

 また今晩(6日)、欧州中央銀行(ECB)が今回の政策会合で利下げを決定すると見られています。利下げ幅は0.25%が確実視されています。利下げを決定すれば、ユーロ圏の金融政策は米国とは異なった道を歩み始めることになりそうです。そしてその利下げは通貨のユーロ下落となる可能性を持っています。

マーケットの利下げ期待が広がる

 しかし、ユーロ圏では厳しいと見られていた景気に回復感が強まり、すでに3月にはスイス国立銀行が世界に先駆けて利下げを決め、5月にはスウェーデン中央銀行が8年ぶりに利下げを決めています。根強い物価上昇圧力はあるものの景気の回復に後押しされて通貨安リスクを持ちながらも進んで行くことになりそうです。

米国を取り巻く環境は変化を始めている

このように米国を取り巻く環境は変化を始めています。

今後のFRBの舵取りがどのようになるのか注目されるところですが、通貨を考える上で今秋の米国大統領選挙に向けたバイデン、トランプ両氏の貿易政策が世界の為替市場に影響を与えていくことになりそうです。

バイデン大統領は中国からの輸入品のうち180億ドル(約2兆8000億円)相当を対象に関税を引き上げると発表しています。最大の引き上げとなるのは、電気自動車(EV)で、関税率は現在の25%から100%に引き上げられます。また、リチウム電池は7.5%から25%に、ソーラーパネルは25%から50%にそれぞれ引き上げられることになります。

バイデン大統領は、トランプ政権時代に中国に課した関税の大半を維持してきましたが、新しい品目への追加関税はしていません。しかし、米大統領選が佳境を迎える中、トランプ氏への対応策として中国に対して厳しい姿勢を示そうとしています。

トランプ VS バイデン

 トランプ氏は中国から輸入される全ての商品への関税を60%引き上げ、さらに3兆ドル(約468兆円)相当の全輸入品に対して、少なくとも10%の関税を適用すると表明しています。またトランプ氏は最近メキシコで中国企業が生産している自動車にも100%の関税をかけるとコメントしています。

バイデン大統領、トランプ氏のどちらが大統領に就任しても中国への関税強化政策は行われることになり、中国はその対策として「緩やかに少しずつ人民元を下げることを容認していく」ことになりそうです。この人民元安はもちろん米国を意識したものですが、諸外国への輸出拡大に寄与すると考えられ、中国国内の消費が振るわない中、製造業に活気を与えるものになると考えられます。

しかし、トランプ政権で通商代表部代表を務めたロバート・ライトハイザー氏は、以前よりも広範囲で強力な関税政策を目指す一方、「米ドルが強すぎる」と考えており、トランプ氏が大統領に就任し、自身も通商代表部代表に就いたときに「ドルを大幅に弱める」考えのようです。

大統領選挙後に米国の輸出拡大を狙った「ドル安」政策がFRBの金融政策へ大きな影響を与えそうです。そしてその動きは世界の外国為替市場へ大きな混乱を招くことになるかもしれません。今後の大統領選挙と金融当局に動きには十分に注意をしていきたいと思います。