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倉本の国際経済の見どころ|国際経済の重要な出来事や抑えておくべきポイントを取り上げてわかりやすく解説

倉本の国際経済の見どころ   

株式会社J-CAM金融コンサルタントの倉本佳光が40年以上金融業に従事してきた経験を元に国際経済の重要な出来事や抑えておくべきポイントを取り上げてわかりやすく解説するコラムです。刻々と変化する相場のモメンタムをキャッチアップしていきます。

新NISA 考え方のキモ①

新NISA 考え方のキモ①

2024年の日米株式市場は昨年末からの動きを引き継ぎ堅調な動きを見せています。特に国内株式市場は新年最初の取引となった1月4日(木)は日経平均株価で175円安となったものの5日(金)89円高、9日(火)385円高、10日(水)678円高と大きく上昇しました。原稿を書いている11日(木)は前場で672円高となっています。

こうした展開は、昨年12月の米国FOMC(連邦公開市場委員会)で政策金利が据え置かれ、今後の方向性として2024年に3回の利下げの可能性に言及した事から米国景気のソフトランディングが意識され、米国株式市場が堅調に推移している事が大きなポイントとなっています。

2024年、年初めの日米株式市場は堅調な動き

さらに昨年の国内株式市場では東証によるPBR改革をきっかけとして企業による自社株買いが膨らみ約4兆9,000億円行われた事やウォーレン・バフェット氏のコメントなどをポイントとして外国人買いが約3兆1000億円あった事などが材料視されています。

国内株式市場は1989年12月に日経平均株価で38,957円の高値を付け、その後、長期にわたり低迷を余儀なくされていましたが、本日11日に1990年2月以来の約34年ぶりに35,000円台を付ける展開となりました。今後については今年から始まった新NISAを通じての国内個人投資家マネーの更なる流入も意識され、株式市場関係者からは日経平均株価の新高値挑戦の声も聞かれ始めています。

新NISA考え方のキモ

新NISAとは

このような環境の中、今年から始まった新NISAとはどんなものなのでしょうか。以前からあったNISAは英国のISA(Individual Savings Account :個人貯蓄口座)を模して2014年1月に日本版のISAとしてスタートしたもので「『NISA口座(非課税口座)』内で、毎年一定金額の範囲内で購入したこれらの金融商品から得られる利益が非課税になる、つまり、税金がかからなくなる制度」です。

新NISAの変更点

そして新NISAは旧NISAを大幅に改正し今年からスタートしました。

大きく改正された点は年間投資枠非課税保有期間で、新旧を比較すると下記の表のようになります。

新NISA旧NISA
年間投資枠積立投資枠:120万つみたてNISA:40万
成長投資枠:240万一般NISA:120万
非課税保有期間恒久化(無期限)つみたてNISA:20年
一般NISA:5年

旧NISAでは「つみたてNISA」と「一般NISA」の2つの制度に分かれていてどちらかを選ぶ必要があり、両方を同時に利用することはできませんでした。

「一般NISA」は年間120万円まで5年間で最大600万円投資できる制度で上場株式や投資信託、上場投資信託(ETF)に投資する事ができました。「つみたてNISA」は年間40万円まで20年間で最大800万円投資できる制度でした。ただし、投資できる商品は金融庁に届け出された一部の投資信託やETFに限定され、定期的に投資を続ける「積立投資」が必須となっていました。

新NISAはこれまでの「一般NISA」と「つみたてNISA」をひとつに統合した制度となっています。ひとつの制度の中に二つの枠があり、両方を同時に利用できるようになっています。どちらか一つを選ぶ必要はありません。

新NISAの特徴

新NISAの大きな特長は表にもあるように非課税で投資できる金額が大きく増えることです。年間の非課税枠は積立投資枠と成長投資枠を合わせて360万円に拡大します。また生涯の投資枠として1,800万円まで利用する事ができるようになりました。 生涯投資枠は積立投資枠600万円成長投資枠1,200万円になりますが、成長投資枠は積立で利用することも可能ですので1,800万円全額を積立とすることもできます。

さらに制度の利用期限が恒久化され期限がなくなりましたので、いつでも自分の都合やペースで投資する事ができるようになりました。旧NISAでは「一般NISA」の場合、利用開始から5年間しか利用できず、「つみたてNISA」では20年間でした。

尚、年間の非課税枠は生涯の1,800万円が埋まらない限り毎年新たに設定されます。

何に投資すればいいのか

さてこのように大きく改正されてスタートした新NISAですが「何に投資すれば良いのか」が始めるにあたって大きなポイントとなります。金融庁が開始したNISAですが、投資にはリスクがあり、預貯金とは違って元本が割れるかもしれないといった事があります。こうしたリスクを抑える投資の王道として「長期・積立・分散」の考え方があげられます。

おすすめの基本戦略

この「長期・積立・分散」での資産運用を全体の中核(コア)とし、そのほかの個別株などへの投資をサテライトとして考え、配分はコア7割以上、サテライト3割以下を基本と考えて投資する銘柄を選別するのが良いと言われています。コアの部分でご自身の資産運用の土台を作り、余裕があればサテライトで追加のリターンを取りに行くというものです。というのもサテライトに配分する個別株などは値動きが大きく、リスクが相対的に高くなりますので中核とするのはお勧めできません。

ただ資産形成や資産運用にあたって個人それぞれの考え方や資産の状況は異なりますので、あくまで基本と考えていただければ良いと思います。

投資をするにあたり中心になるのは株式と思いますが、株式は値動きが大きく値崩れする事もありますので、長期で保有することにより時間を味方につけてリスクを抑え、複利効果も利用する事ができます。また積立により投資するタイミングを分散して価格変動を平均化する事ができます。こうした時間の分散ばかりでなく、投資対象を分散することにより異なった値動きを取り入れ銘柄分散による価格の安定化を図る事ができます。このようにリスクを抑え株式の魅力を取り込んだ商品が株式のインデックス型投資信託になります。

投資初心者の方や若い方にはこうした商品が長期にわたっての資産形成に有効であり、長く続ける事ができるのではないかと思います。

全世界型投信

 株式のインデックス型投資信託で良くあげられるのが世界の株式に投資する全世界型です。世界への分散で通貨の分散も図られ為替の影響を抑える事ができます。また近年大きく上昇している米国株式型も良くあげられています。米国は世界の中心とも言える株式市場でアップルやグーグルなどの大手ハイテク企業もあり期待の大きな市場ですが、単一市場への投資はリスクが高まりますので、米国だけでなく日本や他の市場のインデックスも合わせて考慮していただき、分散を図り安定化を図るのが良いと考えます。

注意するポイント

またNISAでの運用は値上がり益が非課税になるだけでなく、投資信託の分配金なども非課税となります。定期的に安定した分配金を受け取りたい年金受給者などの方には高配当株式の投資信託もしくはリートや債券で運用する投資信託での利用も可能です。分配金の金額や決算(分配金支払い)時期を確認してください。ただし毎月分配型などの商品はNISAに採用されていないのでご注意ください。

 さて良いことの多い新NISAですが積立を始めてから、あるいはある程度まとめて投資をした後に市場が下落する事があります。しかし積立の場合は値下がりしている時は口数を多く購入する事ができ投資価格を下げる事ができます。積立の場合もまとめて投資した場合も基本的には慌てず持ち続ける事が肝要です。

 今年はウクライナや中東の問題も続く中で米国のリセッション懸念や中国のデフレ懸念などもあり、日米株式市場は荒れる場面もあるかもしれませんが、落ち着いて投資を継続される事をお勧めします。

 

非常に注目度が高いので「新NISA 考え方のキモ」は2週に渡って解説していきます。来週は具体的な銘柄選びに難しさを感じておられる方のサポートとなる内容など中心に扱っていきます。