トランプ発言で株高・BTC底堅し!今週はFOMC・AI株決算が焦点に|週間ビットコイン予想 2025.10/27-11/02
先週の米国金融市場の概況
先週の米国金融市場は、前週からの堅調な雰囲気を引き継いで始まりました。特にトランプ大統領による対中貿易交渉に対する前向きで楽観的な姿勢が好感されていました。週を通じて金利は緩和気味で、株式市場は堅調に推移し、暗号資産(仮想通貨)は底を固めてきたとみられます。
市場環境の背景
- 金利低下(利下げ観測の高まり)は、一般的に株式の割引率を下げ、バリュエーションを押し上げやすい環境を作ります。
- 政策の先行き(関税や金融緩和)に対する期待はリスク選好を刺激し、株式や一部の暗号資産のパフォーマンス改善につながりやすい傾向があります。
- 暗号資産はリスク資産としての性格が強く、株式市場の方向性や米ドルの動き(ドル安・ドル高)に影響を受けやすい側面があります。
先週の株式とBTCの動き
10月20日(月)の米国株式市場は、前週の堅調地合いを引き継ぎ始まりました。さらにトランプ大統領による関税政策緩和の報道があり、株式市場は大幅高となりました(NYダウ平均+515ドル、S&P500+71、NASDAQ+310)。暗号資産もBTC(ビットコイン)は108,600ドル近辺(約1,640万円台前半)から始まり、111,700ドル周辺(約1,680万円台半ば)まで上昇する場面もありました。最終的には110,500ドル(約1,670万円)近辺で終えています。
関税緩和観測は企業のコスト低下やサプライチェーン改善期待につながり、特にグロース銘柄やグローバル・エクスポージャーの大きい銘柄の追い風になりやすい局面です。BTCの反発は株高・金利低下が同時に進む「リスクオン」地合いの影響を受けた可能性があります。
10月21日(火)は株式市場でIT・ハイテク株が一服しましたが、次回FOMC(連邦公開市場委員会)での追加利下げ期待から全体は堅調さを維持しました。暗号資産もIT・ハイテクの影響で一服となり、BTCは108,000ドル台前半(約1,640万円台半ば)でした。
セクター内の利益確定は出つつも、マクロ主導(金融政策期待)で指数レベルの底堅さが維持された形です。BTCの動意は薄く、テックと同様にイベント前の様子見姿勢が強まったと考えられます。
10月22日(水)は米国政府による中国向けソフトウェア輸出規制の計画を検討とのニュースが伝わり、IT・ハイテク株を中心に株式市場では利益確定売りが出て、ダウ平均で334ドル安となりました。暗号資産も影響を受けてやや小安い動きで、BTCは108,000ドルから107,500ドル台(約1,630万円台半ば)でした。
地政学や規制面のヘッドラインは、マルチプルや成長見通しへの不確実性を高め、ボラティリティを増幅しがちです。暗号資産もセンチメント悪化の影響を受けやすい局面でした。
10月23日(木)は株式市場で買い戻しが入り小反発となりました。またトランプ大統領がロシアの二大石油会社に追加制裁を発表し、原油価格が急騰しました。暗号資産市場も小反発となりました。BTCは107,500ドル近辺(約1,630万円台半ば)から始まり、110,000ドル近辺(約1,680万円近辺)でした。
エネルギー価格の急騰はインフレ再燃懸念を高める一方、短期的にはエネルギー関連株の支援材料となることがあります。暗号資産はリスクの混在(インフレ警戒とリスク選好)で方向感が揺れやすい状況でした。
10月24日(金)は取引開始前に米国のCPI(消費者物価指数)9月分が発表され、その結果を受けてFOMCでの追加利下げを正当化する内容だとして、株式市場では買いが強まりました。さらに12月のFOMCでの利下げも織り込む動きが強まり、ダウ平均は+472ドルと上昇し、3つの株価指数は最高値を更新しました。暗号資産もしっかりした動きで、BTCは110,000ドル近辺から始まり、111,000ドル近辺(約1,690万円台後半)で終わりました。
アルトコインの概況
ETH(イーサリアム)とXRP(エックスアールピー)の値動きは、週を通じてBTCの動向をおおむね追随する展開となりました。ETHは週初に60.2万円近辺(約3,940ドル)からスタートし、21日には一時62.4万円近辺(約4,080ドル)まで上昇しましたが、上値の重さを確認した後に下押ししました。その後は買い戻しが入り、最終的に60万円台前半(約3,900ドル近辺)で週を終えています。XRPは週初に380円台半ば(約3.50ドル)まで上昇したものの、同様に反落して350円台半ば(約2.30ドル台)まで下押しした後、再び買いが入り380円台半ばまで戻しました。BTC、ETH、XRPはいずれも短期的な調整局面を経て、テクニカル的には下値を固めつつあるとみられます。
ETHは依然としてオンチェーン上のステーキング需要が底堅く、L2(レイヤー2)ネットワークの拡大による取引手数料の安定化が評価されています。一方で、米国におけるステーキング規制議論やETF承認の進展状況が今後の上値を左右する要因となりそうです。XRPについては、SEC(米証券取引委員会)との訴訟問題が一段落した後の市場再評価が進むなか、国際送金インフラとしての採用事例が増加しており、ファンダメンタルズは徐々に改善しています。中長期的には、これらのアルトコインがBTC主導の相場から独自の値動きを形成できるかが焦点となります。
また、インフレ指標の鈍化は名目金利及び実質金利の低下期待を通じて、長期デュレーション資産――すなわち成長株や一部の暗号資産――への資金流入を促しやすい局面です。特にETHのように「ネットワーク利用拡大」と「収益性向上(バーンメカニズムによる供給減)」が同時に進む資産は、金融緩和局面において相対的な優位性を発揮しやすい構造にあります。XRPもまた、クロスボーダー決済の実需が下支えとなり、ボラティリティを抑えながら底堅い推移をみせる可能性があります。
総じて、主要アルトコインは短期的なテクニカル反発に加え、マクロ環境の追い風を受けて緩やかな上昇トレンドへ移行する兆しが見え始めています。
今週の経済イベントカレンダー
Calendar of Economic Events This Week
| 月 | 日 | 曜日 | 日本時間 | 国 | 経済イベント | 重要度 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 10 | 27 | 月 | 未定 | 米国 | 耐久財受注 9月(速報) | ★★★★☆ |
| 10 | 27 | 月 | 未定 | 米国 | 新規失業保険申請件数 10/12-10/18 | ★★★☆☆ |
| 10 | 28 | 火 | 22:00 | 米国 | S&Pケースシラー住宅価格指数 8月 | ★★★☆☆ |
| 10 | 28 | 火 | 23:00 | 米国 | リッチモンド連銀製造業指数 10月 | ★★★☆☆ |
| 10 | 28 | 火 | 23:00 | 米国 | CB(コンファレンスボード)消費者信頼感指数 10月 | ★★★★☆ |
| 10 | 29 | 水 | 27:00 | 米国 | FOMC(連邦公開市場委員会)政策金利 | ★★★★★ |
| 10 | 30 | 木 | 未定 | 日本 | 日本銀行 金融政策決定会合 | ★★★★☆ |
| 10 | 30 | 木 | 19:00 | ユーロ圏 | 2025年 第3四半期GDP(速報) | ★★★★☆ |
| 10 | 30 | 木 | 未定 | 米国 | 2025年 第3四半期 実質GDP(速報) | ★★★★★ |
| 10 | 30 | 木 | 未定 | 米国 | 新規失業保険申請件数 10/19-10/25 | ★★★☆☆ |
| 10 | 30 | 木 | 22:15 | EU | ECB 政策金利 | ★★★★★ |
| 10 | 31 | 金 | 08:50 | 日本 | 鉱工業生産・小売業販売額 9月 | ★★★☆☆ |
| 10 | 31 | 金 | 10:30 | 中国 | 製造業・サービス業PMI 10月 | ★★★☆☆ |
| 10 | 31 | 金 | 19:00 | ユーロ圏 | 消費者物価指数(HICP) 10月(概算値) | ★★★☆☆ |
| 10 | 31 | 金 | 未定 | 米国 | 個人消費支出(PCE)価格指数 9月 | ★★★★☆ |
| 10 | 31 | 金 | 22:45 | 米国 | シカゴ購買部協会景気指数(PMI) 10月 | ★★★☆☆ |
※米国政府機関の閉鎖は続いており、政府機関発表予定の経済指標については、当初の日程をもとに掲載しております。
今週注目の決算発表
| 日付 | 企業 | 補足 |
|---|---|---|
| 10月29日(水) | Alphabet|META|Microsoft | 主要AI/クラウド関連の業績とガイダンスに注目 |
| 10月30日(木) | Apple|Amazon | ハード&サービス、EC・クラウドの収益動向が焦点 |
今週の展望と注目材料
今週はマグニフィセント7のうち5社が決算発表を予定しています。そして29日にFOMC、30日に日銀の金融政策決定会合があります。今週決算を発表する5社は、AIへの積極的な投資によって株式市場を約3年間牽引してきました。
しかし、この大規模な投資がいつ収益化するのか疑念が強まっており、現在の熱気が冷めてしまう可能性もあります。株式市場では楽観的な見方があるものの、「今週の決算発表次第で株価が今後も上昇するのか、一服するのか、あるいは下落するのかが決まる可能性がある」とみています。米国株式市場にとって非常に重要な週になると考えられます。
28日〜29日開催のFOMC
一方、28日〜29日に開催されるFOMCでの利下げは確実視されており、パウエルFRB議長による記者会見での今後の利下げに関するコメントが注目されます。インフレへの警戒感が依然として残るなか、金融市場では12月の利下げも織り込む動きとなっています。前述した企業の決算内容にもよりますが、金融政策の方向性も株式市場の今後を左右する重要な要因となります。
また米国の金融緩和はドル安につながる可能性もあり、ドルへの信認について金融市場や外国為替市場がどのように反応するのかが注目されます。ドル安となれば、安全資産あるいは逃避資産として金・銀などの貴金属や暗号資産が選ばれると考えられます。
上昇が著しい貴金属と下値を固めつつある暗号資産のこれからの動きに注目です。今週の暗号資産については、こうした動きをみながら徐々に下値を切り上げる展開を期待しています。
決算の読みどころ
- AI投資の収益化タイミング:研究開発費や設備投資(データセンター、GPU・アクセラレータ)に対する収益回収の道筋。
- クラウド需要:企業IT支出の回復度合いと生成AIワークロードの寄与。
- マージン動向:粗利や営業利益率の改善が継続するか、価格改定やミックスの影響。
投資上の留意点
- イベント前後はボラティリティが上昇しやすく、ポジションサイズ管理とヘッジ手段の検討が重要です。
- 金融政策・企業決算・地政学など複合要因によって資産クラス間の相関が変動しやすいため、注意が必要です。