BTC・ETH・XRPは軟調推移、週末の雇用統計がカギ|週間ビットコイン予想 2025.9/29-10/05
2025.09.30
先週の米国金融市場・暗号資産市場の総括
先週の米国金融市場ならびに暗号資産市場は、底堅い動きを予想していたものの週末に発表されるPCE(個人消費支出)価格指数を意識し、やや上値が重く総じて軟調な展開となりました。
9月22日(月)
22日週初の株式市場はやや軟調からのスタートとなりましたが、売りの一巡後は底堅い動きとなり、小幅上昇しました。暗号資産は総じて上値が重く、BTCは115,200ドル台(約1,700万円台)から始まりましたが、目立った動きはなく112,600ドル台(約1,660万円台)で終わりました。
9月23日(火)
23日はパウエルFRB議長がロードアイランド州グレーター・プロビデンス商工会議所で「短期的なインフレへのリスクは上方向、雇用へのリスクは下方向に傾いており、厳しい状況です。両面のリスクがあるということは、リスクのまったくない道は存在しないことを意味します」と語りました。また「労働力の供給と需要の双方が顕著に鈍化しており、これは異例かつ困難な展開です。労働市場は活力が弱まりやや軟化しており、雇用への下振れリスクは高まっています」と述べ、10月に開かれる次回FOMC(連邦公開市場委員会)会合で利下げを支持するかどうかについては示唆しませんでした。この講演の後、株式市場は下げを強め、さらに9月30日を期限とするつなぎ予算を巡る思惑から一段と下げを強めました。暗号資産もBTCは112,600ドル台(約1,660万円台)から113,300ドル(約1,670万円台半ば)近辺まで進みましたが、112,000ドル割れ(約1,650万円台半ば)で終わりました。

9月24日(水)
24日はNVIDIAとOpenAIの提携をきっかけに、株式市場ではAI業界の循環的な性質への懸念が強まりました。また先行きの好材料が株価に織り込み済みとの見方や、パウエル議長が前日の講演で高バリュエーションへの言及をしたこともあり、投資家は利益確定を進めている可能性が指摘され、3指数は下落しました。BTCも112,000ドル近辺から始まり114,000ドル(約1,700万円)近辺までありましたが、113,300ドル(約1,690万円)近辺で終えました。
9月25日(木)
25日には経済指標の発表が相次ぎました。米国の2025年第2四半期GDP確報値は前年比+3.8%と上方改定されました。これは輸入減少と個人消費の増加によるもので、特に上方改定の大部分は消費の+2.5%が占めています。また失業保険申請件数が21.8万件と前週から1.4万件減少し、市場予想の23.3万件を大きく下回りました。この結果は「労働市場は厳しくなっているものの、レイオフは限定的にとどまっていることを示唆し、リセッションには達していない」との見方になりました。こうした経済の底堅さを見せた結果、「AI主導相場が息切れし上昇に勢いを欠き、上昇相場のラリーが一服した」との懸念が台頭し、株式3指数は下落しました。BTCも113,300ドル近辺から108,600ドル台(約1,630万円近辺)まで下落し、109,000ドル近辺(約1,630万円台半ば)で終わりました。
9月26日(金)
26日は週初より注目されていた8月のPCE価格指数が朝方に発表され、予想された水準であったことから株式市場には安心感が広がり反発しました。暗号資産市場も同じような動きとなり、BTCは109,000ドル近辺(約1,630万円台半ば)から始まり、110,300ドル近辺(約1,650万円台前半)まで上昇し、109,600ドル台(約1,640万円台前半)で週を終えました。
ETHの動向
イーサリアム(Ethereum:ETH)は週初、4,400ドル近辺(約66万円近辺)から取引を開始しました。株式市場の調整や米経済指標発表をにらみつつ推移するなかで、暗号資産全般の上値の重さを反映し徐々に軟化しました。特に25日には米国のGDP確報値が強い内容で、リスク資産全般が売られる流れとなったことでETHも連れ安となり、3,830ドル台前半(約57万円台前半)まで下落しました。その後はPCE価格指数の発表を受けた安心感から下げ止まり、週末には4,030ドル台半ば(約60万円台半ば)で取引を終えました。結果的にETHは週を通じて日本円換算で約10万円幅の下落を経験し、依然としてBTCの値動きに強く連動する展開となりました。
XRPの動向
エックスアールピー(Ripple:XRP)は週初に440円近辺でスタートしましたが、市場全体のセンチメント悪化や米金融政策の先行き不透明感を背景に徐々に下落基調を強めました。特に24日から25日にかけての米株式市場の下げ局面では、XRPも売り圧力が強まり400円台半ばまで下落しました。ただし、週末にかけて発表されたPCE価格指数が予想通りの結果となったことで市場心理はやや改善し、XRPも下げ渋る形となり2.70ドル台後半(約410円台後半)で週を終えました。全体として、XRPは週を通じて値幅は限定的だったものの、BTCやETHと同様に外部要因に左右されやすい展開であることが浮き彫りとなりました。
今週の経済イベントカレンダー
Calendar of Economic Events This Week
月 | 日 | 曜日 | 日本時間 | 国 | 経済イベント | 重要度 |
---|---|---|---|---|---|---|
09 | 30 | 火 | 10:30 | 中国 | 購買担当者景気指数(PMI)製造業・サービス業9月 | ★★★☆☆ |
09 | 30 | 火 | 22:00 | 米国 | S&P ケースシラー住宅価格指数7月 | ★★★☆☆ |
09 | 30 | 火 | 22:45 | 米国 | シカゴ購買部協会景気指数(PMI)9月 | ★★★☆☆ |
09 | 30 | 火 | 23:00 | 米国 | JOLTS 求人件数8月 | ★★★★☆ |
09 | 30 | 火 | 23:00 | 米国 | CB(コンファレンスボード)消費者信頼感指数9月 | ★★★★☆ |
10 | 01 | 水 | 18:00 | ユーロ圏 | 消費者物価指数(HICP)9月 | ★★★☆☆ |
10 | 01 | 水 | 21:15 | 米国 | ADP 雇用者数9月 | ★★★★☆ |
10 | 01 | 水 | 23:00 | 米国 | ISM 非製造業景気指数9月 | ★★★★★ |
10 | 02 | 木 | 21:30 | 米国 | 新規失業保険申請件数9/21-9/27 | ★★★☆☆ |
10 | 03 | 金 | 18:00 | ユーロ圏 | 生産者物価指数(PPI)9月 | ★★☆☆☆ |
10 | 03 | 金 | 21:30 | 米国 | 雇用統計9月(非農業部門就業者数・失業率・平均時給) | ★★★★★ |
10 | 03 | 金 | 22:45 | 米国 | サービス業PMI9月 | ★★★☆☆ |
10 | 03 | 金 | 23:00 | 米国 | ISM 非製造業景気指数9月 | ★★★★★ |
PCE価格指数とは
PCE価格指数は米国の家計が実際に購入した財・サービスの価格動向を示すインフレ指標で、FRBが金融政策の判断材料として重視します。変動の大きい食品・エネルギーを除いたコアPCEは基調的な物価トレンドを把握するのに用いられ、政策金利の先行きを占う上で市場の注目度が高い指標です。
JOLTS・ADP・雇用統計の位置づけ
JOLTS求人件数は労働需給の逼迫度を測る先行指標、ADP雇用者数は民間部門の雇用動向の速報、そして月次の米雇用統計(非農業部門就業者数・失業率・平均時給)は景気と賃金インフレの方向性を総合的に示します。今週はこれらが連続して公表されることから、利下げペースや年内の政策見通しに対する市場の期待を左右しやすい局面といえます。
AI関連ニュースの市場インパクト
半導体や生成AI関連は業績期待が株価に先行して織り込まれやすく、バリュエーションが高止まりする局面ではポジション調整の売りが出やすくなります。先週の「提携」や「供給動向」に関するニュースは、好材料一巡の見方や循環色の強まりを意識させ、指数全体の重しとなりました。

今週の相場見通し
今週は週末に発表される米雇用統計が最大の注目イベントとなります。雇用統計では特に「NFP(非農業部門就業者数)」「失業率」「平均時給」の3つの指標が注目されます。これらは米国経済の強さや労働市場の逼迫度、賃金インフレの持続性を示す材料であり、FRBの政策スタンスを占う上で大きな意味を持ちます。
注目ポイント
- NFP(非農業部門就業者数):前月比で大きく増加すれば労働需要の強さを裏付け、金利高止まり観測が再燃します。逆に予想を下回ると、利下げ期待が急速に高まる可能性があります。
- 失業率:小幅な上昇であれば「労働市場の軟化」と受け止められますが、大きく跳ね上がれば景気後退懸念が意識され、市場に動揺を与えます。
- 平均時給:インフレ圧力を測る上で重要です。賃金上昇が鈍化すればインフレ沈静化を示唆し、利下げ期待を後押しします。逆に賃金上昇が強ければFRBの引き締め姿勢が長期化する可能性があります。
シナリオ別の市場予測
- 強い雇用統計(NFP・賃金とも予想超え):米国経済の底堅さが意識され、株式市場は一時的に安心感を得るものの、利下げ観測が後退して上値の重い展開となるでしょう。暗号資産市場もリスク回避の売りが優勢となり、BTCやETHは再び下押しされる可能性があります。
- 弱い雇用統計(NFP・賃金とも予想下振れ):労働市場の軟化を背景に利下げ期待が急浮上し、株式市場・暗号資産市場ともに急反発する展開が想定されます。BTCは節目の110,000ドル台を突破する勢いが出る可能性があり、ETH・XRPなども連れ高が期待されます。
- まちまちな結果(就業者数は強いが賃金が鈍化、またはその逆):解釈がわかれやすく、市場は方向感を欠いたボラタイルな展開となるでしょう。発表直後は乱高下し、その後にFRB関係者の発言や翌週以降の経済指標で方向性を探る動きになる可能性が高いです。
総じて、今週の雇用統計はFRBの年内利下げの可能性を大きく左右する重要イベントです。発表結果によっては「利下げが2回から1回へ」「あるいは利下げなし」といったシナリオ変更が一気に織り込まれる可能性もあり、各市場に大きなインパクトを与えると考えられます。
総括とリスクシナリオ
FOMCでの利下げ決定から年末に向けて利下げ期待相場が続くのかと思われましたが、「噂で買って事実で売る」との動きも強まり、さらに米国経済の底堅さを示す経済指標の発表が相次ぎ、思わぬ上値の重い展開が続いています。今週は週末の雇用統計を控えて慎重な相場地合いが考えられ、金融市場、暗号資産市場ともに小幅の動きとなりそうです。ただし、労働市場に関する発表で厳しい内容が出るようであれば、にわかに利下げ期待が強まり、各市場とも急伸する展開も考えられます。
投資家の皆様におかれましては、引き続き経済指標の発表を注視していただき、暗号資産の価格動向には十分に注意していただければと思います。
BTC積立企画
2023年6月から月毎に10万円分の暗号資産を実際に積み立てていき、そのポートフォリオを公開する企画です。ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、日本の取引所でも取り扱われており、米ドルとペッグ(連動)するステーブルコインであるダイ(DAI)を対象としています。
これまでの暗号資産積み立ての状況
Accumulation Status
[期間:2023.06.05 〜 2025.10.13]
ポートフォリオの現在の資産価値
円
含み益(現在の資産価値 - 合計積立金額)
円
利益率
%
積み立て回数
16 回
合計積立金額
1,600,000 円
ポートフォリオの構成
ポートフォリオ
銘柄 | シンボル | 対円レート | 保有数量 | 日本円換算 | 構成比 |
---|---|---|---|---|---|
ビットコイン | BTC | [BTC/JPY]円 | 0.1523 BTC | 円 | % |
イーサリアム | ETH | [ETH/JPY]円 | 1.8884 ETH | 円 | % |
ダイ | DAI | [DAI/JPY]円 | 80 DAI | 円 | % |