米国株式市場アップデート

昨日、NY株式市場では主要3指数が揃って上昇し、NASDAQは史上最高値を再び更新しました。
中でも象徴的だったのは、NVIDIA(エヌビディア)の株価が終値ベースで時価総額4兆ドルを突破したことです。これはNY株式市場の歴史上初めての快挙となります。

こうした堅調な株価の背景には、日本時間で2025年7月9日(水)に発表された米国の有力金融機関であるバンク・オブ・アメリカ(BOA)およびゴールドマン・サックス(GS)によるS&P500目標値の上方修正があります。

  • BOAは2025年末のS&P500目標値を「5600」→「6300」へ引き上げ
  • GSは「6100」→「6600」へ引き上げ

この予想引き上げの根拠として、両社は次の3点を挙げています。

  1. 米国政府の政策に対する不確実性が低下した
  2. 米企業の利益水準が堅調に推移している
  3. 米連邦準備制度(FRB)による利下げの可能性が高まっている

特にGSは、今後の利下げが早期かつ大幅に実施される可能性があると予測しています。これらの楽観的な見通しを受けて、市場には強い企業への資金流入が続いておりNVIDIA、マイクロソフト、メタといった主要テック企業の株価は堅調な動きを見せています。

さらに、デルタ航空(+12%)、ユナイテッド航空(+14.3%)、サウスウエスト航空(+8.1%)などの航空株の急騰もS&P500の押し上げに寄与しました。

NASDAQ最高値更新

トランプ大統領の関税発言と市場の反応

昨日、トランプ大統領がブラジル製品に対する50%関税の導入を発表しました。しかし金融市場の反応は比較的限定的でした。これは以下の理由によるものと考えられます。

  • 消費者物価指数(CPI)への影響が限定的と見られていること
  • 関税収入が前年比で約3倍に増加しており、2025年の米政府歳入に貢献するとの見方があること

市場では、関税政策のデメリットよりもメリットを評価する空気が強まっています。

FOMC議事要旨の要点

金利見通しに関する意見の分かれ

同日に公表された2025年6月17–18日開催分のFOMC議事要旨では、以下の点が明らかになりました。

  • 金利見通しに対する意見の分かれ
  • 関税のインフレへの影響に対する見解の違い

「数人の参加者は、関税が一時的に物価を押し上げるが、長期的なインフレ期待には影響しない」とする一方で、「大部分の参加者は関税が持続的なインフレ要因になり得る」と警戒する見解も記されていました。

最新の金利見通しの内訳

  • 10人が年内に少なくとも2回の利下げを予想
  • 7人は利下げなし
  • 2人は1回の利下げを予想

FRBとしては利下げを急いでいないものの、市場は「年内利下げシナリオ」を楽観的に受け止めている模様です。

投資家へのメッセージ

このように、米国株式市場には楽観的なムードが広がっている一方で、その背景にある政策や金利見通しには不透明感も残されています

現在の米国市場は、トランプ政権の政策によって「恩恵を受ける業種」と「影響を受ける業種」に二極化する可能性があり、投資対象の見極めがますます重要になっています。

投資家の皆さまには、冷静な判断と戦略的な投資行動を意識していただければと思います。