ビットコイン備蓄戦略の行方は?今週のデジタル政策とFRBに注目|週間ビットコイン予想 2025.7/28-8/3
2025.07.28
先週の米国金融市場は、貿易交渉の大きな相手である日本やEUとの進展が注目される中で、株式市場を中心に一喜一憂する展開となりました。暗号資産市場では、そうした動きを睨みながらも独自の需給動向などの影響もあり、比較的小幅な中での動きとなりました。
先週の金融市場と暗号資産の動き
7月21日(月)の株式市場は前週からの好地合を引き継ぎ S&P500とNASDAQは最高値を更新する展開でした。暗号資産市場でもそうした中でビットコイン(BTC)は117,000ドル台(約1,740万円近辺)から始まり119,600ドル台(約1,770万円近辺)まで進みましたが、その後は売りもあり117,300ドル台(約1,730万円近辺)で終えています。
7月22日(火)はソフトバンクとオープンAIのプロジェクト「スターゲート」が立ち上げに苦労しているとのニュースもあり、IT・ハイテク株の上値が重く、株式市場の動きも鈍い1日となりましたが、暗号資産市場ではBTCが堅調な動きを見せ、一時12万ドル台(約1,770万円近辺)に乗せる場面もあり、119,900ドル台(約1,765万円近辺)で終えています。
7月23日(水)にはトランプ大統領から日本との貿易交渉に合意したとのニュースが発表され、これを好感したNYダウ平均では+507ドルと大幅高となりました。ただBTCは12万ドルにも乗せたものの、その後は売りがあって118,300ドル台(約1,730万円近辺)で終えています。
7月24日(木)は目立った材料もなく株式市場は小動き、暗号資産市場はやや上値の重い展開となり、BTCは117,100ドル台(約1,720万円台)まで下押す場面もありました。
7月25日(金)になると金融市場では、関税問題に関する懸念が緩和され、株式市場はS&P500とNASDAQが最高値を更新しています。しかし、暗号資産市場ではクジラによる移動のニュースが流れ、大量売りの懸念から一時114,700ドル台(約1,690万円台)まで下落しました。終値は117,600ドル台(約1,730万円台)となっています。

アルトコインの動き
先週のアルトコイン市場は、週初にかけてビットコインの堅調な動きに連動する形で上昇しました。中でも主要銘柄であるイーサリアム(ETH)とエックスアールピー(XRP)は、投資家のリスク選好姿勢の高まりを受け、買いが先行しました。
ETHは週明けにかけて3,830ドル(約56.9万円)近辺まで上昇し、日本円で見た際には、心理的な節目である57万円台を目前に一旦の天井をつける形となりました。また、XRPも3.6ドル(約537円)近辺まで上昇し、対ドル・対円ベースともにテクニカル的なレジスタンスを試す展開となりました。
しかし、23日以降はビットコインの上昇一服やハイテク株の上値の重さに伴い、再びリスクオフのムードが広がり、アルトコイン全体にも利確売りが波及しました。ETHは3,590ドル(約53.2万円)近辺まで調整し、短期的には再びサポート帯を探る動きとなりました。XRPも同様に3.15ドル(約465円)近辺まで反落し、上昇分をほぼ打ち消す形となっています。
週の後半はやや落ち着いた推移となり、ETHは週末終値でおおよそ3,700ドル(約55万円)近辺、XRPは3.15ドル近辺で取引を終えました。出来高面では週前半に増加した後、後半にかけてやや沈静化しており、短期筋による売買が中心だったことを示唆しています。
なお、先週は特に大きなファンダメンタル材料はなかったものの、ETHのステーキング報酬に関する新提案や、XRPの企業向け送金実証実験が一部報じられたことも、一時的な買い材料として意識されました。ただし、これらのニュースは市場全体のリスクオフに押され、価格上昇の持続には至りませんでした。
今週は、FOMCや暗号資産政策レポートなど重要イベントが集中しており、BTC主導で再びアルトコイン市場が動意づく可能性があります。特にETHはビットコインと並ぶ政策上の注目銘柄として、政策スタンスの影響を強く受けやすいため、動向を注意深く見守る必要があるでしょう。
今週の経済イベントカレンダー
Calendar of Economic Events This Week
月 | 日 | 曜日 | 日本時間 | 国 | 経済イベント | 重要度 |
---|---|---|---|---|---|---|
07 | 29 | 火 | 22:00 | 米国 | S&P ケースシラー住宅価格指数5月 | ★★★☆☆ |
07 | 29 | 火 | 23:00 | 米国 | JOLTS 求人件数6月 | ★★★★☆ |
07 | 29 | 火 | 23:00 | 米国 | CB(コンファレンスボード)消費者信頼感指数7月 | ★★★★☆ |
07 | 30 | 水 | 18:00 | 欧州 | ユーロ圏 2025 年第2四半期GDP | ★★★★☆ |
07 | 30 | 水 | 21:15 | 米国 | ADP 雇用者数7月 | ★★★★☆ |
07 | 30 | 水 | 21:30 | 米国 | 2025 年第2四半期GDP | ★★★★★ |
07 | 30 | 水 | 27:00 | 米国 | FOMC(連邦公開市場委員会) | ★★★★★ |
07 | 30 | 水 | 未定 | 米国 | 暗号資産政策レポート公表(デジタル資産諮問委員会) | ★★★★★ |
07 | 31 | 木 | 10:30 | 中国 | 購買担当者景気指数(PMI)製造業・サービス業7月 | ★★★☆☆ |
07 | 31 | 木 | 未定 | 日本 | 日本銀行金融政策決定会合 | ★★★★☆ |
07 | 31 | 木 | 21:30 | 米国 | 個人消費支出価格指数(PCE)6月 | ★★★★☆ |
07 | 31 | 木 | 21:30 | 米国 | 新規失業保険申請件数7/20-7/26 | ★★★☆☆ |
07 | 31 | 木 | 22:45 | 米国 | シカゴ購買担当者景気指数(PMI)7月 | ★★★☆☆ |
08 | 01 | 金 | 21:30 | 米国 | 雇用統計7月(非農業部門就業者数、失業率、平均時給) | ★★★★★ |
08 | 01 | 金 | 23:00 | 米国 | ISM 製造業景気指数7月 | ★★★★★ |
08 | 01 | 金 | 23:00 | 米国 | ミシガン大学消費者信頼感指数7月 | ★★★☆☆ |
注目の決算発表 ◎はマグニフィセント7 | ||||||
07 | 29 | 火 | VISA | |||
07 | 30 | 水 | ARM(アーム)、◎META(メタ)、◎MSFT(マイクロソフト) | |||
07 | 31 | 木 | ◎AAPL(アップル)、◎AMZN(アマゾン) |
政策的注目材料
今週の注目材料は、7月30日(水)のFOMC(連邦公開市場委員会)後のパウエルFRB議長による記者会見と同日に公表されるデジタル資産諮問委員会による暗号資産政策レポートの内容になります。また関税問題においても、7月27日(日)に米国とEUによる貿易交渉が合意したと発表があり、大きなポイントとして残っているのは中国との交渉に絞られてきました。こうした進展を受けて金融市場では、関税問題による懸念が薄らいでおり、下値のしっかりした地合での動きから始まりそうです。

暗号資産政策レポートと戦略的ビットコイン備蓄の行方
30日に公表が予定されているデジタル資産諮問委員会による暗号資産政策レポートは、米国政府のデジタル資産に対する長期的なスタンスを左右する重要なマイルストーンとなる見通しです。中でも特に注目されるのが、「戦略的ビットコイン備蓄(Strategic Bitcoin Reserve)」の今後の方針です。
本レポートでは、2025年3月にトランプ政権下で設立が発表された戦略的ビットコイン備蓄計画に基づき、米国政府が今後どのようなタイミングと規模でビットコインを追加購入するかについて、初めて具体的な方向性が示される可能性があります。すでに一定量のBTCが政府保有の形で管理されているとされており、その取り扱いや購買判断がマーケットに与える影響は極めて大きいとみられます。
特に、レポート内で「戦略的備蓄の拡大」や「国家主導での長期保有」といった文言が明記された場合、市場では政府によるBTCの“実質的な価値担保”と捉えられ、暗号資産市場への強力なフォローアップ材料となることが想定されます。機関投資家の安心感を後押しするだけでなく、米国外の政府や中央銀行が追随姿勢を見せる可能性も否定できません。
また、今回のレポートでは単に保有戦略の話に留まらず、SEC・CFTC間の所管整理や新たなデジタル資産分類ルールの提言が盛り込まれるとの見方もあり、これは中長期的な規制枠組みのベースライン形成に直結します。
加えて、レポートの作成主体であるデジタル資産諮問委員会(Digital Asset Advisory Committee)は、民間テック企業、金融機関、学識経験者、法曹界など多様なバックグラウンドを持つ専門家によって構成されており、その意見が反映されることで、内容には一定の客観性と現実性が期待されています。
暗号資産市場にとって本レポートは、単なる技術的文書以上の意味を持ちます。なぜなら、これは米国政府が暗号資産を「戦略的経済資産」として正式に位置づけるか否かの“意思表示”と見ることができるためです。発表後の市場反応はもちろんのこと、政策としての継続性や国際的な影響波及についても注視すべき内容と言えるでしょう。
FRBの利下げスタンス
一方で今回のFOMCは直近の経済指標の発表状況などから政策金利の変更はなく、維持されると予想されています。しかし、今後の利下げが想定されている中で、本当に利下げが行われるのか?利下げがあるとすればいつ頃になるのか?と、金融市場ではパウエルFRB議長のコメントからそれを探ろうとしています。パウエル議長のコメントがハト派的かタカ派的かで金融市場はもちろんですが、暗号資産市場も大きく反応する可能性があります。
今週の経済指標の重要性
また今週は、景気・物価・雇用と米国経済の根幹となる経済指標が数多く発表されますので、FOMCでの会合参加者の考え方もその後に変化する可能性があり、その他の発表についても十分に内容を吟味しないといけません。
投資家の皆さまには、今後の暗号資産政策の方向性が決まる週になるかもしれませんので、各市場と各発表内容について十分に注視していただきたいと思います。
BTC積立企画
2023年6月から月毎に10万円分の暗号資産を実際に積み立てていき、そのポートフォリオを公開する企画です。ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、日本の取引所でも取り扱われており、米ドルとペッグ(連動)するステーブルコインであるダイ(DAI)を対象としています。
これまでの暗号資産積み立ての状況
Accumulation Status
[期間:2023.06.05 〜 2025.08.17]
ポートフォリオの現在の資産価値
円
含み益(現在の資産価値 - 合計積立金額)
円
利益率
%
積み立て回数
16 回
合計積立金額
1,600,000 円
ポートフォリオの構成
ポートフォリオ
銘柄 | シンボル | 対円レート | 保有数量 | 日本円換算 | 構成比 |
---|---|---|---|---|---|
ビットコイン | BTC | [BTC/JPY]円 | 0.1523 BTC | 円 | % |
イーサリアム | ETH | [ETH/JPY]円 | 1.8884 ETH | 円 | % |
ダイ | DAI | [DAI/JPY]円 | 80 DAI | 円 | % |