AI関連株に再び懸念広がる。エヌビディア決算が市場の転換点に?|週間ビットコイン予想 2025.11/17-23
2025.11.17
先週の米国金融市場と暗号資産(仮想通貨)市場の動向
先週の米国金融市場は、米国議会の閉鎖解除終了に向けた期待感から堅調に始まりましたが、FRB関係者による追加利下げに対する慎重なコメントを受け、週末に向けて軟調な展開となりました。特に年末が近付いてきたことにより、ヘッジファンドを始めとした機関投資家の決算に向けた動きも重なったようです。
11月10日(月)の動向:IT・ハイテク株高と暗号資産の上昇
10日は株式市場でIT・ハイテク株が買われ、NASDAQは2%上昇しました。また、米国議会の閉鎖終了に向けた期待感も高まり、NYダウ平均も+381ドルと上昇しました。
暗号資産市場では、BTCが104,700ドル(約1,620万円)近辺から始まり、106,600ドル台(約1,640万円台)まで上昇して106,000ドル近辺で終えました。この日は13日に取引が始まるCanary CapitalのXRP現物ETFへの期待から、XRPが一時2.55ドル(約397円近辺)まで上昇し、2.50ドル(約389円前後)となりました。
11月11日(火)の動向:循環物色とハイテク株調整
11日は株式市場において人気銘柄へのローテーションが起こり、ヘルスケアやエネルギー、生活必需品などが買われ、NYダウ平均は3日続伸しました。一方、ソフトバンクグループがNVIDIA株を全株売却したニュースもあり、IT・ハイテク株は下落しました。
また、この影響を受けて暗号資産市場ではBTCが103,000ドル(約1,580万円台)近辺へ下落しました。ETHやXRPもそれぞれ3,550ドル(約55万円前後)と2.40ドル(約369円前後)へ下落しています。
11月12日(水)の動向:ローテーション継続とBTCの上値重さ
12日は前日の状況が引き継がれ、NYダウ平均はローテーション効果で4日続伸しました。この“ローテーション効果”とは、市場全体の不透明感や金利動向を背景に、投資家の資金がハイテク・グロース株から、より景気に左右されにくいディフェンシブ株(ヘルスケア、エネルギー、生活必需品など)へと移動する現象を指します。
この日はまさにその典型で、ソフトバンクグループによるNVIDIA株の全株売却報道や、追加利下げに慎重なFRB当局者の発言を受けてIT・ハイテク株には売りが入り、NASDAQは重い動きとなる一方、ディフェンシブセクターが買われたことでダウ構成銘柄が指数を押し上げる形となりました。
暗号資産市場も同様のリスクオフの流れに敏感に反応し、BTCは101,600ドル台(約1,570万円台)とやや軟調な動きとなりました。BTCは近年、株式市場と特にハイテク株のリスク選好姿勢に連動する傾向が強く、この日のようにグロース株から資金が抜ける局面では、暗号資産にも短期的な売り圧力が及びやすい相場環境となります。
11月13日(木)の動向:政府機関再開と景気不透明感
13日になると株式市場では、IT・ハイテク株の下落がほかの銘柄にも波及する動きとなりました。政府機関が再開された好材料がありましたが、金利や米国経済の不透明感の強まりを受け、投資家心理を圧迫したようです。
特に、政府機関の閉鎖による米国経済への損失額が1週あたり100〜150億ドルに上るとの試算が市場を冷やす要因となりました。暗号資産市場ではBTCが100,000ドル(約1,545万円)を割り込み、99,700ドル近辺(約1,540万円)、ETHが約3,230ドル(約50万円近辺)、XRPが2.35ドル(約360円近辺)となりました。
11月14日(金)の動向:AI関連株の調整と暗号資産の続落
14日になると週末の意識も働き、前日のリスク回避の動きが続き、NYダウ平均は-309ドルと続落しました。また、AI関連のバリュエーションに対する懸念が再燃し、大幅安となりましたが、IT・ハイテク株には押し目買いが入り、NASDAQなどは持ち直しました。
しかし、暗号資産市場は軟調なままで、BTCは94,000ドル台(約1,450万円台)まで下落し、94,600ドル近辺(約1,460万円台)で週を終えました。ETHとXRPはそれぞれ3,110ドル(約48.2万円近辺)と2.25ドル(約347円近辺)で週を終えています。
主要アルトコイン(ETH・XRP・SOL)の先週の動き
先週の暗号資産市場では、ビットコインに加えて主要アルトコインも全般的に軟調な展開となりました。まずイーサリアム(Ethereum:ETH)は週初こそ3,550ドル(約55万円台)を維持していましたが、ハイテク株の調整やリスクオフの流れを受けて徐々に上値が重くなり、週末には3,110ドル近辺まで下落しました。スマートコントラクト需要の根幹となるオンチェーン活動は堅調でしたが、リスク選好の後退により資金の流入が細った形です。
XRPはカナリーキャピタルによるXRP現物ETFの取引開始(13日予定)への期待感から一時2.55ドル近辺まで上昇しましたが、その後は株式市場全体のセンチメント悪化に押される形で上昇分を消化し、最終的には2.25ドル近辺まで反落しています。ETFに対する思惑が短期的な押し上げ要因となった一方で、リスク回避局面ではビットコインほど資金が守られにくい特性が改めて示されました。
またソラナ(Solana:SOL)は、ここ数ヵ月の強い上昇基調の反動やハイリスク資産に対する売り圧力の影響を受け、週を通して調整が続きました。SOLは依然として高いDeFi取引量と活発なエコシステムを背景に構造的な強さをみせていますが、株式市場やビットコインと同様に全体のリスクオフムードからは逃れられず、短期的には値動きが重くなっています。
先週の総括:追加利下げ期待の後退とリスク資産売り
先週は軟調な地合いながらも、BTCで100,000ドルを下値とする下値固めの動きを想定していましたが、ヘッジファンドや機関投資家の決算に向けた動きもあり、金融当局者による追加利下げに対する慎重なコメントがリスク回避の動きを強め、リスク資産の売却につながったようです。
ビットコインは一般に「デジタルゴールド」としてインフレヘッジの側面を持つ一方で、実務的には株式、特にNASDAQなどのグロース株指数との相関が高まりやすくなります。そのため、今回のように利下げ期待が後退し、バリュエーションの高いハイテク株やAI関連銘柄から資金引き上げが起こると、ビットコインを含む暗号資産にも売り圧力が波及しやすくなります。
今週の経済イベントカレンダー
Calendar of Economic Events This Week
| 月 | 日 | 曜日 | 日本時間 | 国 | 経済イベント | 重要度 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 11 | 17 | 月 | 08:50 | 日本 | 2025年第3四半期実質GDP(1次速報値) | ★★★☆☆ |
| 11 | 17 | 月 | 13:30 | 日本 | 鉱工業生産指数 9月(確報値) | ★★★☆☆ |
| 11 | 17 | 月 | 22:30 | 米国 | NY連銀製造業景況指数 11月 | ★★★☆☆ |
| 11 | 18 | 火 | 22:30 | 米国 | 生産者物価指数(PPI)10月 | ★★★★☆ |
| 11 | 18 | 火 | 23:15 | 米国 | 鉱工業生産指数・設備稼働率 10月 | ★★★★☆ |
| 11 | 19 | 水 | 19:00 | ユーロ圏 | 消費者物価指数(HICP)10月 | ★★☆☆☆ |
| 11 | 19 | 水 | 22:30 | 米国 | 住宅着工件数 10月 | ★★★☆☆ |
| 11 | 19 | 水 | 28:00 | 米国 | FOMC議事録 10月 | ★★★★★ |
| 11 | 20 | 木 | 22:30 | 米国 | 雇用統計(非農業部門就業者数・失業率・平均時給 )9月 | ★★★★★ |
| 11 | 20 | 木 | 22:30 | 米国 | 失業保険申請件数 11/9-11/15 | ★★★☆☆ |
| 11 | 20 | 木 | 22:30 | 米国 | フィラデルフィア連銀景況指数 11月 | ★★★★☆ |
| 11 | 20 | 木 | 24:00 | 米国 | 中古住宅販売件数 10月 | ★★★★☆ |
| 11 | 21 | 金 | 08:30 | 日本 | 全国消費者物価指数(CPI)10月 | ★★★☆☆ |
| 11 | 21 | 金 | 18:00 | ユーロ圏 | 製造業・サービス業PMI 11月 | ★★★☆☆ |
| 11 | 21 | 金 | 23:45 | 米国 | 製造業・サービス業PMI 11月 | ★★★★★ |
| 11 | 21 | 金 | 24:00 | 米国 | ミシガン大学消費者信頼感指数 11月(確報値) | ★★★☆☆ |
注目される決算発表
| 日付 | 銘柄コード | 企業名 |
|---|---|---|
| 11月19日(水) | NVDA | NVIDIA |
| 11月20日(木) | WMT | Walmart |
今週の主な材料とビットコイン市場への影響
今週は19日(水)に前回FOMC議事録の公表があり、会合での議論内容が注目されます。追加利下げに対するメンバーの考え方が焦点となります。
また同日には米国株式市場の最大注目銘柄であるNVIDIAの決算発表があります。最近の株式市場ではAI関連企業のバリュエーションに対する懸念が台頭しており、今回の決算発表でこうした懸念を払拭できるか、あるいはAI及び半導体関連企業の相場がピークを迎えるのか、金融市場全体に影響し得るポイントとなります。
また政府機関再開により、発表が止まっていた各種経済指標が公表される可能性があります。9月の雇用統計(非農業部門就業者数、失業率、平均時給)、10月の物価指数(CPI、PPI)などです。これらが発表され、その結果によっては慎重なコメントが続いている追加利下げの議論が前進する可能性があります。実際、民間の雇用関連指標を踏まえると、追加利下げは十分視野に入ると考えられ、売り圧力が弱まる一因ともなります。
先週はヘッジファンドの決算に向けた解約売りがピークを迎えたと考えられ、そのほかの機関投資家も同様の動きをみせたと考えられます。今週はこうした売り圧力が一巡し、売り枯れによる打ち止め感も出てくるとみられ、自律反発的な動きが期待される週となりそうです。
ビットコイン市場へのインプリケーション
ビットコインマーケットを予測するには、上記のイベントや決算に加え、いくつかのポイントを意識することが重要です。第一に、FOMC議事録から読み取れる金融政策スタンスです。市場コンセンサスよりタカ派的なメッセージとなれば、実質金利の上昇期待を通じてリスク資産には逆風となりやすく、ビットコインにも短期的な調整圧力となる可能性があります。
第二に、NVIDIA決算を始めとしたAI・半導体関連の株価反応です。マイニング需要やAIインフラ投資は暗号資産エコシステムとも関連しており、ハイテク株全体のセンチメント悪化は「リスク資産」としてのビットコインにも波及しやすくなります。逆に市場予想を上回る好決算となりAIテーマが再評価される場合、株式市場のリスク許容度が改善し、ビットコインに買い戻しのきっかけを与える可能性があります。
第三に、今週公表が見込まれる各種マクロ指標(雇用・物価・消費)が「景気減速+インフレ鈍化」というソフトランディングシナリオを裏付けるかどうかです。インフレ鈍化と景気急減速が同時に進む「悪い減速」と判断されれば、リスクオフでドル現金回帰の動きが強まり、短期的にはビットコインの下押し材料となり得ます。一方で、インフレが落ち着きつつ景気が大きく崩れないバランスがみえれば、将来の利下げ余地が意識され、ビットコインには中期的にポジティブな材料になり得ます。
総じて、テクニカル面では100,000ドル近辺が意識される一方で、ファンダメンタルズ面では「利下げ期待の織り込み具合」と「AI・ハイテク株のセンチメント」がビットコインの方向性を左右する鍵となりそうです。今週はイベントが集中する分、短期的なボラティリティ上昇に備えつつ、重要な価格帯(100,000ドル、90,000ドル台半ばなど)での出来高や売買動向を慎重に観察する必要がある局面といえるでしょう。
BTC積立企画
2023年6月から月毎に10万円分の暗号資産を実際に積み立てていき、そのポートフォリオを公開する企画です。ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、日本の取引所でも取り扱われており、米ドルとペッグ(連動)するステーブルコインであるダイ(DAI)を対象としています。
これまでの暗号資産積み立ての状況
Accumulation Status
[期間:2023.06.05 〜 2025.11.28]
ポートフォリオの現在の資産価値
円
含み益(現在の資産価値 - 合計積立金額)
円
利益率
%
積み立て回数
16 回
合計積立金額
1,600,000 円
ポートフォリオの構成
ポートフォリオ
| 銘柄 | シンボル | 対円レート | 保有数量 | 日本円換算 | 構成比 |
|---|---|---|---|---|---|
| ビットコイン | BTC | [BTC/JPY]円 | 0.1523 BTC | 円 | % |
| イーサリアム | ETH | [ETH/JPY]円 | 1.8884 ETH | 円 | % |
| ダイ | DAI | [DAI/JPY]円 | 80 DAI | 円 | % |