金投資の今|新たな投資への流れ
2024.06.21
米国金融市場の動向と金投資の魅力
消費者物価指数(CPI)と金融市場の反応
米国金融市場では先週12日に発表された消費者物価指数(CPI)が総合、コアともに市場予想を下回り、また同日あったFOMC後のパウエルFRB議長の記者会見もややハト派的なイメージの内容と金融市場は受け止めました。金融市場は年内引き下げの回数は減ったものの、「利上げ」という厳しい考え方が消滅し、「利下げはある」をクローズアップし、再び楽観的な見方へシフトしています。
5月29日に4.6%台まで上昇していた米国10年国債利回りは、4.22%と大きく低下した水準となりました。
NY株式市場の動向
NY株式市場では、NYダウ平均は上値が重いものの、金融緩和の意識からハイテク株への人気が高まり、S&P500とNASDAQは連日市場最高値を更新しています。特に牽引役となったエヌビディア株は、時価総額が3兆3,400億ドル(約527兆円)となり、マイクロソフト社の時価総額を抜いて世界1位となりました。
市場楽観論の背景
こうした市場の楽観的な見方が唱えられるのも、ウクライナ情勢やパレスチナ情勢が心理的に遠くの問題として、リスクある出来事としての印象が薄らいでいるのがポイントです。また、そうした見方は商品市況にも顕れており、紛争とともに上昇した原油価格や金価格は落ち着いた価格の動きでWTIが1バレル=81ドル台、金価格が1トロイオンス=2,330ドル前後となっています。
エネルギー価格の状況は、天然ガスのUS価格が2月中旬に1.5台で底を打ち、現在は3.00前後のもみ合い、EUのガス価格TTFも同様に2月に23台で底を打ち、現在は35前後のもみ合いとなっています。継続しているウクライナ情勢をベースに来る寒い冬の到来に向けたガス価格の動きともとれる状況が底堅い動きに繋がっていると思われます。
先般、欧米中心に起こったインフレは、カーボンニュートラルを起点としたエネルギー価格上昇が起点とも考えられますが、その後の新型コロナウイルスへの対策として米国政府などが打った財政刺激策がその後押しをしました。
米国経済の堅調さ
現在も米国経済は堅調さを維持しており、これは先ほど述べた米国の財政刺激策の効果が続いていることや新型コロナで経験した物不足に備え、各国がサプライチェーンに余裕を持たせてリスクを回避する傾向にあること、先進国中心に進むクリーンエネルギーへの移行、製造業の国内回帰による設備投資の増加などがポイントとなっています。
こうした状況を踏まえると欧米で進みつつある金融緩和の動きは、果たして正しい政策変更なのでしょうか?
地政学的リスクと不安要素
継続しているウクライナ紛争を中心とする地政学的リスクや欧州で進む極右勢力の拡大、そして11月の米国大統領選挙の行方など不安要素は山積みであり、それぞれがインフレを加速させる可能性を秘めていると考えられます。
金投資の注目
こうした環境を捉え、特にインフレへのヘッジ、対策として金投資に対してのアプローチが静かに高まっています。
金価格予想の引き上げ
米国では大手金融機関が相次いで金価格の予想を引き上げています。1トロイオンス(31.1g)の価格で2024年末にUBS2,500ドル、ゴールドマン・サックス2,700ドルを予想し、さらにバンク・オブ・アメリカは2025年末に3,000ドルの可能性を指摘しています。
そして投資家に米国株式との分散投資として金を推奨する金融機関が増えています。従来の「機関投資家で運用資産の数%、個人投資家で20%前後まで」との配分の常識を覆して米国株式とほぼ同額を金に振り向ける事を推奨しています。
金融機関の先高感の背景
このような金融機関の持つ先高感の背景はやはり「複合リスク」と呼べる幅広い不安になっています。
- 地政学リスク ロシアによるウクライナ侵攻、パレスチナ紛争、米中対立などです。
- 新興国中央銀行による金買い 米国による米ドルを使った経済制裁を嫌った動きが加速させています。トランプ前大統領が再選すれば米中関係の更なる冷え込みやウクライナ・中東への支援・関与の後退が懸念されます。
- インフレ再燃リスク シティバンクは、「財やサービス価格が上昇し、一方で消費や投資が減速する環境になれば、株式市場は弱気相場入りし金の需要を支える」と見ています。
- 米国の利下げによる影響 米国の実質金利の低下により米ドル安そして金価格上昇が想定されます。また機関投資家による金ETFへの投資が増加すると考えられています。
米国における金の現物買いの増加
米国では貴金属投資と言えば銀が定番ですが、金地金や金貨といった現物の金買いが増加しています。これは地方金融機関の破綻から資産保全への意識の高まりがあると思われます。こうした動きを映してウォルマートやコストコでも金地金の販売を始めています。
個人投資家の金投資手段
個人投資家にはこのような金地金や金貨といった現物への投資の他に投資手段はあるのでしょうか?個人投資家が金現物以外で投資できるものとしては金へ投資する投資信託や株式市場に上場しているETF(上場投資信託)があります。
投資信託には、為替をヘッジするタイプとヘッジなしのタイプがあり、合わせて10本が運用されています。現在残高が多いのは「三菱UFJ純金ファンド(ファインゴールド)」で運用資産残高は、約2,200億円の規模になっています。またETFとしては純金上場信託(コード番号:1540)があります。
投資信託、ETFともにNISA(成長投資枠)を利用する事ができます。ただし、これらの商品には分配金や配当金はありませんので、あくまで値上がりを追求する投資となります。この点は金現物へ投資するのと同様です
ステーブルコインを活用した金投資
また新たな金現物投資として金価格連動型ステーブルコイン(キンカゴールド)が発行されました。この商品は第一商品株式会社の海外子会社が現物の金を裏付け資産として発行しています。この商品の特徴は次の通りです。
【金価格連動型ステーブルコイン(キンカゴールド:XNK)の特徴】
- 第一商品株式会社(国内上場企業)の海外子会社が発行
- 金の現物に裏付けされています
- 金現物への交換が可能
- ERC-20規格に対応
(ERC規格はイーサリアム(ETH)がオープンソースで公開したトークン同士の共通規格) - 国内の規制に準拠
- 倒産隔離された金庫に保管(SPCスキーム)
- 1XNKは1トロイオンスの純金に相当
金現物投資に利息が付きます!
ご紹介したキンカゴールドを貸付し利息を受け取る事ができます。
金現物投資には、投資信託やETFを含めても分配金や配当金はありません。
しかし、キンカゴールドの貸付(レンディング)を行えば、実質的に金現物投資で利息を受け取る事ができます。レンディングの年利は、4.5%です。
このレンディングを行えば、金投資の値上がり益を享受し、さらに年4.5%のレンディングによる運用益(利息)を受け取る事ができます。レンディングの詳細は、レンディングを行っている会社であるビットレンディングの説明をご覧ください。
インフレヘッジの対策として、また株式や債券に代わる新たな投資手法として実質的な金現物投資で利息が受け取れる「キンカゴール+レンディング」にご注目ください。