仮想通貨(暗号資産)取引では「ガス代」が発生するケースがあります。特にイーサリアムはガス代が高騰しており、効率的な取引をするためにも正しい知識が必要です。

本記事では、仮想通貨(暗号資産)のガス代の定義や確認方法、イーサリアムのガス代が高騰している理由から節約方法までを解説します。効率良く取引を行いたい方はぜひ参考にしてください。

ガソリンスタンドのイラストと仮想通貨

仮想通貨(暗号資産)のガス代とは「取引手数料」のこと

仮想通貨(暗号資産)のガス代とは、主にイーサリアムの取引で発生する手数料を指します。イーサリアムはスマートコントラクトによって取引や決済が自動化されており、その自動プログラムを実行する処理費用としてガス代が支払われる仕組みです。

ビットコインにガス代は発生しない

なお、ビットコイン取引にガス代は発生しません。なぜなら、ビットコインのスマートコントラクトは、イーサリアムよりもシンプルな設計になっているからです。複雑なプログラム処理を行う必要がないため「送金手数料のみ」で利用できます。

ガス代の単位と計算方法

イーサリアムにおけるガス代の単位は「1Gwei(ギガウェイ)=0.000000001ETH」です。なお、ガス代に使用される通貨は、利用するブロックチェーンと同じものになります。

そして、ガス代の計算方法は以下の通りです。

「ガス代=(ガスプライス+プライオリティフィー)×ガスリミット」

聞き馴染みのない言葉が多いかもしれませんので、各要素について簡単に解説します。

  1. ガスプライス(基本手数料)
  2. プライオリティフィー(優先手数料)
  3. ガスリミット(ガス限度額)

ガスプライスは、取引の基本手数料です。ネットワークが混雑するほど高くなります。プライオリティフィーは、マイナー(承認作業者)に支払う手数料で、多く支払うほど取引が早く処理されます。

ガスリミットは、支払い上限金額です。ユーザーが自由に設定できますが、低く設定しすぎると取引が停止してしまう可能性があるため適切に設定しましょう。

Ethereum Gas Trackerのスクリーンショット

引用元|https://etherscan.io/gastracker

ガス代をリアルタイムで確認する方法

イーサリアムのガス代は、Etherscanの「Ethereum Gas Tracker」でリアルタイム確認ができます。

優先度に応じて3段階に分けられたガスプライス(基本手数料)が掲載されていますので、一度確認してから取引を行うのがおすすめです。

イーサリアム

イーサリアムにガス代が必要な3つの理由

イーサリアムにガス代は必要不可欠なものです。その理由は、以下3つの理由が挙げられます。

  1. ブロックチェーンを維持するため
  2. ネットワークの負担を軽減するため
  3. セキュリティー対策に役立つため

順番に解説します。

ブロックチェーンを維持するため

イーサリアムはブロックチェーン技術によって存在しているプラットフォームです。そのブロックチェーンを維持するためにガス代は欠かせません。

なぜなら、ガス代は「マイナーへの報酬」として支払われているからです。マイナーとは「暗号資産(仮想通貨)の取引をブロックチェーンに記録する承認作業を行っている人」を指します。この承認作業なくして取引や決済は成立しません。

マイナーが承認作業を行うのは「報酬目当て」であるケースがほとんどです。ボランティアでするほど簡単な作業ではないため、無報酬で活動を促すのは難しいでしょう。

ブロックチェーンを維持するには、マイナーに活動を継続してもらう必要があります。その活動の原動力をガス代が担っているわけです。

ネットワークの負担を軽減するため

ガス代が必要なのは、ネットワークの負担を軽くするためでもあります。イーサリアムはビットコインに次いで時価総額の高い仮想通貨(暗号資産)です。

利用者が増えると、イーサリアムのネットワークに大きな負担がかかり、取引のスピードが著しく落ちてしまいます。場合によってはパンクしてしまうかもしれません。

しかし、ガス代を設定しておけば、ユーザーはその金額を考慮した上で利用するようになります。このようにガス代はユーザーの利便性を保つ役割もあるのです。

セキュリティー対策に役立つため

ガス代は、セキュリティー対策においても重要な役割を果たしています。イーサリアムをはじめとするブロックチェーンは、悪意のあるハッカーからサイバー攻撃を受けるリスクがあります。

しかし、ガス代はすべての取引で発生するため、ハッカーの攻撃モチベーションを下げる可能性が高いのです。仮にガス代が存在しなければ、ハッカーは攻撃し放題と言っても過言ではありません。

このように、ガス代は安全性を高めるためにも必要な要素なのです。

上昇するの矢印とイーサリアム

イーサリアムのガス代が高騰している2つの理由

イーサリアムにガス代は必要不可欠ですが、近年は価格高騰がたびたび問題視されています。この価格高騰の原因は以下の2つです。

  1. イーサリアムの価格が上昇しているため
  2. ネットワークが混雑しているため

それぞれ解説します。

イーサリアムの価格が上昇しているため

まずはイーサリアムの価格が上昇していることが考えられます。ガス代の支払いに使用するのは、利用するブロックチェーンと同じ仮想通貨(暗号資産)とお伝えしました。つまり、利用する仮想通貨(暗号資産)の価格が上がれば、ガス代も高くなることを意味します。

イーサリアムは、ビットコインに次ぐ時価総額であることはもちろん、DiFi(分散型金融)やNFTが普及することへの期待からも多くの注目を集めています。そのため、イーサリアムの価値とともにガス代も高騰してしまうのです。

ネットワークが混雑しているため

ガス代はネットワークの負担を軽くする役割があります。そのため、ネットワークが混雑するほど基本手数料が高くなる仕組みです。

イーサリアムは注目度の高い銘柄であるため、利用者が急増するシーンがあります。ブームやトレンド上昇によって利用者が急増したタイミングで取引をすると「ガス代が高すぎる」と感じるかもしれません。

下降する矢印とイーサリアム

イーサリアムのガス代を節約する3つのコツ

イーサリアムのガス代を節約したいなら、以下3つを意識しましょう。

  1. 混雑する時間を避けて利用する
  2. 1度にまとめて取引をする
  3. ガスリミットを低く設定する

順番に解説します。

混雑する時間を避けて利用する

ガス代はネットワークの負担を調整するため、利用者が多い時間に価格高騰を見せる傾向があります。しかし裏を返せば、利用者が少ない時間帯を避ければお得に取引できるということです。

利用者が少ない時間帯は時期やトレンドによって異なりますが、日本の場合、基本的には「平日の午後〜夕方」は少ない傾向にあります。

イーサリアムのガス代は「Ethereum Gas Tracker」でリアルタイム確認できますので、少しでも安い時間帯を狙って賢く取引しましょう。

1度にまとめて取引をする

イーサリアムは取引をするたびにガス代が発生します。そのため複数回に分けることはせず、極力まとめて取引完了させるのがおすすめです。

複数のアドレスに送金する際も、それぞれ個別に送るのではなく一括送金を利用しましょう。

ガスリミットを低く設定する

イーサリアムのガス代は、ガスリミット・ガスプライス・プライオリティフィーの3要素で決まります。このうち「ガスリミット(限度額)」はユーザーが自由に設定可能です。限度額を決めることで必要以上の出費を防げます。

ガスリミットは承認速度に関わる数字ですが、急ぎの取引でなければ低めに設定しておくといいでしょう。とはいえ、あまりにも低く設定しすぎると、取引失敗になる可能性もあります。Ethereum Gas Tracker」を確認して適切な上限設定をしましょう。

イーサリアムとビットコイン

まとめ

本記事では、仮想通貨(暗号資産)のガス代に関する基礎知識を解説しました。最後にあらためて記事内容を簡潔におさらいしましょう。

  • ガス代=取引手数料
  • 主にイーサーリアムの手数料を指し、ビットコインでガス代は発生しない
  • ガス代はブロックチェーンの維持・利便性の担保・セキュリティ対策で必要不可欠
  • イーサリアムは利用者が多いためガス代が高騰しやすい
  • 安く抑えたいなら混雑状況・送金回数・ガスリミットの調整に注目する

ガス代について嫌悪感を抱いていた方は多いかもしれません。しかし、ガス代は仮想通貨(暗号資産)取引を楽しむためになくてはならない存在です。

イーサリアムのガス代は高騰しやすく負担が大きいかもしれませんが、時間帯や設定次第で安く抑えられます。ぜひ本記事をもう一度読み返し、賢く取引する方法を考えていきましょう。

なお、本サイトではイーサリアムをはじめ、さまざまな仮想通貨(暗号資産)の情報を紹介しています。興味があれば、ぜひ知識の吸収にお役立てください。

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