シルクロード事件のビットコイン売却は延期? 政策転換の可能性
2025.01.30
米国経済指標の発表とビットコイン市場の動向
年明けに発表された米国の経済指標が強く、利下げ期待を後退させた。ここに重なるようにして米国がシルクロード事件で押収した65億ドル(約1兆円)規模のビットコインを売却することが承認されたとのニュースが出て、年明けから7日にかけて続いた上昇トレンドは反転し、13日には一時90,000ドルを割った。
現在は、後半でも触れるがポジティブなニュースが続いて値を戻し、結果的にレンジ内での揉み合いを継続している格好だ。

シルクロード事件のビットコイン売却と政策の転換
1月最初のメルマガ配信日と年始のネガティブニュースが重なった時、メルマガ内で「あくまで予想の範疇を超えるものではないが、シルクロード事件で押収した65億ドル分のビットコインをそのまま活用して戦略備蓄にすることは、米国の規則上難しいにしても、わざわざ政府が押収しているビットコインを売り急ぐこともないとみている」と考えを示した。
シルクロード事件とは?
シルクロード事件とは、違法ドラッグや武器、人身売買、偽造文書などが取引されていたダークウェブ上の闇市場「Silk Road(シルクロード)」が、2013年にFBIによって摘発された事件です。
この事件は、ビットコインが匿名性の高い決済手段として利用されたことから、暗号資産市場にも大きな影響を与えました。
どうやら23日にトランプ大統領が署名をした暗号資産に関連する大統領令には、犯罪収益などから押収した暗号資産をもとにした国家デジタル資産備蓄の創設・維持の可能性も評価することが盛り込まれたようだ。
つまるところ、シルクロード事件で押収したビットコインを売る動きは向こう数ヵ月は起こりにくくなったと考えて良いだろう。
暗号資産関連の大統領令と市場の反応
23日に署名をした暗号資産関連の大統領令の中身に触れていきたい。今回署名された内容としては、「暗号資産に関する規制提案や国家備蓄の検討を行うワーキンググループを設置する」という内容だ。
一歩前進、ポジティブサプライズはなし
本大統領令の構成要素は、個人と民間企業の権利保護、米ドルステーブルコインの推進、CBDCの禁止、銀行サービスへの公正でオープンなアクセスの保護、テクノロジーニュートラルな規制の提供であり、結論としてはビットコインを準備金として採用することが決定するような大統領令ではなかった。
ホワイトハウス内に新設された「デジタル資産市場に関するワーキンググループ」では、元ペイパルの幹部であるデービッド・サックス氏が議長を務める。このグループには、財務長官や米証券取引委員会(SEC)、米商品先物取引委員会(CFTC)の委員長などがメンバーとして参加し、約6ヵ月以内に暗号資産の規制枠組みを提案することが求められていることとなっている。
一見すると、今回市場が期待していた戦略的備蓄にビットコインの採用までは辿り着かなかったようにもみえる。しかし、大統領令への署名前、トランプ大統領はダボス会議にて「米国は暗号資産の中心地」と発言している。
23日の深夜から24日の早朝にかけてのいくつかのニュースを踏まえたビットコインの価格動向をみれば、市場がアクセルに足をかけている状態だということを再認識する出来事であったと思う。引き続き市場は上を見据えてその時を待っている印象だ。

[Iolite記事]
【NEWS】トランプ大統領、暗号資産推進の大統領令へ署名 国家備蓄も検討