ウォール街CEOが「10%超の調整」を警告 米株下落とBTC軟調の一週間を総括|週間ビットコイン予想 2025.11/10-16
2025.11.10
先週の米国金融市場と暗号資産の概況(2025年11月3日〜7日)
先週の米国金融市場は、ウォール街トップによる米国株式市場の調整に関するコメントなどから上値の重い週となりました。暗号資産(仮想通貨)市場もその影響を受け、軟調な展開となりました。
11月3日(月)— IT主導の底堅さとダウの重さ
3日は、前週に発表されたMetaやMicrosoftなどの決算が好調だったことからIT・ハイテク株が堅調に推移し、NASDAQとS&P500は上昇しました。一方でダウ平均は利下げ期待の後退により上値が重くなりました。暗号資産市場ではBTCが110,500ドル台(約1,700万円台)から始まりましたが、上値が重くじり安となり、106,500ドル近辺(約1,640万円台)まで下落しました。
11月4日(火)— CEO警告と広範なリスクオフ
4日には、香港金融管理局が開催した金融サミットでウォール街の最高経営責任者(CEO)たちが「今後12〜24ヵ月の間に株式市場が10%以上下落する可能性がある」と警鐘を鳴らしました。これを受けてNYダウ平均は続落し、S&P500は−80ポイント、NASDAQは−486ポイントの下落となりました。暗号資産もBTCが一時100,000ドル(約1,530万円)を割り、99,000ドル近辺(約1,520万円台)まで下落。イーサリアム(Ethereum:ETH)は3,050ドル近辺(約47万円近辺)、エックスアールピー(XRP)は2.25ドル(約350円)を割り込みました。ミラータバクAM(アセットマネジメント)のチーフ・マーケット・ストラテジストであるマット・メイリー氏は「足下では意味のある調整が近付いているとの見方を持っている」とコメントしました。この日発表されたパランティア・テクノロジーズの好決算にもかかわらず株価は8%安となり、バリュエーションへの不安が広がりました。
11月5日(水)— 指標は堅調、株は反発も暗号資産は軟調
5日は、株式市場の売りが一服して反発しました。ADP雇用者数が10月に42,000人増と前月(+2.9万人)及び予想(+28,000人)を上回り、ISM非製造業景気指数も52.4と堅調でした。しかし暗号資産市場は軟調で、BTCは再び100,000ドルを割り込み、ETHは3,150ドル近辺(約48.5万円近辺)、XRPは2.10ドル近辺(約320円近辺)まで下落する場面がありました。
11月6日(木)— レイオフ急増報道で3指数安
6日は、再就職支援会社チャレンジャー・グレイ&クリスマスが「10月の人員削減は153,074件で過去20年間で最多、2009年以来最悪のレイオフ年になる」と発表しました。これを受けて主要3指数は大きく下落しました(NYダウ平均:−398、S&P500:−75、NASDAQ:−445)。暗号資産市場は下値でもみ合う展開となり、BTCは101,300ドル台(約1,550万円台)、ETHは3,290ドル(約50.7万円)、XRPは2.20ドル近辺(約340円近辺)でした。
11月7日(金)— 消費者信頼感の低下で上値重く
7日は、政府機関閉鎖の解除期待があったものの、ミシガン大学消費者信頼感指数が3年半ぶりの低水準となり、株価の上値を抑えました。暗号資産市場も目立った動きはなく、BTCは103,300ドル台(約1,580万円近辺)、ETHは3,420ドル近辺(約52.7万円近辺)、XRPは2.30ドル台(約350円台半ば)で推移しました。週を通して株式市場は3指数揃って下落しました(NYダウ平均:−349ドル、S&P500:−123、NASDAQ:−830)。
主要指標・価格のスナップショット
| 指数 | 週間騰落 |
|---|---|
| NYダウ | −349ドル |
| S&P500 | −123 |
| NASDAQ | −830 |
| 日付 | 株式市場ハイライト | BTC | ETH | XRP |
|---|---|---|---|---|
| 11/3(月) | NASDAQ・S&P上昇、ダウは重い | 110,500 → 106,500ドル | — | — |
| 11/4(火) | CEO警告で3指数大幅安 | 一時 99,000ドル | 3,050ドル | 2.25ドル割れ |
| 11/5(水) | ADP・ISM好結果で株反発 | 再び100,000ドル割れ | 3,150ドル近辺 | 2.10ドル近辺 |
| 11/6(木) | レイオフ急増報道で下落 | 約101,300ドル | 3,290ドル | 2.20ドル近辺 |
| 11/7(金) | 消費者信頼感低下で重い | 約103,300ドル | 3,420ドル近辺 | 2.30ドル台 |
今週の経済イベントカレンダー
Calendar of Economic Events This Week
| 月 | 日 | 曜日 | 日本時間 | 国 | 経済イベント | 重要度 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 11 | 11 | 火 | 08:50 | 日本 | 国際収支 9 月(経常収支) | ★★★☆☆ |
| 11 | 11 | 火 | 08:50 | 日本 | 国際収支 9 月(貿易収支) | ★★★☆☆ |
| 11 | 11 | 火 | 19:00 | ユーロ圏 | ZEW 景況感指数 11 月 | ★★★☆☆ |
| 11 | 13 | 木 | 19:00 | ユーロ圏 | 鉱工業生産指数 9 月 | ★★★☆☆ |
| 11 | 13 | 木 | 22:30 | 米国 | 消費者物価指数(CPI)10 月 ※ | ★★★★★ |
| 11 | 13 | 木 | 22:30 | 米国 | 新規失業保険申請件数 11/2-11/8 | ★★★☆☆ |
| 11 | 14 | 金 | 10:30 | 中国 | 新築住宅販売価格 10 月 | ★★★☆☆ |
| 11 | 14 | 金 | 11:00 | 中国 | 小売売上高 10 月 | ★★★☆☆ |
| 11 | 14 | 金 | 11:00 | 中国 | 鉱工業生産指数 10 月 | ★★★☆☆ |
| 11 | 14 | 金 | 19:00 | ユーロ圏 | 2025 年第 3 四半期 GDP(改定値) | ★★★☆☆ |
| 11 | 14 | 金 | 22:30 | 米国 | 生産者物価指数(PPI)10 月 | ★★★☆☆ |
| 11 | 14 | 金 | 22:30 | 米国 | 小売売上高 10 月 | ★★★★★ |
見通し(株式・暗号資産)
米国の政府機関閉鎖が続いており、今週発表予定のCPI(消費者物価指数)とPPI(生産者物価指数)は集計ができていない可能性があり、発表が見送られる可能性があります。経済指標の発表が少ない上、政府機関閉鎖の影響により米国金融市場は動きにくい週となりそうです。米国株式市場での決算発表は終盤に入り、企業業績は総じて好調です。ただし市場関係者による高値警戒コメントなどが重しとなり、上値追いの動きは限定的です。これまで相場を牽引してきたNVIDIAの決算は来週19日に予定されており、その結果と市場反応が今後の方向性を左右しそうです。したがって今週は、先週の調整を経て下値を固める週となる可能性が高いです。
暗号資産市場も同様の展開が見込まれます。先週BTCは3日連続で100,000ドル割れを経験しつつも、その都度100,000ドル台に戻しました。今週は上値を試す場面もあり得ます。投資家の皆様には、時間を味方につける意識で市場動向を注視していただければと思います。
ビットコイン予測のポイント
短期的な値動きは、マクロ要因による「イベントドリブン」と市場内部要因による「需給ドリブン」の双方から説明できます。先週はCEO発言やレイオフ報道といったリスクオフ材料が外部ショックとして働き、米株下落とともにBTCも心理的節目の100,000ドルを3度割り込みました。ここからの分析精度を高めるためには、以下の観点を併用することが有効です。
- 金利・ドル指数(DXY)連動:実質金利やドル高はリスク資産の逆風となりやすく、BTCの上値を抑えがちです。FOMCメンバー発言や米金利先物の織り込みも短期ドライバーです。
- 先物・資金調達率(Funding):過度なロング・ショート偏りは清算を通じてボラティリティを増幅します。資金調達率や未決済建玉(OI)の急増は反動のサインです。
- オプション市場(Skew/IV):プット需要の高まりやインプライド・ボラティリティ急騰は下方向リスク警戒の証拠です。満期集中日(特に月末・四半期末)は価格変動が大きくなりやすいです。
- オンチェーン需給:取引所残高の減少(供給のタイト化)や長期保有者の動き(STH/LTHのSOPRなど)は中期トレンドを示唆します。大口入出金やETF関連アドレス動向も観測ポイントです。
- 相関構造:先週は米株との同調性が高まりました。特にメガテック決算や半導体(NVIDIA)への感応度が依然として高い点に注意が必要です。
- テクニカル節目:心理的節目である100,000ドルの攻防が続いており、上方では直近戻り高値圏、下方では直近安値や200日移動平均線近辺の攻防が焦点です。出来高の多い価格帯(VPVR)も参考になります。
- 流動性マップ:板厚やストップロスの偏在は短期的なブレイク方向を左右します。主要取引所の薄い価格帯はスパイクの温床になりやすいです。
総じて、今週はマクロ材料が限定されるなかでテクニカル及び需給の影響が強まりやすい地合いです。100,000ドル割れの押し目が買い支えられるか、また来週のNVIDIA決算前にロングポジションが過度に積み上がらないかが注目点です。リスク管理面では、イベント前後のポジション調整やタイトな損切り設定、オプションによるヘッジ活用が現実的な戦術です。
BTC積立企画
2023年6月から月毎に10万円分の暗号資産を実際に積み立てていき、そのポートフォリオを公開する企画です。ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、日本の取引所でも取り扱われており、米ドルとペッグ(連動)するステーブルコインであるダイ(DAI)を対象としています。
これまでの暗号資産積み立ての状況
Accumulation Status
[期間:2023.06.05 〜 2025.11.28]
ポートフォリオの現在の資産価値
円
含み益(現在の資産価値 - 合計積立金額)
円
利益率
%
積み立て回数
16 回
合計積立金額
1,600,000 円
ポートフォリオの構成
ポートフォリオ
| 銘柄 | シンボル | 対円レート | 保有数量 | 日本円換算 | 構成比 |
|---|---|---|---|---|---|
| ビットコイン | BTC | [BTC/JPY]円 | 0.1523 BTC | 円 | % |
| イーサリアム | ETH | [ETH/JPY]円 | 1.8884 ETH | 円 | % |
| ダイ | DAI | [DAI/JPY]円 | 80 DAI | 円 | % |