トランプ大統領の「ビットコイン準備金」設立

2025年3月7日、トランプ大統領が「ビットコイン準備金」を設立する大統領令に署名したことが大きな話題となった。そして、翌8日に開催されたホワイトハウス暗号資産サミットでは、この政策に関する具体的な説明が行われ、市場関係者や投資家の注目を集めた。

ホワイトハウス暗号資産サミットでの主な発表

サミットでは、サックス特命官をはじめとする政府高官が登壇し、ビットコイン準備金の運用方針について詳しく説明した。主なポイントは以下のとおり。

  1. 押収したビットコインは政府の資産として保持

    政府が刑事または民事の資産没収手続きで取得したビットコインは売却されず、準備金として蓄積される。

  2. ビットコインの監査と透明性の確保

    これまで完全な監査が行われていなかった米政府保有の約20万BTCについて、今後は定期的な監査を実施し、保有量を明確にする。

  3. 追加購入の可能性には言及せず

    一部の投資家が期待していた「政府による追加購入」については触れられず。

  4. アルトコインによって構成される見込みのデジタル資産準備金の詳細にも触れず

    ビットコイン以外の暗号資産によって構成される見込みのデジタル資産準備金についても、採用する暗号資産の詳細などは語られなかった。

八木編集長FOCUS

市場の反応と今後の展望

サミット後、ビットコイン市場は短期的に不安定な動きを見せた。理由は、市場が期待していた「政府の新規購入」が明確に示されなかったためだ。一方で、政府がビットコインを売却せず、価値保存の手段として保持する方針を打ち出したことは、中長期的にはプラス要因と受け止められている。

また、米国がビットコイン準備金の透明性を強化する姿勢を示したことで、他国政府も同様の準備金制度を検討する可能性があると指摘する声もある。特に、経済制裁リスクを回避しようとする国々や、インフレ対策としてデジタル資産を採用し始めた国々の動向に注目が集まっている。

利下げとビットコイン価格の関係

サミットとは別に、FRBの金融政策もビットコイン市場に影響を与える重要な要素だ。利下げが行われると、以下のことが考えられる。

  • 借入コストが低下し、投資家がリスク資産に資金を流入させやすくなる。
  • 短期金利と長期金利の差が拡大し、ステーブルコイン発行企業の利益が増加。

このため、今後のFOMCの金利政策次第では、ビットコイン価格がさらに上昇する可能性がある。

今後の注目点

  • 政府が準備金の管理方法をどう具体化していくか
  • 他国が同様にビットコイン準備金を設立するか
  • FRBの利下げペースとビットコインの価格推移

短期的には市場の期待とのズレからボラティリティが高まる可能性があるものの、長期的には政府のビットコイン保有戦略が価格にポジティブな影響をもたらすとみられている。今後の動向に引き続き注目したい。

米暗号資産サミット、トランプ大統領から重要発表なし 市場の期待を下回る内容に

[Iolite記事]
米暗号資産サミット、トランプ大統領から重要発表なし 市場の期待を下回る内容に