米CPI・PPIで乱高下!株式市場とBTC・ETH・XRPの行方|週間ビットコイン予想 2025.8/18-24

先週の市場総括
先週の金融市場と暗号資産市場は、週央に発表されるCPI(消費者物価指数)やPPI(生産者物価指数)などの経済指標発表に加え、週末に予定された米ロ首脳会談などをにらみ、週初は様子見的な動きから始まり、週央に行ってこい的な上昇を各市場見せましたが、週末には息切れとなってしまいました。
8月11日(月)は、翌12日(火)に予定されている米CPIと14日(木)のPPIなどの発表を控えておとなしく様子を見る展開の日となりました。米国株式市場はNYダウ平均が-200ドル、S&P500が-16、NASDAQが-64と小安く終わり、BTCも119,200ドル(約1,760万円)近辺から始まり、一時122,300ドル(約1,800万円)近辺まで上昇しましたが、力は弱く118,600ドル(約1,750万円)近辺で終わりました。
CPI発表(8月12日・火)
12日に発表されたCPIは総合指数で前月比+0.2%と市場予想と一致し、コア指数も前月比+0.3%と、市場予想と一致しました。この結果は6月と比較しても大きな問題となるレベルではなく、市場は安心感に包まれました。9月の利下げ確率予想がほぼ確実視される状況となり、米国株式市場はNYダウ平均が+483ドル、S&P500が+72、NASDAQが+296と3指数とも大幅高となりました。暗号資産もこうした動きに呼応し堅調な動きを見せ、BTCは120,300ドル台(約1,780万円)近辺へ、ETHは4,650ドル(約68.5万)近辺へ上昇しました。
13日(水)は経済指標の目立った発表はなく株式市場ではIT株・ハイテク株は一服状態となりました。ただベッセント財務長官がインタビューで「0.5%の利下げをするべき」と大幅な利下げについてコメントしたことから、NYダウ平均は+463ドルと反応しました。(S&P500とNASDAQは小動き)また暗号資産も反応してBTCは123,600ドル台(約1,820万円近辺)、ETHは4,780ドル(約70.4万円)近辺まで上昇しました。
PPI発表(8月14日・木)
14日になるとこの日に発表されたPPIが3年ぶりの大幅な上昇となり、9月の利下げへの期待値が後退し、一部に出ていた0.5%の下げ幅は可能性がなくなりました。
生産者物価は、前月比+0.9%、前年同月比+3.3%で市場予想の+0.2%、+2.5%を大きく上回りました。金融市場では「今後数ヵ月のうちに関税の消費者価格への転嫁が強まる見込みで、2025年下期はインフレが緩やかに上昇する可能性がある」と見ています。今回の結果を受けて株式市場は上値が重かったものの、下値も堅い状況でした。しかし、暗号資産市場はBTCが124,400ドル台(約1,820万円台)まで進んでいましたが、117,200ドル割れ(約1,740万円近辺)まで急落し、118,300ドル(約1,750万円)近辺で終わりました。
15日(金)は米ロ首脳会談に行方を見守る中でミシガン大学消費者信頼感指数が発表され、予想外に低下しました。結果は58.6と発表され、市場予想は62.0で前月が61.7でしたので、大きく割るものとなりました。またインフレ期待についても 1年先が4.9%で市場予想の4.4%や前月の4.5%から大きく上昇し、5年先についても3.9%で市場予想と、前月の3.4%から同様の結果となりました。この内容についてミシガン大学は「消費者は将来的にインフレと失業がいずれも悪化すると見ている」とコメントしています。
株式市場はウォーレン・バフェット氏のバークシャー・ハサウェイの保有株状況が発表され、ユナイテッド・ヘルス株を新たに大きく買い付けていたことから同社株が大幅高となり、NYダウ平均は下げ渋りましたが、S&P500とNASDAQは小安く終わっています。
一方、暗号資産もこの日は上値が重く、BTCは119,200ドル台近辺までトライしましたが、結局117,300ドル台(約1,730万円)近辺で終わりました。

アルトコインの動き
ETHとXRPは、週を通じてBTCとほぼ同調する値動きを見せました。とりわけ13日(水)には米国の利下げ観測の高まりやベッセント財務長官の発言を背景にリスクオンムードが広がり、ETHは一時4,780ドル近辺まで上昇。XRPも3.35ドル(約490円台)を突破して年初来の高値圏に迫る展開となりました。
しかしその後はPPIの大幅上振れや米ロ首脳会談を巡る不透明感、さらにミシガン大学消費者信頼感指数の悪化によるリスク回避姿勢の強まりが重石となり、週末にかけて上昇分を吐き出す形で軟調に推移。最終的にETHは4,440ドル(約65.5万円)近辺、XRPは3.05ドル(約450円台半ば)で取引を終え、投資家心理の揺れとマクロ環境への過敏な反応が改めて示される結果となりました。
今週の経済イベントカレンダー
Calendar of Economic Events This Week
月 | 日 | 曜日 | 日本時間 | 国 | 経済イベント | 重要度 |
---|---|---|---|---|---|---|
08 | 19 | 火 | 21:30 | 米国 | 住宅着工件数 7月 | ★★★☆☆ |
08 | 20 | 水 | 18:00 | 欧州 | 消費者物価指数(HICP)7月 | ★★★★☆ |
08 | 20 | 水 | 27:00 | 米国 | FOMC議事録 7月 | ★★★★★ |
08 | 21 | 木 | 17:00 | 欧州 | 製造業PMI(速報値)8月 | ★★★☆☆ |
08 | 21 | 木 | 17:00 | 欧州 | サービス業PMI(速報値)8月 | ★★★☆☆ |
08 | 21 | 木 | 21:30 | 米国 | 新規失業保険申請件数 8/10-8/16 | ★★★★☆ |
08 | 21 | 木 | 21:30 | 米国 | フィラデルフィア連銀景況指数 8月 | ★★★★☆ |
08 | 21 | 木 | 22:45 | 米国 | 製造業PMI(速報値)8月 | ★★★☆☆ |
08 | 21 | 木 | 22:45 | 米国 | サービス業PMI(速報値)8月 | ★★★☆☆ |
08 | 21 | 木 | 23:00 | 米国 | 中古住宅販売件数 7月 | ★★★★☆ |
08 | 22 | 金 | 08:30 | 日本 | 消費者物価指数(CPI)7月 | ★★★★☆ |
08 | 22 | 金 | 終日 | 米国 | ジャクソンホール金融会合 | ★★★★★ |
注目ポイントと展望
今週のイベント・スケジュールを見ると注目されるのは、なんと言っても22日(金)から開催されるジャクソンホール金融会合でのパウエルFRB議長による講演でしょう。今週20日(水)に前回のFOMC議事録の公表もありますので、FOMCでどのような意見が具体的に出されたのかも明らかになり、現在90%の確率で確実視されている9月の0.25%利下げに関して、パウエル議長がどのようにコメントしていくのか注目されます。
これまで関税によるインフレ再燃を懸念して金利の据え置きを行ってきましたが、7月の雇用統計の結果を受けて、労働市場での雇用についてのリスクを意識しなくてはいけなくなってきました。次回のFOMCの予定は9月16日-17日で1ヵ月あり、それまでの経済指標発表として8月の雇用統計とCPIがあり、これらの結果も重要な要因となってきますが、現段階で金融当局、特にパウエル議長が9月の利下げおよび年内の利下げについて、どのように考えているのか知ることになります。
利下げの市場インパクト
利下げが9月に行われるとして、一般的に言われているように株価が上昇するようなリスクオンの状態になっていくのか、あるいは1974年以降9回の利下げ局面のうち株価が下落した3回のようになるのか、この3回は利下げが遅れ景気後退局面に入ってしまった結果と言われていますので、今後の景気動向が心配されることになります。
暗号資産市場の見通し
政府のデジタル資産諮問委員会の発表はひとまず終わったものの、その後に期待されていた具体的な支援策や制度の内容はまだ見えていません。そのため、暗号資産市場は「政策による追い風」がなく、当面は世界の金融市場の動きに大きく左右される展開が続きそうです。投資家にとっては、株式や金利、為替の動きに合わせて暗号資産も敏感に反応する「連動型の相場」が強まっている印象です。
今週も暗号資産市場は、米国の金利や株価、インフレ指標といった経済データの発表や国際情勢のニュースに注目しながらの推移が予想されます。特に、ウクライナ情勢などの地政学リスクやインフレに関わる数値はマーケットに大きな影響を与える可能性があります。上昇のきっかけになるには、「政策の具体化」や「金融市場全体のリスクオンムード」といった明確な材料が必要でしょう。
こうした中で投資家の皆さんには、日々の価格変動に一喜一憂するよりも、経済指標や世界情勢を意識しながら冷静にマーケットを見守り、慎重な判断を心がけることをおすすめします。