24日に国内最大級の「不動産専門のデータベース」である東京カンテイが2022年東京都心6区(千代田、中央、港、新宿、文京、渋谷[70㎡クラス])の中古マンション平均価格について9,800万円と1億円の大台近くになったと発表しています。遡って確認できる2004年から2.2倍に上昇しているとの事です。

 購入している層の中心はパワーカップルで共働きによる世帯収入の増加と金融緩和による低利の住宅ローンがポイントのようです。しかし新築マンションより割安であった中古マンションもかなり価格が上昇し、過熱感を警戒するムードも出てきているようです。また昨年から徐々に進む住宅ローン金利の上昇も影響しそうです。

 都心のマンションについては地方の富裕層による購入や外国人の投資もあり、着実に上昇してきましたが、海外の不動産の価格動向は大きく変化を始めています。

中国では不動産業界に対する規制強化が引き金となり、2022年の不動産開発投資は前年比10.0%減少し、全国住宅販売額も前年比26.7%減少と大きく落ち込みました。また中国の2022年12月の70都市住宅価格指数は、新築住宅で55都市下落し15都市上昇、中古住宅で63都市下落し7都市上昇と厳しい状況となっています。

 2022年12月に開催された中央経済工作会議では2023年の重点任務に不動産に対する施策が取り上げられ、不動産業界に対する規制緩和を進め景気の回復を図ろうとしています。

大きく落ち込んだ中国の不動産業界が今後順調に回復出来るのか注目されます。

 一方、インフレが進みFRBによる金融引き締めで景気減速が懸念される米国でも、昨年の中古住宅販売は前年比17.8%減少し、通年の販売戸数でも2014年以来の低水準となりました。一時前年同月比で20%超も値上がりしていた住宅価格も10月には前年同月比8.6%高まで落ち着いてきています。しかし、引き続き継続される金融引き締めによる景気減速と大きく上昇した住宅ローン金利により住宅販売の回復には時間がかかると思われます。

今後のFRBによる金融政策の舵取りとその後の景気動向が注目されます。

 世界経済のリード役である米国と中国が景気減速とともに不動産市況も厳しくなっている中で日本の不動産価格がこのまま順調に推移していけるのでしょうか。

世界景気の減速は国内景気の減速に繋がる可能性もあり、今後の価格動向が注目されます。