XRP急騰の背景:3.6ドル突破の要因とは

2025年7月18日、XRPは前日比13%超の急騰を記録し、価格は3.6ドルに到達した。時価総額は2,000億ドルを超え、USDT(テザー)を抜いて暗号資産市場で第3位の座を奪取。この劇的な動きの背景には、米国における暗号資産規制の明確化があるとされる。

1‑1. CLARITY法案可決と規制の明確化

米国下院では今週、暗号資産業界に大きな影響を与える3つの法案が可決された。そのなかでも注目されているのが「CLARITY法案」だ。この法案は、これまで曖昧だったSEC(米証券取引委員会)とCFTC(商品先物取引委員会)の規制権限を明確化するもので、XRPのような暗号資産の法的地位をクリアにする画期的な内容となっている。

1‑2. SECとの和解案提出による投資家心理の好転

リップル社とSECの間で続いていた長期訴訟も大きく進展した。5月には、両者が共同で和解案を提出し、制裁金1億2,500万ドルのうち5,000万ドルをSECに支払い、残りをリップル社に返還する方針が明らかになった。この動きが「不透明だった法的位置付けの正常化」と受け取られ、市場には安心感が広がった。

1‑3. ビットコイン史上最高値更新とアルトコイン相場の追い風

また、7月14日にビットコインが史上最高値の123,000ドルを記録したことも、暗号資産市場全体、特にアルトコインの上昇を後押しした。イーサリアム(ETH)やステラ(XLM)、ソラナ(SOL)といった主要アルトコインも堅調な値動きをみせており、XRPの急騰はそのなかでも象徴的な動きだった。

八木編集長FOCUS

CLARITY法案とは何か:規制の境界線をどう引くのか

2‑1. SECとCFTCの管轄権明確化の内容

CLARITY法案は、暗号資産が「証券」か「コモディティ(商品)」かという根本的な問題に一定の線引きを設けた。具体的には、CFTCが暗号資産の現物市場を監督し、SECは投資契約の構造を含む場合に限り関与できると定義づけた。

2‑2. XRPが「デジタルコモディティ」扱いになる可能性

XRPについては、これまでSECが「未登録証券」として取り締まってきたが、今回の法案では、XRPのように広く流通している暗号資産は「デジタルコモディティ」とみなされる可能性が高まっている。これは、取引所への上場再開や流動性拡大にとって極めて重要な一歩となる。

2‑3. ほかのアルトコインへの影響(ETHなど)

この法案の影響はXRPに限らない。イーサリアムやソラナ、アバランチ(AVAX)などの主要アルトコインにも適用される可能性があり、規制の枠組みが明確になることで、アルトコイン市場全体に安定感をもたらすことが期待されている。

SECとの訴訟と和解案:本当の転換点か?

3‑1. 和解内容の詳細と支払いスケジュール

和解案では、リップル社がSECに対して一部制裁金の支払いを実施する一方、訴訟中に凍結された資金が順次返還されるスキームとなっている。2020年から続いた訴訟の出口がみえてきたことで、市場にとっては大きな転換点となっている。

3‑2. 長期訴訟がXRP市場に与えた影響

訴訟の長期化により、XRPは米国の一部取引所で取り扱い停止となり、時価総額も大きく後退した。しかし、今回の和解案提出と法整備によって、主要取引所での再上場の可能性が高まりつつある。これはアルトコイン投資家にとっても大きな朗報だ。

3‑3. 今後の展開:和解後のリスクと見通し

和解が成立すれば、XRPは再び米国市場での存在感を取り戻すだろう。一方で、今後の価格動向は依然として規制や大口保有者の売却動向に左右されるリスクも残されている。

アルトシーズン再来か?市場全体の動向

4‑1. ビットコイン高値、イーサリアムほか主要アルトコインの状況

XRP急騰の裏には、ビットコインを中心とした暗号資産市場全体の活況がある。特に時価総額上位のアルトコインは軒並み価格を伸ばしており、盛り上がりをみせた2021年水準の「アルトシーズン」の再来を予感させる展開となっている。

4‑2. 大口保有者の動きと短期リスク

一方で懸念材料もある。Decryptの報道によると、リップル社共同創業者のクリス・ラーセン氏が約2,600万ドル相当のXRPをコインベースに送金したとの情報があり、市場では「売却の可能性」が意識されている。これはアルトコイン市場全体に一時的な調整圧力を与える懸念材料となっている。

4‑3. XRPがアルトコイン市場を牽引するポテンシャル

XRPは、訴訟・法制度という2つの重しが解消されつつある今、アルトコイン市場のリーダーとしての地位を再び確立しようとしている。価格・取引高ともに存在感を増しており、今後の市場主導役としての期待は高い。

今後のリップル社戦略:RLUSDと二軸戦略

5‑1. GENIUS法案の可決とステーブルコイン「RLUSD」

同日可決されたGENIUS法案も見逃せない。この法案は、ステーブルコインの発行枠組みと監査体制を定めるものであり、リップル社が発行する米ドル連動型ステーブルコイン「RLUSD」の立ち位置を法的に明確化するものとなった。

5‑2. RLUSDとXRPのシナジー戦略

XRPは国際送金、RLUSDは価格安定性という性質の違いを活かし、リップル社は両者を使いわけた市場戦略を描いている。今後はRLUSDの商用展開とXRPの流通基盤が連携・強化され、リップル社の存在感がさらに高まる可能性がある。

5‑3. 規制整備後の今後の展望

米国での法制度整備が進むことで、リップル社はXRPとRLUSDを軸に、より透明性の高い事業展開が可能となる。国際市場や新興国での採用も見据えた戦略的拡大が進むだろう。

まとめ:XRPが今、転換点に立つ理由

XRPの今回の急騰は、一過性の投機的なものではない。CLARITY法案の可決による規制の明確化、SECとの訴訟和解という大きな2つの進展が重なったことで、XRPを取り巻く環境は大きく変化しつつある。さらに、アルトコイン市場の高まりやあらたなステーブルコイン戦略も、今後のXRPを語る上で欠かせない要素だ。

今後、XRPが規制の壁を越え、真のグローバル資産として飛躍するかどうか。今はまさにその分岐点にある。

XRPが史上最高値を更新、米仮想通貨法案の可決などが追い風に

[Iolite記事]
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