NY株に異変!3指数そろってデッドクロス、次は何が起きる?
2025.03.28
NY株式市場、3指数がそろって下落
昨日(3/26)のNY株式市場は、NYダウ平均-132ドル、S&P500-64、NASDAQ-372と3指数とも下落しました。
金利上昇と関税リスクが市場を圧迫
セントルイス連銀のムサレム総裁が「関税による影響が一時的なものにとどまるかどうかは不透明で、金融当局が政策金利をより長期にわたって据え置く可能性がある」との見解を示した事を受けて、長期金利が上昇しました。
またトランプ大統領による自動車関税についての発表があるとのニュースから自動車株が売られ、中国の半導体に関する規制強化への警戒感から半導体株が急落するなど、悪材料に強く反応した状況となりました。
米金融市場の見通しにさらなる変化
2週間前にもNY株式市場での大手金融機関担当者による見通しの変化をお伝えしていますが、米国金融市場での見通しがさらに変化しつつあります。特に企業では、価格上昇と需要減退を警告しており、スタグフレーション(景気停滞下での物価上昇)とリセッション(景気後退)の可能性が高まっているとのエコノミストの予想と一致してきています。

消費者信頼感指数が12年ぶりの低水準に
3月25日に発表されたコンファレンスボード消費者信頼感指数は92.9と前月の100.1から-7.2と2021年1月以来の低水準となり、6ヶ月先の短期的な見通しを示す期待指数も前月の改定値から-9.6と大幅に低下して65.2を示しました。この結果は2013年3月以来の12年ぶりの低水準になります。
市場への警戒感が高まるアナリストの見通し
こうした経済指標の結果を受けて、UBSインベストメントバンク チーフ・ストラテジストのバーヌ・バウェジャ氏は「米国の消費者は目に見えて疲弊しており、それが今後株価を一段と圧迫しそうだ」としています。
さらに「雇用や支出に関する見通し、消費者信頼感といった指標はいずれも警戒シグナルを発している。」と指摘し、多くのアナリストらが向こう3-4カ月の利益予想を下方修正する中、バウェジャ氏は、S&P500種が5300にまで下げるとの見通しを示しました。

注目すべきチャートシグナル:3指数のデッドクロス
今回、注目していきたいのは、NY株式市場の3指数が週ベースで見た移動平均線で13週線と26週線でデッドクロスをしてくる点です。3指数が揃ってデッドクロスをするのは2022年1月以来になりますが、この時はNYダウ平均とS&P500は約10ヶ月間調整し、NASDAQは約1年間の調整となっています。
既におおくの大手金融機関で年内のNY株式市場の見通しを下方修正してきているだけに、今回のチャート上のシグナルは警戒をしなくてはいけないと考えています。
トランプ大統領による関税問題が大きく取り上げられる日々が続いていますが、その他のトランプ政権による政策的な話題はイーロンマスク氏を中心とした政府歳出削減とウクライナ、中東問題となっており、大統領選挙でのスローガン「MAGA (Make America Great Again)」(アメリカ合衆国を再び偉大な国にする)の下に進める政策が何も見えていない現状が、更に先行きを不透明にしています。
今後の注目ポイント
当面は金融市場が懸念している景気減速とインフレ、そして財政問題がどうなっていくのか、そしてそれらに伴って企業業績や個人消費がどのような変化を示していくのかを注視していく事になります。