金相場、堅調な動き
2023.08.03
昨年11月から金価格が堅調な動きとなっています。
金はインフレ時にインフレ対策の資産として買われる資産です。金価格は2019年に底を打って徐々に上昇を始め、インフレが始まったと言われる2020年に大きく上昇しました。その後FRBによる米国の利上げにより2020年は調整となりました。
高金利は金の敵と言っても良いでしょう。金には金利が付きませんが、米国金利が上昇すれば米国の通貨であるドルを保有するインセンティブが生まれます。
こうした中で昨年11月に転機が訪れました。米国のCPIの動きに鈍化の様子が見られ、マーケットで2023年の米国の金利低下が議論されるようになり、ドルの動きが弱まりました。
一方、ドルを取り囲む環境にも大きな変化が見られています。ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、米国はロシアへの制裁にドルとその決済システムを使いました。こうした動きに距離を置こうとした中国・インド・ブラジル・ハンガリーといった国々は、米国の都合で資産が没収されたり、凍結されたりする事のないよう脱ドルの動きを強めています。特に中国は外貨準備として米国国債を大量に保有していますが、その一部を売却し金へシフトを行っています。
第二次世界大戦後に世界の通貨として君臨してきた米国のドルの環境は変わりつつあり、ドルの需要が大きく減少していこうとしています。
3月に入って起こった米国での銀行の破綻は、米国の金利引き上げの歯止めとなり、米国内の金利低下ムードを強めています。今後米国の金利低下とドルから金へのシフトといった動きにより金価格は徐々に価格を切り上げていくと考えています。
価格のターゲットは想定しにくいですが、インフレの長期化も想定され、長期投資の資産として改めて注目して良いのではないでしょうか。