関税は武器かリスクか?トランプ大統領の貿易政策3つの狙い
2025.02.14
トランプ新政権による関税発動の概要
米国は全ての鉄鋼・アルミニウム製品に対し、3月12日から25%の関税を課すと決定しました。トランプ新政権は中国に10%の追加関税を実施済みで、カナダ・メキシコへの25%関税は1ヶ月発動を延期しています。
相互関税と追加関税の検討
トランプ大統領は貿易相手国の関税率に応じた「相互関税」を課すことを表明しており、自動車・半導体・医薬品にも関税を検討しています。

経済研究機関の分析と政策の狙い
ピーターソン国際経済研究所は、カナダ・メキシコへの25%関税が発動されると、カナダのGDPが1%押し下げられ、米国標準世帯は年間1,200ドル以上の不利益を被ると指摘しています。
トランプ政権の関税政策3つの目的
- 貿易赤字の解消:輸入品の価格を上昇させ、米国製品の競争力を強化します。
- 政府歳入の増加:全貿易相手に10%の関税を課せば、米国議会予算局は財政赤字が2兆1,000億ドル減少すると試算しています。
- 外交交渉のカード:カナダ・メキシコには国境警備強化を、中国にはフェンタニル原料対策を要求しています。

関税発動による米国経済への影響
テキサス大・カリフォルニア大・シカゴ大の共同調査は、「関税の影響の半分が米国消費者に転嫁される」と報告しています。また、コンファレンス・ボードの調査では51.4%が「1年以内にインフレで金利が上昇する」と回答しました。ミシガン大学消費者信頼感指数では1年先の期待インフレ率が4.3%と、前年の3.3%から上昇しています。
FRBの見解と金融政策への影響
米国議会の上院銀行委員会での証言で、パウエルFRB議長は「関税政策はFRBの評価対象ではない」と述べつつ、「政策の影響を理解し、金融政策で適切に対応する」と表明しました。
関税政策は始まったばかりであり、今後の影響は不透明です。私たちはトランプ政権による関税が世界経済に与える影響を引き続き注視していきます。