金利引き下げ期待と地政学リスク緩和で相場は上昇基調へ|週間ビットコイン予想 2025.8/11-17

先週の市場総括
先週の金融市場は米国経済の先行きについての不安感台頭と金利引き下げ期待、またウクライナ問題での米ロ首脳会談開催、トランプ政権の半導体およびチップ、医薬品への関税問題などにより、楽観論と慎重論のはざまでのボックス的な展開となりました。
週初は前週末に発表された米国雇用統計への反応が冷静さを取り戻して政策金利の引き下げが意識され、株式市場は大きく反発から始まり、さらにトランプ大統領とプーチン大統領による米ロ首脳会談が開催されるとのニュースから一段高となり、3指数とも上昇しました。またBTCは114,200ドル(約1,685万円)近辺から始まって115,000ドル台(約1,690万円台)で展開し、終値も115,000ドル台でした。
日別の動き
5日(火)はISM製造業景況指数が48.0と予想の49.6や前月の49.0を下回ったことから景気減速懸念が台頭し、戻り売り基調の日となりました。株式は3指数とも小安く、 BTCは115,000ドル台から112,000ドル台半ば(約1,660万円近辺)まで下押す場面も見られ、終値は114,100ドル近辺(約1,680万円近辺)でした。
6日(水)はAppleが米国内で1,000億ドルの投資を行うとのニュースが流れ、ハイテクを中心に株式市場は堅調な動きとなりました。また、暗号資産も底堅い動きとなりました。BTCは114,000ドル台(約1,680万円台)から始まり、115,000ドル台後半まで上昇しましたが、終値は115,000ドル手前でした
7日(木)は半導体およびチップに対する関税率が100%になるとトランプ大統領から発言があり、株式市場は揺れました。NYダウ平均は224ドル安でしたが、NASDAQはハイテクが支えて+73ポイントでした。BTCは徐々に上値に進み117,600ドル台(約1,730万円近辺)まで上昇し、117,400ドル台(約1,720万円台)で終わりました。
8日(金)は金融市場でのトピックスはありませんでしたが、米ロ首脳会談開催が決定し、地政学リスクの緩和が指摘され、株式市場はリスクオン・ムードが強まり、3指数とも上昇して週を終えています。(NYダウ平均:+206ドル、S&P500:+49、NASDAQ:+207)BTCは117,400ドル台から始まりましたが、上値は重く終値は116,600ドル台(約1,720万円台)でした。
一方、ETHやXRPの動きは、それぞれ週初に3,480ドル(約51.6万円近辺)と2.95ドル(約435円前後)から始まり、週を通じてどちらも落ち着いた下値の堅い動きを見せていました。週後半に入って木曜日、そして金曜日と堅調な動きとなり、特にETHは8日(金)に一時4,050ドル(約60万円台)に乗せる場面も見せていました。終値はETHが3,990ドル(約59.2万円近辺)、XRPが3.25ドル(約480円台半ば)となっています。
今週の経済イベントカレンダー
Calendar of Economic Events This Week
月 | 日 | 曜日 | 日本時間 | 国 | 経済イベント | 重要度 |
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08 | 12 | 火 | 21:30 | 米国 | 消費者物価指数(CPI)7月 | ★★★★☆ |
08 | 14 | 木 | 18:00 | 欧州 | ユーロ圏 鉱工業生産指数6月 | ★★★☆☆ |
08 | 14 | 木 | 18:00 | 欧州 | ユーロ圏 2025年第2四半期GDP | ★★★☆☆ |
08 | 14 | 木 | 21:30 | 米国 | 生産者物価指数(PPI)7月 | ★★★☆☆ |
08 | 14 | 木 | 21:30 | 米国 | 新規失業保険申請件数8/3-8/9 | ★★★☆☆ |
08 | 15 | 金 | 11:00 | 中国 | 小売売上高、鉱工業生産指数 7月 | ★★★☆☆ |
08 | 15 | 金 | 13:30 | 日本 | 鉱工業生産6月 | ★★★☆☆ |
08 | 15 | 金 | 未定 | 米国 | 米ロ首脳会談 | ★★★★☆ |
08 | 15 | 金 | 21:30 | 米国 | 小売売上高 | ★★★★★ |
08 | 15 | 金 | 21:30 | 米国 | NY連銀製造業景気指数 7月 | ★★★☆☆ |
08 | 15 | 金 | 22:15 | 米国 | 鉱工業生産指数7月 | ★★★★☆ |
08 | 15 | 金 | 23:00 | 米国 | ミシガン大学消費者信頼感指数8月 | ★★★★☆ |
今週の注目ポイント
今週は何といっても15日(金)に開催される米ロ首脳会談での結果です。ウクライナへの侵攻も長期となってきた中、トランプ大統領は停戦を求め、独自の停戦案をまとめています。一方、ロシアのプーチン大統領は停戦案に対してどのような考えを示すのでしょうか。初めて開催される会談になりますので、今後のウクライナ情勢の方向感を見出せるのか注目されます。
そのほかでは、やはり米国の物価動向がポイントになります。9月のFOMCに向けて雇用問題だけでなく、9月の利下げに大きな影響のあるデータのひとつです。インフレへの対応状況がどのようなデータとして出てくるのか注目されます。
また今月21日~23日には恒例となっているジャクソンホールでの会合が予定されています。ここでのパウエル議長の講演は最も注目されるものとなりますが、その講演への直前の材料としてCPIとPPIの発表があるわけです。
投資家への留意点
今週も金融市場そして暗号資産市場は、下値を堅めながら上値へチャレンジする週となりそうです。ただ米国企業の業績は好調と不調の2極化が進んでおり、景気の判断も難しい局面に入りつつあります。金融当局が今後どのような判断を下していくのかわかりませんが。 投資家の皆さまにおかれましては、経済指標の結果およびその後の価格動向には常に注意をお願いいたします。